ぼっちが時刻表を見ていたら、美少女が接触してきた話

くすのきさくら

唐突に時間は動き出す

第1話 乗り遅れ ~11時55分着のはじまり~

 3両編成の赤と白の電車から人が雪崩のように降りていく。

 満員だった車内からある程度人が出てから。自分も車両の外へ。

 数年前に都市部にあった大学が田舎の山のふもとに引っ越してきた。

 地方の活性化とか何かがあるのだろう。と勝手に予想している。


 そして俺はその引っ越してきた大学の入学式に向かうため、大学の最寄駅から大学までの道のりを見ている。

 見ている。というのは予想以上に人が多いから。ちょっと駅で人が少なくなるのを待っている。という言い方もできる。


 高校時代。それより前からだが、みんなでワイワイなどというのが苦手なタイプで、人混みは避ける癖がついている。だからなのか、高校時代のグループみたいなのに入れてなかったので友人0人。部活に入っていなかったこともあり。スマホの連絡先には家族と親戚くらい。小学生や中学生の時とかはあまり気にしていなかった記憶がうっすらあるが、途中で転校があったりと。幼馴染とかいうのもいない。いたんだろうがわからない。である。


 まあ、はっきり言えばぼっち。

 そして、大学では自分を変える。とかちょっと思い。実家から離れた大学を受験。

 そして、無事に合格した。そのため、知り合いというのか、同じ高校の人は多分いないと思う。受験の時も会わなかったし。高校の進路指導やらでも同じ大学受ける人がいるとかは聞かなかった気がするので、個人情報やらで隠されていたらわからないが。


 実家から離れた大学を受験することに対して、親は反対することなく。むしろ経験だ経験だ。やらで、合格したら一人暮らしもあっさり決まったくらいである。

資金的にも親は気にするな言ってくれたし。感謝している。


 電車到着してしばらく。

 駅周りの人はある程度減り、乗ってきた電車は折り返しで発車していった。この大学最寄り駅は終点の駅のため、ホームは2つある。コの字型の駅である。朝晩とか本数の多いときは両方に電車が入るのだろうか。


 そして駅前は、大学。ではなく。小さなロータリーと小さなお店がぽつぽつとある。大学はというと、駅を出て数百メートルほどの坂道のぼり途中グラウンドがありそして建物が見えてくる――のだが、それは大学ではなく付属高校らしい。

 オープンキャンパスの時、看板がなければ高校に入っていた。大学は、そのまま坂道を上り数100メートル。


 多分駅から500メートルくらいは坂道を上ってきてやっと講義棟に着く。こんな田舎に引っ越してきたからか。土地だけはあるのか。講義棟も複数ありその講義棟の裏にはゼミ棟?というのか4年生でお世話になる棟が複数建っている。らしい。パンフレットで見た。

 他には講義棟から少し離れたところに図書館があったり大学用のグラウンドあったり。売店、学生の強い味方食堂も講義棟の奥にあるらしい。


 山のふもとだからか地味にアップダウンが校内もある。階段もちらほら、バリアフリーとか最近は言われているからかエレベーターも学内にあったりする。

 広さはなかなかあると思う。生徒数もかなり多いらしく。キャンパス内は今も人がたくさん。


 ちなみにその生徒たちは入学式会場の部屋に吸い込まれていっている。

 自分も会場へは最後の方に入ったら…。すでにかなりの密状態であった。人に酔うとはこのことか。とか思いつつ開いている席を探した。

 とりあえず空席を見つけると俺は座った。そしてしばらく待機していると……入学式が始まった。

 

 学長さんのあいさつやらがあり。式は無事に終わった。


 その後は学生番号というのか。事前に振り分けられていた個人の番号が記されている講義棟に移動した。講義棟は数100人が入れそうな広いところで、番号が書かれているところに座る。

 偶然俺は端っこの席だったため窮屈さはなかった。が、安心したのもつかの間。すぐに隣とかにも人がどんどん入ってくる。

 コミュニケーション能力が高いとこういう時すぐに話しかけるのかもしれないが今の俺にそのスキルはない。とか、思っていたら話が始まった。

 今後オリエンテーションがあるやら。履修登録期間やら、高校の時とは違うから自分でちゃんと決めていくように等と。ちょっと頭がパニックになりだしたところで、終了。解散となった。


 そのタイミングで周りが一気に騒がしくなる。

 部屋の雰囲気が明るくなったというか…。まあ先ほどまであった緊張感がなくなり。いろいろなところから話し声。入学式や今の説明の話についてのことも聞こえてきている。


 一気に部屋がにぎやかになったな。と、俺は思いながらまず筆記用具片付け。とりあえず、頑張って書いていたメモやらをカバンにしまう。

 片付けを終えると。この雰囲気なら話しかけれるのではないかと、ちょっと頑張って、隣に先ほどまでいた人に声かけてみるかと。俺は決心して……。


(はじめだから……挨拶か?それとも……お疲れ?うーん。やっぱりこういう時は挨拶だよな。そして自己紹介。よし)


 と、頭の中でイメージ完了。いざ会話へと……隣を見たら。


「……あれ……?あれ?」


 すでに自分の隣は人がいなかった。さらに前も後ろも。周りを見れば、少人数や大人数でなんか話している人も居る。出口の方を見ると……早々と部屋を後にする人もいた。

 とか俺がまわりを見ていると、サークルの勧誘だろうか?そんな声も聞こえてきて、どんどん部屋から人は減っていく。


 ――。


 どうやら俺は大学生活スタートでも第1歩。乗り遅れた様子。

 自分でもわかっているが、コミュニケーション能力はかなり低い俺。ぼっちこと、加茂楓かも かえで大学1年生。

 友人0はまだ継続しそうです。はい。人付き合いは難しい。


 全くいらない情報だと思うがもちろん彼女いない歴=年齢でもある。

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