ぼっちが時刻表を見ていたら、美少女が接触してきた話

第19話 １人ぶらぶら ～フリー切符の旅～

夏休みに入りしばらく。

特に予定のなかったぼっち。

柊、斎宮さん、宮町さんは、実家に帰ると少し前に帰った様子。

俺は、特に帰る予定はなかったので、久しぶりの、１人の時間を過ごしていた。

３日間も誰とも会わなかったも、大学入学前では当たり前だったが。

最近では……めっちゃ久しぶりに。ほんと久しぶり。

特に、これといってすることなくのんびりという感じ。

いや、外なかなかな暑さなので、家から出たくないが本音。

ちなみに大学は冬休みが長いらしく。夏は４週間弱？の休み。それでも普通に長く感じるが。冬休みは予定表見ると２か月ほどあるかと。自動車学校とか行けるかな？免許持ってた方がいい気がするし。

まあ、試験終わって数日はめっちゃだらけました。

その中には、いつもの４人で試験のお疲れ会？をしたりして、ご飯を食べに行ったりはあったが――。

ここ数日は１人のんびりしていた。

そして、ふと、久しぶりに時刻表を見ていた。

なぜか荷物に付いてきて、なぜか、はじめのころからいろいろと使われて来た時刻表。

ここ数年では最多の使用回数ではないだろうか。綺麗に使っているつもりでも、ちょっと折れやボロってきたところがある。が、時刻表もずっと綺麗より使ってもらえる方がうれしいか。

「にしても、知らない駅名多いなー」

と、時刻表で各県訪問みたいなことをしていたら。

フリー切符の存在を知った。

で、思い立ったが吉日というのか。せっかく休みだし、暑いからとかの理由で家に引きこもるのもなので。

ちなみに、ぼっちだが、引きこもりということは少ない方である。１人でというのが多かっただけ。だから１人で何かするとかに抵抗はない。

ということで、数日後。

「フリー切符よし。と。行くか」

土曜日、10時17分川島駅出発。

まずは四日市に向かって移動。

今回購入した切符は週末に使えるフリー切符。

金土日曜日か土日月と土日を含んでいる３日間に使えるもの。

ちなみに当日は買えないので、事前にこの日から使いますと窓口で買ってきた。

ちゃんと使い方読んでよかった。はじめは、当日買えるだろうと勝手に思っていたので。

購入できる駅は、四日市が一番近かったので、買い物ついでに買っておいた。

特急には別途特急券を買う必要があるが、その他は乗り放題。

で、今回は土曜日スタートにした。特に理由はないが。

10時26分近鉄四日市到着。

ここからは名古屋方面に行くか。津方面。大阪、伊勢志摩。どうしようかと考えていたのだが。

名古屋は少し前だが、柊と買い物で行ったから。どうせなら、自分の行ったことない駅とか路線に乗ろうと。一応時刻表見て大雑把にだが。こういうルートで、はメモしたのだが。まあ、すぐに崩れる気もしている。

で、今はホーム変わり。津方面の急行に乗った。

四日市10時35分発松阪行き急行。

四日市を出て、塩浜駅を発車してしばらく。前に斎宮さんと伊勢志摩向かったときは、気にする余裕もなかったが。拉致事件だったので。少し走ると、大学入学時から、とにかく一緒に行動が多い宮町さんの下宿先がある楠駅を通過する。急行は止まらないので。

そういえば、なんで宮町さん楠駅なんだろう？確か愛知に実家とか言ってたが、大学の場所考えると地味に距離あるし乗り換えもあるし。ちょっと大変な気がするんだが。今までほぼ毎日会っていたが、このこと聞いたことなかったな。と、思っていたら、電車はどんどん進み。

もうすぐ、白子（しろこ）駅。この駅しらこ。とも読みそうだが。しろこ駅。サーキットの最寄り駅らしく。レースがあると混むらしい。そういえば、雑学みたいになるかもしれないが。先ほど一瞬登場した塩浜駅のひとつ前。四日市方面。海山道駅。という駅がある。これは使ってなければ読めないのではないかと。時刻表を見ればローマ字表記があるので読めるが。海山道（みやまど）駅と読むらしい。

ちなみに本日の持ち物は――。

スマホ、財布、着替えと時刻表。まあまた重たいものをカバンに入れてきた。

着替えは少なく。どっかのホテル泊まればコインランドリーあるだろうの考え。

今気が付いたが、スマホの充電器忘れた。ホテルって充電器あるよね？ちょっと心配。

時刻表は持ってくるか悩んだのだが、結局入れてきた。ホテルとかで翌日の調べるのに使えそうだし。

まあ、車内で見ていたら周りからどう見られるか知らないが。あまり気にならないタイプなので。

そして、10時52分。電車は白子駅到着。ちょうど目の前のホームに普通電車がいたので乗り換える。

これは昨日から予定していたコース。ここから先普通電車乗ったことないな。と思ったので乗り換え。

10時54分。急行の発車後、津新町行き普通電車出発。

ここから各駅停車。初めて見る駅も多いのでなかなか楽しい。

車内は空いているのでのんびりした感じ。急行はそれなりに人がいたので立ち席だったが、今はロングシートに1人とかなりゆったり、まあ、隅っこに座っているのだが。隅っこが落ち着くんだよな。なんとなく。

それからしばらくすると、これも珍しいのではないだろうか。

11時15分。1文字の駅。津（つ）駅到着。せっかくなので降りてみた。ちょっと早いが、津駅は特急停車駅。お昼につまめそうなもの売っているのではないかと。ちなみに先ほど乗っていた普通はこの次の駅まで。

で、無事、津駅でお昼をゲットし。

津駅11時47分発。急行、五十鈴川（いすずがわ）行きに乗った。

で、伊勢方面に行くのかと思わせておきながら、俺の考えているルートは違い。

途中伊勢中川駅で乗り換え。12時01分着。

すこし乗り換えに時間はあったが、12時18分名張行き普通電車に乗車。

この区間も初めてなので、普通を選んだ。そのまま名張までローカル線？ではないと思うが。大阪方面に向けてゆっくり走る。途中トンネルだらけだった気がするが。めっちゃ長いトンネルあったような……。

13時07分名張駅到着。この駅も特急停車駅だが、乗り換えは急行。

ここまで特急の利用無しなので、フリー切符のみで移動できている。

13時17分大阪上本町行きの急行に乗車。クロスシートの車両が来たためここで移動しながらお昼を食べることに。

と、ここまで普通にぼっちの１人旅の模様を話してきたが。この名張駅を出発した時だった。

♪♪

「うん？」

スマホが鳴る。

見ると4人のグループのところにメッセージが来ていた。

「誰だろう？」

と、開いてみると。

「見てみて、でっかいスイカ！もらったー」

と、斎宮さんがスイカの画像を送ってきていた。いやほんと大きかった。

それから、

「みんな今何してる？」

と、既読を見ると全員が見ているみたいだった。

「俺実家満喫中」

と、柊が早速返事をしていた。

俺どうしよう。なんて返事をしようかと思っていると。

「私実家で、空き家の掃除させられてるよー涙」

と、宮町さん一体何してるんだろう。実家で空き家？わからん。

で、俺……は……まあ現状書くか。ということで――。

「一人旅中」

と、だげ書いたら……。

「お土産期待！食べ物で！」

「あー、楓君１人で楽しんでるー」

と、柊と宮町さんがすぐに反応してくれた。ちょっと宮町さん怒りマーク付いてるのは……なんでしょうあか？

と、少しして――。

「楓くんは今どこにいるの？」

と斎宮さんから。で、今どこだろう……と、外見るがわからない。

時間は13時30分お昼食べてたからちゃんとさっきの駅覚えてないので、鞄から時刻表出してパラパラと見てみる。

「今は大阪向いて……多分、室生口大野（むろうぐちおおの）駅ってとこ出たくらいと思う」

と、書くと、次の駅名を見て――。

「あれ？榛原……どっかで聞いたような……」

と、思っていると、

「楓くん！それうちの近くじゃん！榛原って駅止まる？止まるよね？」

と、１分以内、いや数十秒か。斎宮さんから高速で返事が来た。

そういえば、斎宮さん実家が榛原駅とか言ってたな。前に一度調べた記憶が――。

「もうすぐ着くって放送流れてる」

と、書くと。

「降りるんです！楓くん！」

と、そこからスタンプが連続で――いやいや怖いから怖いから。

「えっ……えっと……と……」

まあ、とりあえず上本町、大阪でも行こうかと思っていただけなので、降りることは可能なのだが――。

まさかの出来事。

すると車内放送で「まもなく、榛原榛原です……」と、放送が入り。

スタンプ連続が来ているので、

「—―了解」

と、書きながらだが、実はもう電車止まったからホームで返事した。

すると、

「改札出て待っててねー」

すると――。

「楓ー。なんか捕まってないか？悪いなー。うちのわがままがいつものことで、大変だろうが頼んだ」

(笑)のスタンプが柊から来た。

「柊、なんか私の印象悪くしてないー？」

すると斎宮さんが柊に返していた――すると、

「なんか楽しそうだなー。いいなーいいなー」

と、宮町さんからも返事来て。

俺—―とりあえず改札出て。そんなにぎやかなグループの画面見つつ待っていると……15分くらいだろうか。

暑い――と思っていると涼しげな服で斎宮さん登場。

斎宮さんなんでも服似合うな。

「久しぶりー。いやー、いやー、寂しくなって私に会いに来た？」

「斎宮さんが降りろ言ったよね？」

「あははー、だね。いや、まさか本当に降りるとは」

「えー。まあ、別に何も決めてなかったからいいんだけど」

「それ、前の私たちと同じじゃん。行き当たりばったり海行こうと」

「かもしれない」

「あ、楓くん。そのまま動かない」

「えっ？」

「写真撮るから」

「な、なんで……？」

と、言っていたら、もう撮り終えていた。

「楓くんと遭遇！って、みんなに」

「いや、それいる……むしろ公開禁止を求めたいんだけど」

「えー、じゃ……海織ちゃんにだけ」

「一番やめてほしいんですが……迷惑かと」

「もう送った」

「おい」

と、駅前でやり取りしてると――。

「うち本当に近くなんだよ。さっき見せたスイカ食べない？おばあちゃんと、おじいちゃん待ってるから」

「待ってる？」

「友達呼んだー。って言って出てきたから」

「……マジ？」

「マジマジ。ほら、行くよ」

と、フリー切符１人旅。１日目終わる前に友人の実家訪問とかいうことになったのですが……。