進展させたいんや! feat.ジュン

第7話何処まで話そ・・・

ファミレスって言うのがまた可愛いと言うかアキラさんぽいと言うか。


きちんと話をしないといけないと思った俺は酒を飲もうと提案した。

うちのアパートの家賃は駐車場込みなので調度良かった。


本当なら家に招待してゆっくり飲みたいんだけど。

アキラさんにとっての俺は5年前、突然連絡拒否した相手で。

嫌われていて当然なのにまた友達になろうとしてくれている。そう言う思いや態度がヒシヒシと感じる。


あー!謝る?何処まで話す?


折角、仲良くなれてきた所に水を差す可能性大!


たわいも無い話をしながらも心の中はモヤモヤしていて酒のピッチも上がっていった。

接待で飲み慣れてるからまだ限界では無いけれど。


少し酔った。アキラさんも顔、赤いしかっこいいけど可愛いなあ。


そろそろ帰ろうか?とアキラさんに言われてもうそんな時間かと思った。


確かに休みとは言え24時を回って居た。

「・・・そうだね。」

俺は余程まだ帰りたくない顔をしたのだろう。

アキラさんは気を使ってケーキ食べてないね?と話を振ってくれた。

そう言えばデザート食べるって言ってた。

だいぶお腹はビールで満たされているけれど。食うか!


トイレに立ったアキラさんを待つ間にドリンクバーとケーキを注文した。


話す・・・。話さない・・・。


何のために酒飲んだんだよ。もう少しベラベラと饒舌になるかと思ったが結構、緊張している様だ。


あーもー。

ホンマに女々しい。

これだから恋愛初心者はあかん!と自分に突っ込みを入れる。

そもそも・・・。アキラさんの好みって俺みたいな奴じゃないだろうしなあ。ネガティブ思考まで出て来てしまった。


しかし。あの話をファミレスで話す話題では無いと言うのも解っている。

疎らだけど他にもお客さんいるし。

そこんとこ冷静な自分で良かったかも。


トイレからアキラさん帰って来た・・・。


「お帰り。」

「ただいま。」

そんなやり取りすら幸せ。


本当だったらもっと前にこんな関係になれていた筈なのに。親友ポジションは得られていた筈なのに!


全部・・・。俺が悪い!!!

だから。とりあえず。


「アキラさん。」

声をかけた。あー何て言お。


「どうしたの?」

心配そうな顔。聞きたそうな顔。


言えー。言うんだー。


「あの。」

・・・・・・・・・。


グルグルと何処まで話すかとかそんなんより!!

「あの時は突然、ごめんなさい!!」

普通に謝るつもりが勢い良くテーブルに頭をゴンっ!!と打ち付けてしまった。


「ちょっ!ちょっと落ち着こうか。」

アキラさんはキョロキョロと周りを気にしている。


しまった。声、デカかった?てか、デコ痛い。

酒入るとちょっとそう言う所あるよね。焦る。


「ごめんなさい。」

「いえいえ。」

声のトーンを落とすとアキラさんは苦笑しながら頷いた。


「理由は聞いても良いのかな?」


少し考えて深呼吸した。

「言い訳と人の悪口になるのであまりファミレスで話す話題では無いと思います。でも、俺が悪いんです。」


アキラさんはそんな俺の顔をまじまじと見詰めて。

「ジュンが俺を嫌いで連絡を断った訳では無いのかな?」

確かめる様に少し声も小さかった。


「違います。本当はあんな事したくなかったです。本当に申し訳ございませんでした!!」

そう言い出すとやっぱり声がデカくなってしまって。

再び頭を下げると2度目の頭、ゴンっ!!

ダメだ。思ったより酔っているらしい。


「ジュン・・・落ち着け。」

「痛い・・・。ごめんなさい。」


アキラさんは呆れた様な笑みを浮かべて俺の頭をポンポンっと優しく叩いた。


「解った。此処で理由は聞かないから。ゆっくり今度ね。話したくなったらで良いよ。」

アキラさんが優しくて。こんな俺に酷い事した奴に優し過ぎて。

自然と涙がウルっと溜まってくる。


「待て!泣くな。ジュン・・・。本当に落ち着こう。」

「はっ・・・はいぃ・・・。」

流れた涙を拭って必死に鼻を啜った。


アキラさんは周りの様子をキョロキョロとまた伺ってコーヒーを1口飲んだ。


「ほら、ケーキ食べなよ。この話は本当、止めとこ。」

「はい。止めときます。」

1度流すと止めようとしても涙って流れるんだな。


グスグスと鼻啜りながらケーキを口に入れた。

「美味しい。」

「うん。美味しいね。良かった。」

アキラさんは苦笑して頷き本当に優しいよお。


「ジュンは・・・可愛いね。」

「え?身長が?」

アキラさんは一瞬しまったと言う顔をした。

身長が可愛いとかは良く言われるので気にしないで良いのに。


「いやいや。ごめん。そうでは無くて。えーと?ケーキ食べる姿とか。」

モゴモゴと誤魔化す様に言われたが。


「大丈夫。身長については慣れてますし。ケーキ、やっぱり似合うかな。童顔だし。」

「あーえー。ごめん。若く見えるって言うのは良い事だよ。」

アキラさん、気にし過ぎ。

ダメだ。気を使われてる。こんなんじゃ親友にも慣れないじゃないか。


そうか。忘れてた、俺の嘘。


「アキラさん。もう1つ謝って良い?」

泣き止んだ俺はアキラさんの顔を見詰める。

「え?うん。何?」

ちょっと不安そうなんだけど。言ってしまおう。


「俺、年齢詐称でゲームしてまして。」

「へ?何歳?」

うーん。頭をポリポリ掻きながら。


「実はアキラさんより2つ年上・・・。ごめんなさい。」

「えー?!!!」

今度はアキラさんが大きな声を出してしまい俺が周りの視線を気にしてキョロキョロしてしまった。


「すみません。これまじです。」

「いや、年齢は気にしないけど上?上!?本当に?まじで?」

何度も聞くので免許証を見せた。


「まじだ。全然!見えない!どうしよう。今まで敬語使ってなかった。」

やっぱり見えないよねえ。


「ゲーム始めた時に新入社員であまりゲーム出来ないかと思って。学生なら誤魔化せるかと。内緒にしててすみません。」


アキラさんは納得した様に頷いてくれた。


少し俺の心は軽くなった気がする。


「帰ろうか。」

「はい!」


会計は勿論、割り勘で。


さて、帰るんだよな?

俺の家に泊まらないかな。


誘いたい。勇気出せ俺。


ファミレスの外に出てタクシーを拾おうとするアキラさんの上着を軽く引っ張った。

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