第三話・酔っぱらいのお姉さんは好きですか?
バナナ食べるマッスルゴリラ①〔剛力怪獣バナナゴリラ・オス&ココナッツゴリラ・メス〕登場
突如、ビル街に出現した筋肉バカな男と融合したオスの剛力怪獣『バナナゴリラ・オス』は、二つのビルに鉄棒を突き刺し、仰向けになってベンチプレスを開始した。
「筋肉こそ力! 力こそ筋肉! マッスル!」
持ち上げられたビルが上下するたびに、逃げ遅れた人たちの悲鳴が建物の中から響く。
頭に被ったバナナの被り物から顔を覗かせ、バナナの曲線がしゃくれ顎のように見えるランニングと短パン姿で、全身剛毛のゴリラ怪獣はトレーニングが終わると持ち上げていたビルを放り投げる。
「きゃあぁぁ!」「助けてぇ!」
悲鳴が聞こえ、落下して崩壊する建物。
「うほほっ」
剛力怪獣『バナナゴリラ』は、筋肉誇示のポーズを見せつけてから、地面を拳で打ちつけた。
拳を打ちつけた場所からニョキニョキと、古代植物が生えて街がジャングル化していく。
胸をゴリラのように叩いてドラミング音を出すと。成長した古代植物に花が咲き、花の根元にバナナのような果実の房が出現した。
「うほっ、うほっ」
古代植物の樹を登って
もぎ取ったバナナを食べはじめるゴリラ怪獣。
その時、建物の陰から閃光と同時に。
「カナアァァァァァ!」
の、声が響き裸体巨大ヒロイン【サカナカナ】が出現した。
恥ずかしそうに胸と股間を手で押さえ隠した華奈が言った。
「裸じゃないんです………こういう模様なんです、誤解しないでください、露出狂じゃありません!」
華奈の言葉に、華奈の中にいるタマタマンと悪美がツッコミを入れる。
「おまえ、変身するたびにナニ言っているんだ! 手をどけて闘えカナ! 大丈夫だ恥部は物体や画像処理で隠されているから」
「みんなに見られちまぇ……この痴女」
怖々、隠していた手をどけて裸体〔?〕を公衆に晒す華奈。
「本当に見えていないんでしょうね? タマタマン」
「大丈夫だって、撮影されても偶然に風に舞った看板とか、新聞紙でレンズには肝心な箇所は映っていないから……たぶん」
「たぶんじゃ、困ります」
バナナゴリラに向かって数歩進んだ華奈は、ゴリラが放り投げたバナナの皮に足を滑らせて、スッテンコロリと尻餅をつく。
「きゃあっ」
足を拡げて転んだ華奈の前方には、小学生くらいの男の子が立っていて。転んだ華奈の股間を凝視していた。
咄嗟に叫ぶ華奈。
「ち、ちがうの! お姉さん裸じゃないから! ボクが見ているのは、そういう模様だから! あたし、子供相手にナニ言っているんだ!」
実際、男の子の視線と華奈の股間の間には、偶然に針葉樹の樹があって男の子の目には華奈の股間と乳房の一部は、幹や枝で見えていなかった。
立ち上がった華奈にタマタマンが言った。
「こうなったら、例のアレを試すぞ。やり方はわかっているな華奈」
心の中にいる華奈がうなづき、合体アイテムを取り出して言った。
「青色雨天怪獣【ウツボギラス・シアン】」
華奈の右側に、ウツボと恐竜を合わせたような青い雨怪獣が出現する。
続けて華奈が言った。
「赤色晴天怪獣【ラッコゴン・マゼンタ】」
華奈の左側に、ツインテール髪のような耳をした、ラッコとビーバーを合わせたような赤い怪獣が出現する。
「二匹の力を今ひとつに………ラブラブモード」
シアンとマゼンタが、華奈と融合するように合体して、華奈の模様が青と赤の模様に変わった。
変化した華奈を見たバナナゴリラ・オスは樹から降りてくると大地を拳で殴りつけ、地面から空中に飛び上がった巨石を拳で殴り、華奈に向かって飛ばしてきた。
華奈はシアンの雨雲の力で水流のシールドを前方に発生させて、飛んできた巨石を防御する。
タマタマンが華奈に助言する。
「脳ミソ筋肉の怪獣は、接近戦に持ち込まれたら、こちらが不利だ………離れた位置から攻撃するのだ」
華奈は、マゼンタの力で小型プラズマ球体を数個、空中に発生させると
バナナゴリラに向かって飛ばした。
「うほぎゃあぁぁ!」
炎に包まれるゴリラ怪獣、蒸されたバナナの甘い香りが漂う。
体毛が焼け抜けて鎮火すると、縞柄のトランクスパンツ一丁で倒れる、バナナゴリラの姿があった。
気絶したバナナゴリラの巨体が縮み、等身の人間に変わる。
タマタマンが言った。
「剛力怪獣バナナゴリラ・オスの魂は怪獣の天国に召された………かも知れない」
バナナゴリラに向かって手を合わせる華奈の、胸の谷間にあるカラーなタイマーがピコッピコッと赤く点滅をはじめる。
慌てて巨体が隠せそうな建物の陰を探す華奈。
「ち、ちょっと。こんな目立つ場所で変身が解けたら……せめて、山の陰に隠れるまで! いやぁぁぁ、間に合わない!」
華奈の体が等身にもどる、足を拡げて座り込んだ華奈の目前には、巨大化した華奈を見ていた少年の姿が。
気まずい距離感、少年の目には華奈の股間と乳首を隠すように雑草にとまって羽を広げた蝶の姿が映っていた。
ヒクヒクと頬を小刻みに痙攣させて、その場を誤魔化す阪名華奈。
「これは、お姉さんとキミとの秘密よ。誰にも言わないでね……見ているモノは忘れて、ただの模様だから」
ワケもわからずに少年がうなづくと、華奈は風に舞う物体や遮蔽物で絶妙に恥ずかしい箇所を隠されながら、走り去っていった。
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