もう、あたしの恥部は見納めです〔帰ってきたサカナカナ最終回〕
ティラノザウルスのような小さな手を生やした、全長四千メートルの大怪獣に成長したマガ・バッカーの表面に。
さらにサカナカナたちに倒された、怪獣少女の残留思念が次々と引き寄せられて、くっついていく。
原種母体怪獣主婦『キングマザードン』
薄幸美少女型【カゲロウ星人】『ウスバ』
剛腕怪獣『ココナッツゴリラ〔メス〕』
特殊処理的ロボット怪獣『メカカナ』
大怪獣少女『アスデルモンスター』
海洋怪獣少女『エリマキタコダ』
海草陰キャラ怪獣少女『キャラ~ン』
異次元侵略ミサイル超怪獣少女『ぺロべロン』
サーベル宇宙人少女【オサキマックラ星人】
未来植物怪獣少女『サカサクラゲー』
電脳暴食怪獣少女『バグウィルス』
原始哺乳類型ハ虫類怪獣少女『ゴルラ』
熱帯暴風雨怪獣少女『アハ~ン』
積雪怪獣少女『ユッキーナ』
侵略ロボット怪獣『機女1号・2号』姉型・妹型
飲酒宇宙大怪獣人妻『ベロスター』
ついでに、ブロンズ星人も数体貼りついて……以下怪獣名省略で百体。
百体怪獣【マガ・バッカー】が完成した。
小型宇宙艇に乗った三代目ニャゴ博士が飛んできて、百体怪獣マガ・バッカーの額に合体する。
「この時を待っていたニャゴ! わたしは帝王ニャゴ博士だニャゴ」
ニャゴ博士の宇宙艇のすぐ下にくっついている怪獣は、飲酒人妻怪獣のベロスターだった。
「うぃ~っ、酒持ってこ~い」
全長四千メートルの、山脈のような怪獣に困惑する華奈。
「こんなの、どうしろって言うのよ!」
《もしかしたら、背中側には怪獣はいないかも》
「背中側ね、わかった」
マガ・バッカーがワザと、華奈に向かって背を向ける。
「やっぱり、背中側には怪獣少女が……一体いるじゃない! あっ、見たことがない怪獣少女もくっついている」
背中を守るように、最終回怪獣少女『ゼッタイドンA・B』が貼りついていた。
他には華奈が遭遇したコトが無い怪獣少女、巻き貝が二個横に並んだような姿の邪神怪獣少女『ニィガッタノゾヤ〔第二形態〕』も、くっついていた。
「ムリです……勝てっこない」
《諦めるな華奈、限界を越えろ……と、言ってもこの状況ではムリか》
少し考えていたタマタマンが言った。
《一か八か……三つの力をひとつにしてみる方法もある……どうなるか、わからないがやってみるか華奈、この星を守るために》
「イヤです」
《いいからやってくれ! 帰ったら華奈の好きな食べ物、買ってやるから……頼むよ》
華奈は渋々、三つの力をひとつにする。
「 アリアンロード第十五将・武者駆逐戦艦『幻龍』……城巨人『エネルゲイア』……宇宙植物竜『ドリャー』今、三つの力をひとつに」
華奈の体が倍々に巨大化して、マガ・バッカーと対等のサイズになる。
雲が華奈が人に見せたくない部分を隠す。
「は、裸じゃないんです! こういう模様なんです、みなさん信じてください!」
城巨人のパワーと、超ド級駆逐戦艦のパワー、お尻に生えた宇宙植物竜の尻尾で、マガ・バッカーを攻撃するが。
あまり効果はない。
「ぜんぜん、攻撃が効かないじゃないですか!」
《う~ん、こうなったら最後の手段……これをやったら華奈、おまえに与えた巨大化の力が失われるコトになるが、それでもいいか?》
「願ったり、叶ったりです……もう怪獣退治をしないで済むなら、どうやるんですか?」
《最初にあるキャラの力を借りて、別のキャラの力を使う……六つの力を同時に使うコトになるから肉体の負担も大きく》
「いいから、さっさとやりましょう……誰の力を借りるんですか?」
《それはだな……》
華奈はタマタマンから指示され渡されたカードで、その人物を呼び出す。
「第四の壁越え女神『ロヴン』!」
ロヴンの力が華奈に宿る。華奈は五つ目と六つ目のキャラの力を体に入れる。
「ネズミ王女『鉛谷ズ子』……天空の機神セフィロト少女『セフィロト・ファム』……六つの力を今、ひとつに」
片方の肘から手首までに、幻龍の戦艦丸ごとカバーがついた片腕。
両肩に城巨人の尖塔、片腕の肘から手首まで城の石垣長方形カバー。
股間に植物竜の頭が付いていて、太モモから足首まで
そして、頭にネズミ耳のティアラをして、天女の羽衣のようなフワフワ漂う薄い布が女神を表した。
得体が知れない姿に変わった華奈が叫ぶ。
「人間の心を腐らせるでチュウ……鉛谷ズ子の大発明『物体爆裂分解銃』でチュウ」
光りの粒子が集まり、両手持ちの巨大な砲口銃が出現した。
発射される、一条の光線……爆発分解していくマガ・バッカー。
すさまじい衝撃に、華奈の体も宇宙まで吹っ飛び、華奈は意識を失った。
どこかわからない空間に、裸体巨大ヒロインのサカナカナは両目を閉じた、仰向け状態で股間を両手で隠して、横たわって浮かんでいた。
華奈の顔にはもう巨大化して、恥ずかしい経験をしなくてもすむ安堵の表情が浮かんでいる。
(終わったんだ……これでもう、裸みたいな格好で、恥ずかしい怪獣退治をしなくてすむんだ)
空間に現れたタマタマンが言った。
「今まですまなかった」
薄目を開けて微笑む華奈。
「もう終わったコトだからいいです……また怪獣が現れたら、どうなります?」
「その時は、誰かがなんとかしてくれるだろう……たぶん」
「最後まで、いい加減な宇宙人」
静かに流れる時間──その時、空間の一部をペリッとめくって頭に波のようなトサカ飾りがついた超人のような人物が現れた。
特撮の仮面なんちゃらみたいな、仮面人物がタマタマンに訊ねる。
「もう終わったか? 阪名華奈の体、こっちでもらっていいか? チッ」
「あぁ、サカナカナに巨大化の力は失われた……裸体巨大ヒロインは終了した」
「よっしゃあ! 時期シリーズは『裸体等身ヒロイン・サカナカナ』で決まりだな……チッ」
嫌な流れを感じ取った華奈が慌てる。
「いったい、何の話しをしているんですか? あなた誰?」
「ふふふっ、さあ誰でしょう……チッ」
ここで華奈の意識は途切れた。
気がつくと華奈は自分の部屋で、普通に服を着てベットに仰向けで横たわっていた。
「夢? 長い夢を見ていたような気分」
家の外から逃げ惑う人々の声で。
「怪人だぁ! 【変態女子高校生怪人】が現れたぁ!」の、叫び声が聞こえてきた。
帰ってきたサカナカナ~完結~
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