第57話 ホテルの夜は長い ~移動なし~

ホテルで、くつろぎだしてから、何時間たっただろうか。アイス食べて。雑談して。そして、先ほどからは、隣では、斎宮さんをマッサージする柊がいて、それを見ている俺と、宮町さん。すると。


「ねえねえ、楓君」

「うん?どうしたの?宮町さん」

「ちょっと、ロビー見てこない?」

「ロビー?」

「うん。ホテルに入った時に見たんだけど、このあたりの地図とか、パンフレット置いてあったから、ちょっと、見たいなー。って」

「じゃ、見に行こうか」

「うん、行こう。沙夜ちゃん、白塚君。ちょっと、行ってくるね」

「行ってらー。柊、もう少し上」

「この客うるせー」


と、宮町さんとともに部屋から出る。すると、部屋から出て、廊下を歩きだすと、すぐに、なんか――引っ張られていました。


「宮町さん?」

「—―くいくい」

「効果音?好きだね」

「結構、楽しいよ?くいくい」


袖引っ張られつつ、ロビーまで歩くことに。何でしょうか。これ……ロビーに来ても、まあ、そのままだったが。


ロビーの一角には、周辺案内のパンフレットがたくさんあった。


「いろいろあるね」

「うん。知ってるところもあれば……知らないところも、多いな」

「やっぱり、こっちに、住んでても知らないところあるんだね」

「あれだね。近くて、いつでも行けると思うと、結局行ってない的な」

「じゃ、行かないとね。あっ、明日は、どこ行くの?」

「それは――まあ、斎宮さんが、一応秘密と言ってたから」

「むー、楓君は、沙夜ちゃんの言うことは、よく聞くなー」

「……宮町さんの言うことも、よく聞いているかと……」

「じゃ、早く2人で、行く旅行の方も考えようよ。3年生とか近づくと、自由な時間減りそうだからね。今年がチャンスだよ」

「はい――春休みは、バタバタだったから、考えます」

「そうそう、楓君、ずっと留守」

「いや、自動車学校……」

「知ってる知ってる。だから、その分は、埋め合わせしてもらわないと」

「なんか事が大きくなっているような……」

「気のせいだよー。楽しみだなー」


そんなことを言いながら宮町さんは――いくつか地図。パンフレットを取っていく。


「これくらいかな?よし、戻ろうか?」

「……うん。だね」


それから部屋へとUターンした。

ロビーも時間が遅くなってきたからか。少しずつ人が減っていた。


部屋に戻ると、マッサージは終わっていた。


「おかえりー」


斎宮さんはすっかり元気になっていた。柊は――ベットで伸びていた。


「おー、楓。早かったな。っか、マッサージきついわ。客がうるさいと」

「とりあえず、おつかれ」

「あっ、このあたりの地図?」


斎宮さんは元気になったらしく、さっそく、宮町さんが持ってきた地図などを見ていた。


「うん、ロビーに、いろいろあったから、もらって来た」

「さすが、海織ちゃん。ちょっと見せて」

「どうぞ」


と、女の子2名様、楽しそうです。俺は、柊の横を抜け、ちょっと、外に出てみる。一応、外もそれなりの広さがある。電気も付くので、夜でも利用できる。海は……真っ暗で、ほぼ何も見えなくなったが。ところどころ、明るいのは……漁船?船?なんだろう。少しだけ、光が動いていた。にしても、夜の海は真っ暗。


すると、後ろで、何か、音がしたなと思ったら。


「……わっ」

「ひっ――!?って……斎宮さん。宮町さん」


俺の後ろには女の子2人が立っていた。


「楓君が、1人海眺めてたから、何かあるのかなー。って」

「で、海織ちゃんが、せっかくだから、驚かしちゃえ言うから、仕方なく私がね」

「沙夜ちゃんじゃん、驚かそうって、言ったの」

「えー、海織ちゃんでしょ」


ホント、このお2人仲がいいです。


「楓君は、どっち信じる?」

「宮町さん」

「即答されたー。ラブラブめー」

「いやいや、斎宮さんの行動もなんとなくわかって来たから」

「にしても……真っ暗だねー」

「さすがに、この時間だとね」

「楓君、あの光なんだろう?」

「俺も、さっきからなんだろう?って見てたんだけど、なんか漁でもしてるのかな?って」

「あー、なるほど、夜に漁してるとか見たことあるからね。それかも」

「でも、夜の海怖くないのかな?真っ暗だよ?」


斎宮さんが言うと。


「確かに……近くからだとどうかわからないけど……真っ暗だね」

「落ちちゃったりしたら大変だよね」


と、3人ですこし、夜の海に関して話してから、部屋に戻った。

静かになった部屋に1人で居た柊は、まだ、うつぶせで伸びていたので、その上に、斎宮さんがジャンプして悲鳴が聞こえていたが――まあ、うん、ボリューム的には……大丈夫そう。柊が大丈夫かは……わからないが。


それから、明日もあるから、ということで、寝る準備。っか、起こされた柊は、斎宮さんと今バトル中だが……枕がこちらに、飛んでこないことを祈る。そんな2人を見たからか、宮町さんが隣に来て。


「楓君、私たちが、畳で寝ようか?」

「……かな。そうなるよね。2人なんか揉めてるし――楽しそうに。枕だけ飛んでこなかったら――いいかな」


ということで、俺と、宮町さんが畳へ。いつもベットだから、畳で寝るというのは、ちょっと新鮮。

ちなみに、布団はセルフサービスらしく、宮町さんとともに、机どけて、押し入れから出して、という作業をした。まあ、これくらいなら全然問題ない。


って――。


「宮町さん……なんで布団ぴったりとくっつけたのかな?」

「寝ながら話できるよ?」

「—―それは、くっつける必要……いや、うん、なんでもないです」

「そうそう、楓君が理解してきたね」


そうそうちなみにベッドの方では――。


「—―ふぎゃー」


斎宮さんの声だろうか。なんか、埋められたかのような声が聞こえた気がするが……まあ、大丈夫だろう。と思いつつ俺は布団に寝転ぶ。結構フカフカ。気持ちよかった。うん。いい感じ――なのだが……。


「—―」

「……楓君、寝れそう?」

「全然だね」


お隣のベット組お2人がバタバタしているとかではなく。

何故か、目が覚めています。

いや、まあ、バタバタが気にならないことも……というか、静かになっていた。終わった?


「ちょっと話してようか」

「……まあ、そうなるか」

「うん。そういえば、楓君部屋の露天風呂入らないの?」

「え?いや、まあ、大浴場満喫してきたから」

「あっちにも、露天風呂あるの?」

「うん。あったよ。男子のところは、それなりに、広さのあるところだったよ」

「そうなんだ、明日の朝、入ってこようかな……」

「急いでないから、朝も、時間はあると思うよ?」

「ホント?じゃ、ちょっと考えとこ」


2人で話していると。


「—―海織ちゃんと楓君起きてる?」


斎宮さんの声が聞こえてきた。


「沙夜ちゃんどうしたの?」


宮町さんが反応すると足音が聞こえてきて――。斎宮さんがこちらにやって来た。


「柊の奴、寝るって言ったら、本当に寝ちゃったから」

「疲れたんじゃない?水族館もなんやかんやで、柊めっちゃ見てたし」

「……私まだ眠くないんだけど……」

「と、言われましても……」

「とりあえず、海織ちゃんの布団に侵入ー」

「ちょ、沙夜ちゃん」


お隣の布団がもごもごしています。


「ベットもいいけど、布団もいいね。フカフカ。海織ちゃんはお肌ツルツルー」

「ちょ、沙夜ちゃん。くすぐったい」


――うん。今度は、隣で、バタバタが始まりました。

……これは、関わらないが正解。うん。と、思っていたが。

こちらの布団はくっついているので――。


「きゃ!」


宮町さんの声が聞こえてすぐだった。


「—―ぐはっ」


うん。いきなり背中に攻撃を食らったのだった。


「あっ、ごめん楓君?大丈夫?もう、沙夜ちゃん」

「ごめんごめん、ちょっと、暴れたー」

「—―元気すぎる」


そんなこんなでしばらくお隣がバタバタ―—だった。

俺は……ベットに、移動しようかな?とか、思っていると、次第に隣は静かになっていったような――いや、俺もそのあたりから、記憶がなくなっていったのだった。


――――翌朝。

宮町さんが動いたのをたまたま感知。というのか、隣で、何か動く感覚があり目が覚めた。周りを気にしてみると――人の動く気配があり俺は起き上がってみると――。


「あ、ごめん、楓君。起こしちゃった?」


すぐに宮町さんの声が聞こえてきた。


「いや……うん、起きようとしたから」

「まだ早いよ?」

と、宮町さんが、タオルとか持って立っていた……大浴場でも行くのかな?と、思いつつ。俺は、布団から出る。


布団から出ると、確か。俺の隣は、宮町さんの布団だったはずだが――。

普通に、斎宮さんが寝ている。って――あれ?じゃ、宮町さん……どこで、寝ていたんだろう?ベッド?斎宮さんの横?でも、確か、さっき俺の横で、何か動いて目が覚めた気がするんだけど……斎宮さんが寝がえりでもしたのか――?うん?

まあ……いいか。と思いつつベットの方を見て見ると――柊が1人平和そうに、布団に、もぐっていた。というか。うん、多分一番平和に寝れたの柊だろうな。であった。


すると、宮町さんが小声で、


「楓君も、大浴場行く?」


と、聞いてきたので――まあ、起きたし。せっかくだからで、もう一度大浴場に行くことに。部屋の露天風呂も気になったが……柊と斎宮さんが起きてくると――だったので、宮町さんとともに、そっと部屋を出ていく事にした。


「楓君寝れた?」

「寝た。宮町さんと斎宮さんがバタバタしていたあとから、記憶なし」

「ごめんね、騒がしくて」


宮町さんとそんなことを話しながら大浴場前で別れた。

大浴場は、まだ、開いたばかりだったので、貸し切りだった。


朝一で、露天風呂。なかなか、なかなか最高でした。部屋の露天風呂もいいだろうが。広さが全く違うのと、この広さで、この静けさが、すごく贅沢な感じがした。

他の人が入って来るまで、しばらく露天風呂満喫したから、出ると。


「おお、ピッタリ。さすが楓君」


すぐに声がした。

声の方を見ると――待ち合わせはしてなかったのだが、宮町さんもちょうど、女湯の方から出てきたところだった。

そしてちょっと小走りで俺の隣にやって来た。ふわっと、いい香りとともに温かさが伝わってくる。


「……えっと。ちょうど?だね」

「うん。さすが楓君。私の事わかってるね?」

「宮町さんが、良くこっちの事理解しているのかと――」

「そうかな?じゃ、温まったし戻ろうか」


話ながら歩き出すと――また、服を引っ張られている感覚が……宮町さんを見てみると――「どうしたの?」という感じでこちらを見つつ普通に居た。うん。まあ、いいか。と俺は歩き出したのだった。


結局大浴場から部屋まで宮町さんはそのままだった。

昨日の夜もだったが――これも、設定とやらでしょうか?うん、やっぱり俺にはわからないことが多かった。

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