case11

 さっそく部屋に入った俺とお客さんは、問題の声が聞こえた中央の和室をくまなく見て回った。


 「お客さん?ここ、ここだよ。この畳み一畳の上で寝転んだら声が聞こえてきたんだよ」


「ここ?じゃ、さっそくちょっと仰向けになってみるかな。運転手さんそこに居てよ?」


さっそくお客さんはその声が聞こえた畳みの上で俺がそうしたように仰向けで寝てみたんだ。しばらくして異変が起きたよ。


 「運転手さん・・女の声で "仕事を辞めたの。うん、うん、そうするしかなかったのよ" て言ってるよ・・」


お客さんがそう言うんだけど、そばで立ってる俺には何も聞こえてこないんだよ。


 「え?俺には何も聞こえてこないよ。じゃ、ちょっと、今度は俺がそこに寝てみるよ」


俺も気になって、お客さんと代わって俺が今度は仰向けになってみる事にしたんだ。

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