「ニュージェネレーション……生まれて初めての巨大化裸身」ラスト


 未羅、焔、ジャンユの三人を眺めて堕夜が言った。

「心強い仲間が三人(変態が三人)揃ったわね……この中で、巨大化した経験が無い人は挙手して」 

 ニュージェネレーションの三人が手を上げる。

「巨大化する機会が無かった」

「どうすれば巨大化できるのか、わからなかった」

「一人で巨大化するのが不安だった」


 堕夜が「うんうん、やっぱり」と、うなづいてから言った。

「実は、この時代に来た目的は巨大裸体ヒロイン因子を持つ仲間を探すだけじゃなくて……初めて巨大化する仲間の手助けをするためでもある……もうすぐ、この場所に怪獣少女が一体現れる、第ゼロ次の神の怪獣少女が」

 華奈が堕夜に訊ねる。

「第ゼロ次? 神の怪獣少女?」

「第一次と第二次の発生前には、必ず特定の個体怪獣少女が一体現れてから大襲来が開始された。二度の大襲来の前に、なぜか個体怪獣少女が一体だけ現れた時があったの……それが、第ゼロ次」

「その怪獣少女の名は?」

「その名は……」

 堕夜と華奈が会話をしていると、ビルの陰から一体の怪獣少女がヌッと顔を覗かせて言った。

「ビルの陰から、こんにちは」

 褐色に日焼けした裸、鋭い背ビレと黒い尻尾が特徴の怪獣少女だった。

 華奈が驚く。

「なんで、いきなりビルの陰から? 普通の怪獣の出現なら海からとか、山の中腹からとか、スキー場の雪の中とかじゃないの?」

 答える最強の怪獣少女。

「いろいろと、大人の事情もありまして……さあ、待っていてあげるからさっさと、恥ずかしい巨大ヒロインに変身したら……早く変身しないと踏み潰すジェラ」


 堕夜が呟く。

「怪獣少女『神のジェラ』……通称GODゴッドジェラ。みんな、巨大化変身する時の掛け声は、考えてある?」

 未羅。

「あたしは、前から考えています」

 焔。

「ちゃんと、熱い掛け声あるぜ」

 ジャンユ。

「別れた元カレの名前で良ければ」

「オッケー! 変態もとい、変身するよ」


 華奈を覗く四人が変身する。

「カガミィィィ」

「オラオラオラ! ファイヤーァァァ!」

「ナオキ! ファイト!」

「ダヨゥゥゥゥ!」


 巨大化した未羅の首から下が鏡面に覆われ、砕け散って銀色の巨人が現れる。

 焔の胸と腰を取り巻いていた炎が散ると、火炎模様の赤い巨人が現れた。

 ジャンユの鎧外装が外れ飛んで、メカ線が入ったエロ可愛い巨人が現れる。

 並び立つ四人が、それぞれのポーズを決めて同時に言った。

「裸じゃありません! こういう模様なんです!」


 神のジェラとのはじまる闘い……最強怪獣少女ジェラは、ハンパなく強かった。

 巨大裸体ヒロインたちが、ヘトヘトになっていると余裕の口調でジェラが言った。

「もう終わり? じゃあ、こちらからヤバい熱線出すよ」

 ジェラの背ビレが青白く発光して、口から強烈な高エネルギーの熱線が発射された。

 数個のビルを貫通して、穴が開いたビル群を見て未羅、焔、ジャンユの三人は蒼白になる。

 高エネルギー熱線を口から発射したジェラが、スッキリした顔で言った。

「お腹に溜まっていた熱源を吐き出したら、スッキリした。また飽和状態になったら吐き出しに現れるからねぇ」

 そう言い残して、ジェラは去って行った。

 茫然とニュージェネレーションたちは、力の差を実感して裸体に見える姿で立ち尽くしていた。

 多くのスマホのカメラで、下から撮影されているコトに気づかずに。


 撮影している者たちからの。

「アレ、裸か?」

「ああいう、模様とか極小の防具なんだろう」の会話が自然と聞こえてきた。


  ◇◇◇◇◇◇


 後日──未来に行くための旅行支度をした。未羅、焔、ジャンユの三人は、堕夜から指定されていた待ち合わせの場所に集まった。

 三人の目的は、ジェラへのリベンジと第二次怪獣少女大襲来から、人々を守って戦いながら。自分たちの巨大化した姿を多くの人に見てもらうためだった。


 堕夜が空間を切り裂いて、未来へ繋がる穴を開く。

「それじゃあ、ダメ母親あばよ、未来で第二次大襲来の怪獣少女軍団倒してやる」

「気をつけてムリしないで……あたしが結婚して女の子が生まれたら堕夜って名づけるから」

「名づけ頼んだぜ、あたしの後に生まれる弟には……適当な名前をつけな……じゃあな、ダメ母親」


 そう言い残して、堕夜は見つけた仲間と共に怪獣少女が跋扈ばっこする未来へと帰って行った。


  ~おわり~

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