話すと決めたから feat.ジュン
第11話あの日あった事
アキラさんに話そう。寝るまでは迷いや連絡先交換出来た嬉しさに浮き足立って居たけれど。
朝、目覚めてそう決心が着いていた。
蟠りが残ったままだと前へ進めない。アキラさんの好みが俺で無くても!俺は落とす!!
付き合いたい。
改めてスマホのやり取りをして思った。
友達じゃ無くてこの人と付き合いたい。
その為にはリセットしないと自分の気持ちが落ち着かない。
好きな人に隠し事をしたくない。
俺はそんな関係を築きたい。
コンビニ弁当持参のアキラさん。
嬉しい。
こう言うの本当に幸せを感じる。
2人で借りてたDVDを見て恋人同士みたいな時間を過ごす。
ずっとこんな事したかった。
俺がもっとあの時、抵抗してたら?ヒロさんに逆らえてたら。
5年前からこんな幸せな時を過ごせて居たかもしれないのに。
いや?好みじゃ無くて失恋してたかもしれないけどね。
帰ろうとするアキラさんを呼び止めて俺は話そうと決めた。
回りくどいけれど色々確認した。
そして、女々しいけれど嫌わないで。キレないでと訴えた。
いや、本当に女々しいです。嫌われたくないんだ。
ヒロさんの職業を話すと本気でびっくりしていた。
そう、優しいと思っていたヒロさんが原因の一つなんだよね。
そして鬼門・・・。
元彼さんからのメールの話。
アキラさんの顔は強ばってしまって無言になってしまった。
「元彼さんは携帯をチェックしてたんじゃないかな。それで俺と沢山やり取りしていたから俺にメールが来たんだと思う。」
アキラさんの顔は険しくて酷く苛立って居るのが手に取る様に解った。キレないでって言ったのにー!
「・・・内容は?メールの内容。」
アキラさん・・怒っているけど。
此処で言わなきゃまた振り出し。
「ギルドの悪口。ゲームの悪口。仲良くするなとか。」
アキラさん顔引き攣ってる。
「・・・アキラさんの性癖も。」
アキラさんは目を閉じて唇を噛み締めたかと思うと立ち上がった。
「解った。今日はもう帰る。ジュン!ごめん。ちょっとその話はまたにしよう。」
「いや、待ってって!怒らないって約束したよね?」
慌てて手を掴んで引き止めた。
「怒ってない。俺は・・・ゲイだよ。ごめん。」
力強いって。
逃げるアキラさんの手を必死で掴んだ。
「ゲイだと解ってても俺はアキラさんに会いたかったの!!」
あーもー。本当にアキラさん早とちりだし暴走するし!解ってて会ってるやん!!
そう言うとアキラさんの足が止まった。
「俺がゲーム始めて直ぐって言ったよね。その頃はまだ個人的に連絡交換して無かったよ。」
自分は多分ゲイかバイだと思って居た5年前。
「そっか。うん。じゃあ、軽蔑してないって事?」
アキラさんは不安そうに聞いてきた。
「当たり前。俺も自分の性癖が解らないと思ってた時だったんだ。正直、男にも女にも興味わかなくて。だから最初から偏見は無かった。」
俺自身の当時の思いそのまま訴えた。
「アキラさん。座って。」
「解った。コーヒーもう一杯貰える?後、タバコ吸いたい。」
俺は頷いてコーヒーを入れ一緒に一服する事にした。
「そっか。彼奴が迷惑かけてたんだ。」
「俺は全部、無視してた。」
アキラさんは気分を落ち着かせるかの様にタバコを深く吸ってフーっと吐き出した。
「ゲームにハマる前から別れ話は出てたんだけど。」
アキラさんは首を掻きながら俺とは視線を合わせない。
「その時、アキラさんに言えば良かったのかな。でも、言えなくて俺、争い事を避ける傾向が自分にあってさ。」
俺もその時点で相談すれば良かったんだろうと思う。
好きになる前だったら。
解決したかもしれない。でも、好きになると益々言えなくて。
「続き話して良い?」
「良いよ。ごめんね。こんな奴でさ。」
アキラさんはタバコの火を消して漸く俺の顔を見てくれた。
「盆休みに会った日。本当に楽しかった。また、遊びに行きたいと思った。それは本当だからね。」
念を押す。
「この後の話は全部、俺が弱いせい。」
アキラさんは少し首を傾げたが軽く頷いた。
あの日。
アキラさんとお茶した後の話だ。
須佐さんから電話が掛かってきて須佐さんの店に行った。
店には須佐さんだけでなくガールズバーのバイトの女の子も3人居た。
まだお客さんは居らずカウンター内に女の子達、客席に須佐さんが1人座って居て酒を飲んでいた。
俺を見るなり須佐さんは眉間に皺を寄せて不機嫌そうな顔をした。
俺・・・何をやらかした?!!
軽く冷や汗が出た。
「大濠君さあ?アキラとリア友になったって言ってたよね?」
怪訝そうな威圧感のある声に俺はビビりながら頷いた。
「知らないからリア友になったんだよね?教えてあげるよ。アキラってゲイだってさ。キモー!」
カクテルをキュッと一気に飲み干した須佐さんは俺の顔を見てニヤっと笑った。
知ってると言えなかった。知ってて今日会ったと言えなかった。
「まじでー?キモイじゃん!大濠さんもゲイ友?」
バイトの女の子達が揶揄う様に笑ってバカにした様な目で俺を見る。
は?何この状況?
さらに背中に冷ややかな汗が伝うのを感じた。
「ほら?見てよこのメール!本当に迷惑極まりない。気持ち悪い!」
須佐さんはスマホを見せてくれた。
その画面にはゲーム内メール。
アキラさんの元彼・・・。退会した奴は性懲りも無くまた復活していて。
寄りによってヒロさんに・・須佐さんに俺に送った様なメールを何通も送っていた。
顔を引き攣らせながら必死で考えた。
「うわ・・。単なる嘘の嫌がらせじゃないんですかね?」
誤魔化せ。
誤魔化せ!
「いやー?これあまりにリアルだもの。」
須佐さんはそう言った。俺と違ってヒロさんはやり取りをして文句を書き連ねたメールを送ったりそれに対する暴言と暴露のメールが最後のメールだった。
「ゲームは楽しくなくちゃ。」
須佐さんは苦笑いをして目の前でアキラさんと友達を解除しブロックしていた。
「さっ。スマホ出して。」
須佐さんの威圧に俺の顔は明らかに歪んでいたと思う。
「何するんですか?」
横に座れ!と促されて仕方なく座った。
それから会社の取引を打ち切る?
大濠君もゲイなの?
違うよねー?
ムカつく・・・。
須佐さんはそんな事言ってたかなあ。
俺はゲームを退会させられた。
「ほら、連絡先も削除しなよ。」
ニヤニヤ笑う須佐さんの目の前で全て削除した。
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