第82話 春休み3 ~09時28分発橿原神宮前行き普通~

現在は――大和八木駅です。


教官……失礼。宮町さんと一緒にホームを移動して電車待ち。反対側ホームは京都方面なのでそれなりに人が待っている。こちらは……普通に人居ます。ガラガラとかではなかった。


そして、09時28分発の橿原神宮前行きの普通電車で橿原神宮前まで移動。


「橿原神宮は一度来たよね」

「あー。そういえば、どこからとなく宮町さんが奈良で登場してたっけ?あの時は」

「そうそう。で、大阪からさくらライナー?だったっけ?に乗って橿原まで来て。でホテルでは楓君がなんか赤くなって……ニヤニヤ」

「……車内だから声を小さくしたことは評価するけど……その過去は閉じたままでいいかと」

「えー。じゃ、夜まで封印かな?」

「とっても短い封印で……」

「真っ赤だったよね?ニヤニヤ」


なんか隣で横腹をツンツンしてくる人が居ますが――これいじめられてる?


「宮町さん朝からニヤニヤしない」

「えー、でも楓君。結構私に慣れてきた?」

「慣れてきた?って……いや……毎回驚かされますね。はい」

「何それー」


橿原神宮前駅には09時33分着なので車内で少し話していると電車は駅に到着した。


ここでも乗り換え――ではなく。橿原神宮前では一度改札を出る。


「少し遅れの初詣?だね」

「初詣って……いつ行っても初詣って言うんだっけ?」

「うーん。なんかテレビで見たような気がするんだけど……いつだったかな?決まってない?1月中……?うーん。忘れちゃった」

「まあ、とりあえず神様に新年の挨拶かな」

「だね。私はこういうところは年に何回でも来たいから。うれしいよ?私の希望聞いてくれて」

「まあ、俺の希望ばかりは……だから。それにせっかく通るからね」

「このお出かけ。私の希望が結構入ってるよ?」

「いや。問題ないよ。問題あるといえば……いまだに空白の3日目がすごく気になっているんですが――」

「まあまあ、それはお楽しみだよ?秘密。シークレット」

「—―怖い。怖すぎる……」


などと話しつつ。駅から橿原神宮まで2人で歩く。


お正月ほどは人がいないと思うが。それでも今も橿原神宮の方から歩いている人とすれ違うし。前を歩いている人も居る。

ちょっと早いからか。橿原神宮までの道にあるお店。お土産屋さん?とかはまだ開いていないところもあったが。今は橿原神宮目指してなので問題なし。帰りは開いてるかな?とか思いつつ歩く。


ちなみに宮町さんは先ほどから写真撮影しつつ歩いています。


「記念は大切だよ?」


橿原神宮に入るときもちゃんと撮影してました。

それから中へ――。


前に来た時も思ったが。やはりこういうところは空気が違う。なんでかはわからないのだが。鳥居をくぐると。シャキッとするというのか。背筋が伸びる?なんかそんな感じが毎回する。


駅やら乗り換えの時はくっついてきた宮町さんは……写真撮影が忙しいのか。こういうところでは大人しいのか。隣を普通に歩いています。


「あっ。楓君楓君」

「うん?」

「お参りの後、また御朱印もらってきたいから少し待っててくれる?」

「うん。決める時も言ってからちゃんとその時間も取ってるから大丈夫だよ」

「ありがとう。えっと何時の電車乗ればいいんだっけ?」

「えっと……メモメモ……橿原は……一番ギリギリで11時30分だね」

「うん。了解です。ってそれなら余裕だよね。ちょっとお昼も食べれるかもね」


それからは橿原神宮を参拝。宮町さんはお参りの後は、今回も受付で御朱印書いてもらってました。今年もちゃんと宮町さんの前にも書いてもらっている人が居ました。御朱印もらっている人結構いるんだな。と、ちょっと離れたところで思っている俺。って前もこんな感じに思っていたような……。


それから御朱印をもらった宮町さんがこちらに来て。


「お待たせー。今年1つ目ゲット」


その後俺は書いてもらったばっかりの物を見せてくれた。それからは休憩スペースがあったので、ちょっと飲み物休憩。


「えっと。今は10時15分過ぎたところだね」

「この後はどうしようか。まだ時間はあるから近くゆっくり見ながら駅向かおうか?」

「賛成ー。あっ。近くの池?あそこも回っていこうよ。あっちにも神社?お参りできるところあるみたいだから。せっかくだから見ていきたいかな?」

「じゃ。ぐるっと見て行こうか」

「やった!」


そう言うと……装着したかのように宮町さんがくっついてくる。


「えっと……これは」

「楽しくデート?」


うん。ニコニコの宮町さん。ホント楽しそうというか。俺の腕は抱き枕とかそういうのではないですからね?


「はははー。まあ、うん。足元お気をつけて」

「大丈夫大丈夫」


そんな感じで歩き出し。歩いている時に宮町さんが見たいところを見つけると俺が引っ張られる。そんな感じで橿原神宮の周りをしばらく散策。途中で神社?お寺?かな。も見つけてお参り。宮町さんは御朱印もらって……という感じに橿原神宮の周りをまわる。


結局いろいろまわっていたからか。橿原神宮前駅に戻って来たのは11時20分過ぎ。って結構ギリギリだった。


「楓君楓君」

「どうしたの?宮町さん」

「飲み物とそこに売っている柿の葉寿司。せっかくだから買っておかない?次の電車は吉野でギリギリなんだよね?」

「あっ、それいいかも。次の電車だとすぐ折り返しだからね」

「じゃ買っていこう」


いうことで、宮町さんに引っ張られつつ――飲み物と柿の葉寿司購入して。吉野方面のホームへ移動する。


「うん。11時28分セーフだね」

「ホント。結構ギリギリ。でも飲み物の補充や。ちょっと食べれるもの買えたからよしかな?」

「うん。でも、危ない危ないだね。楓君のご希望が私が原因で、いきなり壊れるところだったよ。楓君ももっと早く言ってくれたらよかったのに。私がぶらぶらいろいろ見ちゃってたから」

「いや、宮町さんいろいろ見てまわっている時楽しそうだったし。まあ乗り遅れてもここ、橿原で待っていたら乗れるから……多分乗れると思うんだけどな?無理かな?」

「そうやって楓君はポイントを貯めていく。かな?」

「—―ポイントって何?」

「優しさ的なポイント?」


なんかニコニコしている宮町さん。何か……企んでないよね?怪しいです。


「……なんでしょうか?それ」

「満タンになったら……もれなく私が一緒に居る。とか?」


って、これはニコニコではなく。ニヤニヤです。はい。そんな顔でこちらを見てくる宮町さんだが……。


「それって……最近の生活。今と変わらない気がしますが……」

「あっ、確かに」


隣で楽しそうにしている宮町さん。すると、そこに次の乗る予定の電車がホームに入って来た。


「これだよね?乗る電車」

「そう。吉野までは急行で。これに乗ったら吉野で追いつく?っていうのか折り返しの青の交響曲シンフォニーに間に合うからね」

「計画は完璧。だね。ケーキ楽しみー」


と、2人で吉野行きの急行に乗ったのだった。 

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