残機1のバトルロワイヤル

流希

開戦前夜

『起きてください』


その声を聞いて俺はとび起きた。しばらく考えてから、俺は寝ていた事に気が付いた。

辺りを見渡す。

あるのはベッド、机、椅子、窓、クローゼットくらいだ。生活必需品は揃っているが、俺の部屋では無い。第一、さっきの声は誰なんだ。



「誰か、いるのか?」



しんと静まり返っている。さっき俺を起こした声は幻聴だったのだろうか。

適当に、机の引き出しやクローゼットの中などを探る。

クローゼットには俺の私服がたくさん入っていた。一方机の引き出しには、何かが書かれた紙が四枚入っていた。



「間取り…?」


何かの建物の間取り図だった。

一階、二階、三階の図だ。一つの階層がかなり広いな。

東棟と西棟で分かれている。


「ここは…三階東棟のこの部屋…」


赤い点がついたところが、俺のいる場所だろう。

他にも部屋がたくさんある。俺以外にも人が居るのか。


もう一つの紙には、ルールと書かれていた。



『皆さん、起きたようですね』


頭上から無機質な声がして上を見ると、スピーカーがあった。

急に来ると心臓が痛くなる。


『それではこれより、バトルロワイヤルを開始します』


「ばとる…ろわい…?」 



聞き慣れない言葉だ。

放送主は「ふっふっふ」と笑ったような声を出す。



『私は貴方達の大切な物を持っています。とってもとっても大切な物を』



やはり、俺以外にも人が居る。




『これから開催される闘争ゲームに見事優勝できれば、大切な物をお返しします。しかし、勝利出来るのは一人だけ。そして、自分以外は殺害対象なのです』


顔が青ざめたのが自分でも分かった。心臓が痛くなる。

俺は、死ぬのか?


『あ、大切な物は優勝するまで教えるつもりはありません』


耳を塞ぎたくなる。



『また、闘争ゲームには“休憩”を挟みます。どこで挟むかはその時に放送でお知らせ致します。休憩時間に人を殺した場合、その方は即処刑となります』



怖い。



ただそれだけ。



足が震える。



『殺すか、殺されるか…皆さんはどちらでしょうね? さぁ、本番は明日!! 今は休憩時間です。殺害対象に挨拶するも良し、武器を探すのも良し、部屋に籠もるのも良し、探索するのも良し…それでは』



ブチッと乱雑にマイクが切られる。




さて、俺は何をすればいいのだろう。


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