第8話勇気出せ俺!
アキラさんの上着の裾を引っ張った。
「あの・・・。車、どないする?」
そう聞くとアキラさんはタクシーを拾うのを止めて俺の方を見た。
「そうだ。車の事忘れてた!俺、結構酔っ払いみたいだね。」
あー。どうしようかなあ。とアキラさんは少し口を尖らせて考え事している顔をした。
不自然にならない様に・・。
「泊まる?」
言えた!
「え?!」
アキラさんはちょっと驚いた顔をして益々悩んでいる様な表情をした。
「泊まりたいけど、着替え・・無いしな。」
「あっ。そうやな・・・。」
俺の服じゃ小さいやん!!
泊まったからと言って付き合うとかエッチな方向に行くとは思って無いけど!!
「明日。ってもう今日か。昼頃に車取りに来ても良いかな?」
「あっ。うん。勿論。」
やっぱり無理か。
此処で強引に泊まりを勧めたら何か下心丸出しだし。
てか、俺!少し話せた事で調子乗り過ぎか。そもそも俺に欲情してくれるのか!?
アホや。反省しよう。
「あの。良かったらさ。まだ連絡先交換してなかったから。また復活したいなー?」
アキラさんがそう言ってスマホを出してきた。
そうだ。先ずはそこからだよね!
「する!本当に・・・ごめんね。」
俺のスマホにアキラさんの電話番号やアドレスが再び追加された。
「ありがとう。」
「俺もありがとう。」
嬉しい。泣きそうなくらい嬉しい。
「明日、家出る前に連絡するよ。その時・・・嫌じゃ無かったら家に上げて?」
アキラさんがニッコリと微笑んだ。
「うん。是非。」
やった!何かテンション上がる。
「じゃあ、今日はありがとうね。」
「俺の方こそ。じゃ昼に!」
家着いたら連絡しよ。
そう思いタクシーに乗るアキラさんを見送った。
夜の帰り道もテンション上がる。
閉店して薄暗い明かりが灯るブルーローズショッピングモールを横目に見ながら歩いた。
謝れた。年齢も言えた。
本当は訳も言いたい所だけど。アキラさんの元彼の話から入るからなあ。
ゲイと知ってるって話をする事になる。大丈夫だろうか。
この話をするにはかなりの勇気が必要だ。性癖知ってるのに付き合え無いって言うのが1番・・キツい事になるかも。
俺から告白するとして。
まだ誰ともした事ないのに身体だけの関係とかになったら?
あー。エッチも上手く出来る気もしないー!
アパートの鍵を開けると同時くらいに携帯のバイブ音が鳴った。
『無事、帰宅。今日はありがとう。』
アキラさーん!!
もうほぼ同時に帰宅かあ。
『俺も今、帰宅しました!今日はありがとう!』
ふふふ。顔がニヤける。直ぐに既読がついた。
やり取りし出したら止まらなくなりそう。
今日の昼に来るんだよな。
ちょっと早めに起きて掃除機かけて。部屋はまだ引越したばかりでそう散らかっていない。
うん。大丈夫だろ。
「風呂入って寝よっと。」
『風呂入って寝ます。また昼に!おやすみなさい。』
スタンプ押してっと。
直ぐに返事は来た。
『俺も風呂入って寝るよ。連絡するよ。また今日に。』
おやすみのスタンプまで。
くぅー!!!アキラさん可愛い!
ウキウキが止まらない。
時計は2時近かった。
ホンマに寝よ。アラームを10時にセット。このくらいで良いよな?昼って言うてたし。
休みやしゆっくり寝たいし・・・。
酒も入っていたので直ぐに眠りについた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます