第61話 オセロ ~20時53分発松阪行き特急~

大変満腹になった昼食後、俺は、斎宮さんのおじいちゃんと、再度オセロを行っていた。


「海織ちゃん、私たちは、ちょっと出かけてこようか?食後の運動に」

「だね。ちょっと、歩きたいかも、案内お願い。じゃ、楓君、ちょっと出かけてくるね。オセロ頑張って」

「楓くん。おじいちゃんの相手よろしくー」


先ほど、女の子2人は、外出していきました。なので、斎宮家には、なぜか、おじいちゃんおばあちゃんと俺。という。謎な組み合わせに。


それから、3回戦目が始まった。


おばあちゃんは、随時というのか、俺かおじいちゃんのお茶がなくなると、すぐに新しいのが来るという。めっちゃ動いてますおばあちゃん。


3回戦もゆっくりと進み。今度は、食後で、元気回復というのか。おじいちゃんの攻めにあった。

結果。14対50でほぼ大敗で負けた。角取れてなかったら、1色になるところだったかもしれない。そして、そこで、終わるのかと思えば、いえいえ。だって、1勝1敗1負けですから。おじいちゃんは、すぐに4回戦の準備をしていた。まあ、俺は――お相手です。


それから、また、しばらく。

4回戦目は、34対30で、俺が勝った。いや、最後角が取れなかったら連敗だったが。最後で逆転。俺が勝ったことにより――おじいちゃんは、まだ、するらしく。というかこれ、何回勝ったら勝ちなんだろうか。と、思いつつ。まあ、俺は相手をする。まあ、宮町さん斎宮さんも、まだ、帰ってきてないので。


その後、何かしただろうか。数試合行った。そして、やっと決着がついたというか。俺が連勝した時に。


「ただいまー。って、まだしてたの!?楓くんと、おじいちゃん」

「—―してました。で、やっと、決着?付きました」

「すごいね。何時間してたの?私たち結構。ぶらぶらしてたよね?」

「うん。さすが楓くんいいおじいちゃんの遊び相手だね」

「はははー疲れた」


オセロの結果は、8勝6敗2引き分け。っか、2回も引き分けが出るとは思わなかった。

が、7勝6敗までは、俺と、おじいちゃんが交互に勝っていたので、特に決めていたわけではないが。連勝したら勝ちみたいになっていたのか。俺が連勝すると。おじいちゃんが「うむ。強い」と、いい終わった。というか。おじいちゃんのセリフそこだけ。


それから、俺、一度背伸び。いや、同じ体制も疲れます。そのあとは、斎宮さん、宮町さんがオセロをしていた。


それから、なんやかんやと時間は、あっという間に過ぎていき。日帰り予定の斎宮さんだったのだが。おばあちゃん張り切っていたため。夕食も今回は、ごちそうになることに。と、言うか。俺と、おじいちゃんのオセロが終わったくらいから、姿見ないな?と、思っていたら。台所で、すでに、夕食の準備をしていたそうです。おばあちゃんに休憩はないらしい。


また、夕方になれば。斎宮さんの父母も帰宅するわけで……結構大人数というか。そりゃ、おばあちゃん早くから準備するわ。だった。


で、斎宮さんの父母と会うのは初めてなので、また、挨拶、挨拶。の俺と宮町さん。


「お母さん!余計な事聞かなくていいから!」


――何度か、話したがり屋というか……話したかったらしい。

斎宮さん母が、いろいろ俺と宮町さんに、質問攻め。そして、斎宮さんが叫ぶというのが、何度かある。にぎやかな夕食となりました。雰囲気は、とてもよかったです。


そして、夕食を食べてからも、少し斎宮家父母と、話していたため、斎宮さんの家を出るのが結構遅くなった。

お礼を言って、斎宮さんの実家を出たのが。20時を過ぎたころ。斎宮さんは、泊っていっても……と、思っていたのだが。俺と、宮町さんと一緒に帰る。ということで、一緒に駅に向かい歩いている。


「楽しかった」

「私、後半なんか恥ずかしかったんですけどー」

「沙夜ちゃんもいろいろあるね」

「むー、楓くん。海織ちゃんがいじめてくるんですけどー」

「いや、俺に言われても……って、斎宮さん、荷物大丈夫?重そうだけど――」

「……ちょっと詰め込みすぎたかも。おばあちゃんいっぱい食糧準備してくれていたから」

「—―持とうか?」

「いい?ありがとう」


斎宮さんのキャリーケースを受け取る。というか。ホント重い。どんだけ詰め込んできたのだか――だった。


それから、榛原駅に到着。榛原駅からは、名古屋方面直通の特急は、ないので、来た時と同じように、伊勢方面に行く、20時53分発の松阪行き特急に乗り。伊勢中川で、乗り換えで、近鉄四日市まで行くことに――なのだが……特急券を買うときに、今日は俺。覚えていた。


「宮町さんは、特急券、白子しろこまでにする?値段は……あっ、特急料金は同じか……」

「えっ、いいよ?四日市で。だって、楓君のところもあるからね?」

「ちょ、ちょ、宮町さん。斎宮さん居ますけど」

「大丈夫、大丈夫。楓くん。もう、海織ちゃんには、楓くんのところに、住めるようにしたということは、聞いているから」

「……なぜに言ったのでしょうか」


隣で、ニヤニヤと、グー。というポーズしている斎宮さん。もしかして、今日2人で出かけた時にだろうか――。


「まあまあ、それより、沙夜ちゃんの荷物大変そうだから、ちゃんと運んであげないと」

「—―えっと、それは――」


結局こうなった。

榛原駅。20時53分発の松阪行き特急に乗り。伊勢中川駅21時36分着。

伊勢方面から来た名古屋行き特急に乗り換え――ちなみに、伊勢中川からは、最近よく乗れる伊勢志摩ライナーだった。

21時39分伊勢中川駅出発。

四日市には――21時11分到着。


そして、3人で。3人です。はい。

21時28分発の湯の山温泉行き普通に乗り――菰野駅まで、俺はまだ斎宮さんの荷物運んでます。

21時47分。菰野駅着。そこから、斎宮さんと宮町さんが話している後ろを、斎宮さんのキャリーケースを、引きながら歩いて行く。というか、ホント、キャスター付いているのに、なんでこんなに、運ぶの大変なんでしょうか。

って、斎宮さん俺に運んでもらうつもりで詰め込んだ――?まさか。まあ、うん。とりあえず、運びました。すると、ここで、今日参加してなかった1人がたまたま。それに気が付いたのは、宮町さんだった。


「あれ?白塚君じゃない?」


ちょうど、斎宮さんと、柊の家の前で、車から降りてきている柊が居た。ちなみに、今日はサークルの人たちと出かける予定が、先に入っていたため。柊は、不参加だった。


「うん?あれ?楓に……宮町さんも居るじゃん。どうしたの?」

「まあ、斎宮さんの荷物運び」

「楓。使われてるなー。おつかれ。で、宮町さんは――どうして?」

「沙夜ちゃんと話してたらね。ここまで来ちゃった」

「……なるほど」


まあ、疑問に思うよね。

柊は、3人の行先知っていて、で、何故か、自分の家を通過して、ここまで来ている宮町さん。謎だよね。

が、柊は、特に気にならなかったのか。そこで、この会話は終了。なので、なんか無言は――だったので。って、なんか静か?でも、まあ、話を続ける?ため、柊に質問。


「ところで、柊は、どこ行ってたの?」

「あー、大学に居たんだけどさ、ご飯食べに行くになって。車で、来ていた人に、乗せてもらって、で、今も送ってもらったところ」


と、柊と話していると気がついた。そういえば――斎宮さん静かだなー。と、思っていたら。俺の横でなんか……超不満そうな顔してました。


「……またあの先輩だった」


うん。超、警戒モードの斎宮さんでした。


「いやいや、だから、サークルの先輩で、あの人しか、こっちに来る人いなかったから。前も送ってもらったんだよ、で、今日も」

「ふーん。柊がどこで、何しようが勝手ですからねー!」

「沙夜ちゃん。抑えて抑えて、夜だよ今」

「だってー、前もあの女の人と、柊ご飯食べに行ってるんだから」


斎宮さん不機嫌モード。まあ、最近よく会うからあまり触れてませんでしたが。柊は、イケメンさん。去年の海でもだったが。話しやすい雰囲気があるからか。どこからでも、声がかかるんだろうなー。と、俺は思っていました。大学でも、いろいろな人と話してるところ見るし。


とりあえず、今日は、夜ということで、斎宮さんが「もう寝る。あっ、海織ちゃん楓くんわざわざありがとうね」ということで、歩き出したので――って。荷物荷物。と、俺は少し追いかけることになりましたが。そこで解散。


「じゃ、柊もおやすみ」

「おやすみ白塚君も」

「ああ、2人も気を付けて」


まあ、いつもなんやかんやあっても、結局は丸く収まるので、大丈夫だろうと、いうことで、俺と宮町さんも駅に戻る。

駅に戻りつつ、宮町さんと話していると、宮町さんも同じことを思っていたらしく。あの2人は喧嘩するほど仲が良い。ということで俺たちの中では、綺麗にまとまった。


……ちなみに、ちょくちょくと俺は忘れるのだが。宮町さんは、忘れることはないらしい。設定中の事を。


菰野駅に戻って来ると、次の電車は22時27分の四日市行き普通。少し時間があるので、ホームで2人待機。すると、自然と。というのか。宮町さんは、ピッタリ横に来て――。


「手、繋ぎたいかな?楓君?」


とか、言い出しました。

斎宮さんが居るからここまでは普通だったが――と、いうか、斎宮さんも設定?というかこのことは知っているから。宮町さん関係なくグイグイ来そうな心配はあったのだが。ここまで……我慢していた?いや――うーん。わかりません。が、俺の返事の前になぜか、宮町さんに、手は捕まりました。


「電車まだかなー」


と、言う宮町さん。なんかチラチラこちら見てくるのは……」あれか、何か待っている。とかだろうか。まあ、これだけアピールが強いと、わからないわけはないのだが……なんかね……言いにくいのだが、幸いか誰もホームにもいないしで、普通の感じに言えた。


「宮町さん……その――遅いから――泊る?」


と、言ってみると。


「うん!」


と、掴まれていた手が、さらに、強く握られた気がします。どうやら、待っていた言葉だったらしく。そこからは、ルンルンの宮町さんになりました。


「宮町さん、もうすぐ電車来るから、大人しく……さっき、自分も言っていたけど、夜だから」

「はーい!」


俺が大丈夫かな……?これ……と、思っていると踏切の音が聞こえてきたのだった。

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