第50話 これから ~2人で時刻表~
まだ、部屋は、少しポカポカしている。うとうとしたのか。ちょっと記憶がない。顔をあげた時に、ふと視線に入って来たのは、17時45分。と、表示されている部屋のデジタル時計。気持ちいい気候だったので、寝ていたみたいだ……って、なんか忘れているような。そして、身体の右側がなんか、押されているというか。もたれられて、いるというのか。温かいです――って。
「—―あれ?」
「……」
「……おかしい。宮町さん、机で、伸びてなかったっけ?って、いやいや、なんで、俺に、もたれて、寝ているのでしょうか――?」
「……」
と、俺が言ったところで、誰の返事もなかった。
帰ってきてから、少しスマホを、見ていた気がするが。スマホは、床に転がっている。そして、2時間くらい記憶がない。つまり、まあ、あれから、寝ていたのだろう。
隣で、寝ている宮町さんが、なんで、移動しているのかも、気になるが。起こしていいよね?って、起こさないと。
「あの――宮町さん?」
「……ぅん――?あっ。楓君—―おはよう?」
「もう、こんばんは、かもだけど」
「……あれ?なんで、私、楓君の隣で、寝てるんだっけ?」
「それ、俺が聞きたかったんだけど――」
宮町さんが隣で、ちょっと背伸びをして。思い出したように。
「あ、そうだそうだ、うとうとして、はっ。と、して。楓君を見たら。日差しがいい感じに、当たってて、ポカポカ気持ちよさそうに、寝てたから。ちょっと、私も参加しようかな?で、移動したんだった。で、あまりに、気持ちいいから。寝ちゃったんだよ」
「……なるほど、まあ、もう18時前だよ?」
「ありゃ。ホント、ちょっと、洗面所借りるね」
「どうぞ、ご自由に」
と、宮町さん立ち上がる。で、俺も立ち上がる。ちょうど、日が沈む時間らしい。
まあ、朝早かったから……仕方ないか。
「洗面所、ありがと」
「あ、うん」
「……」
戻って来た宮町さん。何故か、こちらを見ている。何故かは、わからない。
「えっと……どうしたの?なんか顔付いてる?俺」
「うんん。ただ、こうしてれば、楓君が、何かを、感じ取ってくれるかなー。って」
「いやいや、何を感じ取れと……って、宮町さん帰らないの?朝、実家から帰ってきて、そのまま、ここに居ると、思うんだけど……」
「あー。そうだね。でも――」
何か……これは。ありそうな感じがする。宮町さんがニコニコ。いや、ニヤニヤこちらを見ているから……。
「……何か……が。おかしい気が――」
「じーー」
「効果音出されても」
何かを、求めているような感じは、わかるのだが、、、。何を、求めているかがわからない。めっちゃ、ニコニコ?ニヤニヤ?と、見られているのだが――。
「宮町さん、もしかして――晩御飯?、食べたいなー。とか。かもしれないけど、うち、買い物行かないと、まともなもの、何もないからね?本当は、夕方に、買い物、行くつもりだったけど、寝ちゃってたから」
「なら、一緒に行こうよ」
「へ?」
「ちょっと、私の期待したのとは、違うけどー。それも良いかな。ほら、行こうよ買い物」
「ちょ、え?」
「お昼いっぱい食べたから、あっさりしたのが、いいかな?」
「宮町さん、本当に、晩御飯食べて行こうとしてない?」
「ダメ?今から帰っても、うちも同じく、何もないから」
「……まあ、別に、問題があるわけではないけど」
「よし。決まり。じゃ、行こう。あっ、楓君に、私が最近ハマってるレシピを伝授してあげよう」
「あ、はい」
と、宮町さんに、引っ張られるように、食材の買い物へ。いつもの店で、数日分の、食材などを買う。買い物をして、帰宅。帰ってきてから、宮町さんが帰る。という選択肢は、全くなかったようで、そのまま、晩御飯に。まあ、晩御飯の、希望を出していた時点で、食べていく気満々だったか。
晩御飯は、昼に、しっかり食べた。ということで。宮町さんが、簡単で、おいしいレシピ教えてあげるから、と。おにぎりと、お惣菜を、一緒に買い。家で、おにぎりを少し焼いて、お茶漬けに。という、メニューに。宮町さん曰く、焼くのがポイントらしい。俺には、おにぎりを焼いて、お茶漬けにするという発想がなかったのだが。これは、簡単。そして、かなり美味しかった。覚えておこう、と。いや、簡単で、美味しい。って、忙しいときに、ホントありがたい。これから、大学の講義が、遅くなる時に、自分でも、作ってみようと。
「ごちそうさま。夜も、楓君に、ごちそうになっちゃったね。また、お礼するね」
「あ、うん。でも、そんなしっかりした物作ってないし。宮町さんの教えてくれた通りに作っただけだから。それに、食材運ぶのも、手伝ってもらったから。お礼とかは……」
「それしかしてないよ?」
ご飯を、食べ終えた頃には、すでに、20時前。なんだが、宮町さんは「片付けくらいするよ」と、今、片付けてくれているが。帰る気あるのだろうか。と、ちょっと、思い出していた。ゆっくりしている。というのか。くつろいでいるというか。
♪♪
すると、スマホが鳴る。
画面を見ると、4人のグループメッセージのところに、柊からメッセージが来ていた。
「なあなあ、大学って、4月からだよな?誰かわかる?」
と、メッセージ来ていたが、いやいや、在校生は、3月末に、オリエンテーションありますよ。と心の中で。まあ、メッセージを見たので、ちゃんとあることを、返事しました。
「マジか。サンキュー。楓。急いで、帰る準備しないとだわ。昨日まで、東京遊びに、行ってたから」
「……おつかれ。まあ、オリエンテーションの日。忘れないように」
「OKOK―。あ、お土産あるから、また渡すわ」
と、来たので、ありがとうのスタンプを送っておくと。
次は、斎宮さんが。
「私へのお土産は?」
と、送ってきていた。
そこから、しばらく、柊と、斎宮さんのやり取りが続く。すると、片づけをしてくれていた宮町さんが戻って来た。
「スマホ鳴ってた?」
「あ、柊から。大学いつからだっけ?って。あ、片付けありがとう」
「いえいえー。あー。オリエンテーションだっけ?これ、ちゃんと、年間予定表見てないと、4月の1週目から、始まる。って、思っている人いるよね。小さく在学生は、3月末に、オリエンテーションあります。って、書いてあるけど」
「今、1人勘違いしてそうなの方いたけど……」
と、宮町さんもグループのところに返事を入れたのか。また、スマホが鳴るが、それより……。
「ちなみに、宮町さん……帰るっていう、考えは……ありますかね?」
「うん?なんでかな?ニヤニヤーー」
「だから、効果音入れなくても……って、もしかして、宮町さん、さっきの何か、訴えてるのって……泊まろうとしてた?」
「あたり!やっと、通じた!」
「いやいや、なんで?」
「楓君と、話してると、楽しいからね。まだ、明日も休みだし。せっかく今日偶然に、会えたんだから」
「楽しいのかな……」
「楽しいよ。あと、落ち着くよ」
「……それは、どうも」
「うんうん」
と、そう言って、動く気ありません。という感じの宮町さん。
「でも、さ、突然、また泊まるって……」
着替えやらなくて、また困るでしょ?と、言おうとしたが、そういえば、部屋の隅に、キャリーケースが、置かれたままのことを思い出した。その俺の視線で、思っていたことを感じ取ったのか。
「そういうこと。今日なら、荷物、完璧だからね。ダメ?」
「—―いや……うん。なんか、うん。まあ、もう暗いから――危ないか」
「そうそう、そういうこと。じゃ、のんびりしようか。昼寝もして、まだまだ元気だから」
と、宮町さんが、さらに、ご機嫌に、なったような気がします。はい。
それから、しばらくして、シャワーも浴びて。寝る前のゆっくり。という時。
俺は、2回目かな?の、活躍の時が来た、寝袋を、準備していたのだが。
「一緒でも。大丈夫だよ?楓君とは、もうずっと一緒だから」
「まだ、1年ですが」
「1年もだよー?」
「いや……広く寝れる方が、宮町さんもくつろげるでしょ?」
と、何故か、宮町さん、なかなか、俺が、寝袋で、寝るというのを許してくれず。というか、2人とも、まだ眠くは、なかったのだが。昼寝がなければ、寝てそうなもんだが。昼寝してるので。すると、宮町さんが。
「じゃ、眠くなるまでは、寝転がって、これからの予定話そうよ」
「予定?」
「そう、これからも、いろいろなところに、行きたいからね。あ、楓君。時刻表持って、ベット来てよ」
「何がどうしても、ベットに、俺を入れようとしてない?」
「寝るんじゃないよ。寝ころびながら、旅行の話をするんだよ?」
「……うん。まあ」
「ほらほらー」
旅行と聞いて、そういえば、4人で、水族館やらの話を思い出し「やばい。考えないと」と、ちょっと焦ったが「楓君?」と、ベットで寝ころびながら待つ、宮町さんが、そろそろ拗ねそうなので、時刻表持って、ベットのはしごへ。そこで、時刻表を宮町さんに渡す。
「ありがとう。ほら、楓君早く早く」
「急ぐ必要は、どこに……」
「早くいろいろ考えたいからね」
はしご上り。ベットへ、寝ころぶ。といっても。ほぼ隣に、宮町さん。で、時刻表見つつ。と、言うことは……結構近いのだが。宮町さんは、特に、気にしてないのか。時刻表の初めのページ開き。すぐに「楓君は、どこ行きたい?」と、計画の話し合いが始まりました。
まず、は、地域決定なのか。宮町さんは、路線図のところを開いている。
「あ、ここだけ。じゃないからね?楓君となら、どこ行っても、楽しそうだから」
「まあ、柊たちも、誘おうよ」
「もちろん。その計画もね」
「も?」
「うん、楓君との、お出かけもあるよ?約束したでしょ?」
「……あ、え?……あー。そういえば」
「そういうこと。忘れないでよ?」
少し前に、そういえば、実家帰るから、お店行く約束が……とかの時に。なんか、言ったような記憶が……と。
それから、路線図のところ見ていて、このあたりの地域。やら話が進むと。時刻表のページをめくって「お得な切符とかないかなー」と、宮町さん、手際がいい。と、言うのか。そのページに場所を、覚えているのだろうか。スラスラと、時刻表を見ていく。
――そういえば、今日の午前中、宮町さん時刻表見てたな。と、もしかして、下調べ。というか。こうなるように、あの時点で、考えていたのだろうか。とか思っていると「聞いてる?」と、宮町さんに、注意を受けたので、ちゃんと時刻表を見る。はい。
「私は、また、奈良や、京都も見たいかな。あ、吉野も、行ってみたいな。って、あ、沙夜ちゃんところも行かないとね」
「斎宮さんのところ――?あ、おせちのお礼」
「そうそう。それも、考えないとね。また、沙夜ちゃんに、相談しないと。ちなみに、楓君は、行きたいところはある?」
「えっ……うーん……あるのは、あるけど」
「どこどこ?」
「いや、近くだよ。また、
ほぼ、隣で、ニコニコされると……ちょっと困るというか。ドキッとするというのか。ホント、楽しそうにしている宮町さん。
「うんうん。じゃ、大楠も行こうね。むしろ、明日でも行けるよ?」
「—―なんか、宮町さん、どこ行く言っても。付いてきそうな、雰囲気だね」
「そりゃ、もちろん。楓君が、行きたいところには、私も一緒に行きます!」
「あ――。はい」
「うんうん。楽しみだねー。あっ、他は?いっぱい考えとかないとね。大学生活なんて、あっという間だよ?もう1年終わったからね。どんどん決めて行かないと」
隣で、これからも、どこにでも、付いてくる事を。はっきり宣言して、さらに、ニコニコしている宮町さん。当たり前のように、これからも、隣に、居る気がします。
でも、それは、嫌なことではなく。一緒にいると、少し落ち着き?みたいな、何かを感じ始めている。元ぼっち君でした。
(新しい日常編 おわり)
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