18話 内通者 間者

 内通者




 あ、いたいた。食堂にいたわ。あれ? 4人? エンジェルライト、サラマンダーファイア、ウィンディーネウォーター、ノームサンド、あれ一人、シルフウィンドがいない?


「ねえ、あなたたち、シルフウィンド知らない?」


「あれ、まだ帰ってないわね。ちょっと待ってて、って言って席立ったまま10分は帰ってきてないわ」


「そうなのどっちの方向行ったか分かるかい? てか、ノームサンドの足踏み五月蠅い」


 ん? ウィンディーネウォーターがなんか端末をいじっているけど、何しているのかしら?


「エンジン室の方に向かっていったかも」


「ありがとう。じゃあ少し行ってみるわ」


 すぅーっと雛の隣に行って、念話で


『雛、あの端末にアクセスして、何しているか調べられる?』


「うん、か、可能だよ」


『じゃあお願いしていいかしら? 私と皐月はウォーターを追ってみるわ』


「い、行ってらっしゃい」


 まあ、雛は念話が使えないから、声に出たけど、多分バレていないわね。

 こうして、私たちはエンジン室へと向かって行く。出る所まで雛も一緒に来て、物陰に隠れると、機工をいじり始めた。よし、じゃあ私たちはシルフウィンドを探しに行くわ。


 すぐに見つかったわ、でもなんか様子がおかしい。こっちを見つけるとすぐこっちに来たわ。内通者なら、逃げるわよね?


「二人とも、ノームの足音聞いて、または、ウィンディーネのメモを見て。そうしないと……!」


「え、どういう事?」


「詳しくは言えない! だけど、お願い!」


 これは、多分ウィンディーネウォーターの方が怪しいわね。急ぎ食堂に戻って、雛に、


「解析終わったかしら?」


「う、うん。これによると、内通者は、エンジェルライトと、サラマンダーファイアっぽいよ」


「じゃあその線が当たりっぽいわ。あの三人は?」


「まだ、食堂でまだ食べているよ」


コッソリと皐月がのぞいてくれたわ。


「なら、少し皐月と雛はここで待ってて、私は文に相談に行くわ」


「うん」


「りょ、了解」


 私は少し離れて、周りに誰もいないことを確認すると、機工の通話機能を使って、文に連絡を入れる。


「文、内通者をほぼ見つけたわ。ただ、どっちが内通者か分からないのよ。恐らく、ファイアとライトが怪しいわ。でも、少しだけ、ウォーターたちも怪しい気がするんだけど、どうしようかしら」


『あ、式だね。とりあえず、偽情報を流そう。最初に、ファイアとライトに16時に攻め込むって話をこっそり聞かせるんだよ』


「成程ね。なら、サンドと、ウォーター、ウィンドをどこか違う場所に行かせないといけないわね」


『それなら、こっちで呼び出そうかな』


「そうね、お願いしようかしら」


『了解。じゃあ、お願いするよ』


 通話を切る。よし、じゃあ行きますか。だましに!




 間者




「あ、雛と皐月。今から少しルートを変えて、16時に奇襲を仕掛けるって。14時の奇襲を北側に回避してから奇襲部隊に対しての奇襲なんだって」


 この時間を聞いて、二人とも、これは偽の情報だとピンと来たようで、


「うん、分かったよ」


「な、なら、今から位置に着かないとね」


 たしかに今は12時。移動するふりをするならもう動かないとね。


「じゃあ行きましょうか」


 走って、甲板を経由しつつ、文の元に向かった。そして、


「どう、分かったかしら?」


私が勢いよくドアを開けると、文がどこかに連絡している? で、此方に気が付いて、親指を立てて、分かった事をこちらに教えてくれたわ。そして通話を切ると、


「ありがとう。今伝えてきた、ライトとファイアが裏切り者だね。でも、これを利用してやろうと思うよ。あ、あ、ウォーターたちはもう帰ったよ」


「分かったわ。でもどうして、裏切り者だって断定できるのかしら?」


「簡単だよ。こっちにも間者がいるって事だよ」


「ええええええ!」


「いや、気配を消せる人と、姿を消せる人がいるから、行ってもらったんだ。2人は昨日の戦闘後、2人で潜入。その後に、ショートカットで2人が敵地入りしているよ」


「そうなの? 誰が行っているか分からないわね」


 さっき、光も奈波も会ったし、後は、エルピスたちだけど、居なくなってそうなのって……。


「あ、ヴィーナスはさっき集合したときに居なかったわ」


「え、嘘。 ちゃ、ちゃんと見てなかったよ」


「たしかに、居なかったね。後、光と奈波は姿を消せる武器を持っていたから」


「あ、たしかに、それなら、さっきの話とも一致するわね」


 となると、後先行していた一人。うーん解らないわ。


「あ、あと一人は多分分からないと思うよ。あの人は、記憶に残るようにしないからね」


 え、何それ、そんなので覚えられないこと……分からないわと言う事は忘れている?


「まあいいや」


 考えることをあきらめました。

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