映ら-れない殺人者:killer
リリリサスバー
第1話
俺は生まれた時から見られない。
俺が気を許した相手でないと。
「お母さま!大変です!お子さんがいなくなりました!、!」
助産師の女性が言った。
きっとお子さんとは俺のことだろう。
すると母はこう言った。
「いるじゃない、ここに」
俺が生まれた時のことだ。
朝テレビをつけた。
「11日、東京都千代田区市営住宅で、女性が、血を流して倒れているのが見つかり、
警察によると、倒れていた女性は、
この部屋に住んでいた
田谷美里さん(31)であると確認されました。
その時現場で橋間健太容疑者(32)が女性の血をついたナイフを所持して倒れていた所から
殺人未遂容疑がかかっています。
橋間容疑者は、(俺はやってない)と容疑を否定しており今も黙秘を続けています。
橋間容疑者は会社を経営しており……」
このニュースにあまり興味は湧かず、コーヒーを飲んで
朝のウォーキングに出掛けた。
アレはいつの事だったか...
ーいつかの夜ー
「お願いがあります。あの男に地獄を見せてやってください!
死ぬ覚悟は出来ています。」
女の依頼だった。
俺はその電話にこう答えた。
「どうしてほしい、?」と。
女は答えた。
「貴方に協力にして欲しいんです。」
俺は言った。
「詳しく聞かせてくれ。」
女が言うにはこうだった。
ある事故で、自分の大事な夫と子供を亡くしたのだと言う。
その時に乗っていた車に奴、名前は橋間とか言ってたっけ。
そいつはいわゆるもみ消しを行い、その事件を無かったことにしたとか。
それで残ったのは
夫と子が事故で亡くなったと
いう事実だけと言うことか。
俺の安心できる情報筋からも本当か確認はとった。
随分と皮肉な話だなと思った。
で、言うには自分の命と引き換えに奴に地獄を、
いや、罪を償って欲しいと。たとえどんな形であろうと。
俺には生きていないと意味はないのではないかと思ったが、依頼者の動機としては十分であろう。
どうせいなくなる世界に彼女は未練などないと
思うが一応言っておいた。
「これまであったこと、辛かったこと。
全部吐き出してからでも遅くないですよ」と
どうだったろう、彼女は電話先で泣きながら
夜が明けるまで、話し続けた。
そして決行の日、彼女と話した次の日だ。
彼女はコンビニ帰りだった。
俺は彼女が歩いてる横に
ひっそりとついて歩き出した。
「前を向いて自然に歩いて」俺は言った。
「うん、てか本当に大丈夫なんでしょうね?」
彼女は言った。
「俺は貴方以外には見えてないし、試しに12メートルぐらい前に歩いているあの女の人の胸を触る。」
俺は走って行って触った。すると女は
「え?なに、胸が1人でに、、!、、、。」
と言ってパッと胸をガードした。
「本当だ。信じるわ」
素直に信じた。
ホテルのエントランス前で言われた。
「監視カメラは?
貴方映ったら
まずいんじゃない?」慌てて女は言った。
「あのモニターを見ろ」当然俺は映っていない。
「本当だ、映っていない、!」
女の部屋に入った。
俺は人差し指を口につけ、静かにしろと言うジェスチャーと共にメモ用紙を見せた。
[俺は盗聴機類を探す。
お前はテレビをつけて音楽を鳴らせ]と
彼女はOKのサインを出した。
音楽が鳴り、TVがついた。
俺は作業に入った。
「特にない」と言って、椅子に座った。俺は手袋をしているからそこら辺は大丈夫だ。
おれはコップを見た。変な鳥?のマークが入っていたお洒落なコップ?だった。
「これは鷹か?鷲か?」と聞いた。
そしたらこう返ってきた。
「ふふ、ハズレ。トンビよ。貴方は好きな鳥でもいるの?」
「ヒクイドリとか」
「ふーん」
ピコン、と携帯の音が鳴り、メッセージが届いた。
[もうそろそろ着くよ]と
「もうそろそろお別れね、楽しかったわ」
「ああ、」
ピンポーン
チャイムが鳴った。
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