14話 マンマルちゃん再び
マンマルちゃん再び
雛の戦闘機群に乗ってなんとか敵基地内に着いたのに、
「今すぐ、戻る。あたしが、皐月を助ける!」
雛が拳を震わせて、怒りながら、飛び立とうとしている。
「待ちなさい」
「止めないで! マーキュリー!」
「まあ、止めないけど、ちゃんとsgm魔力回復の腕輪をつけていきなさい」
「けど、私は魔力を持たないからいいかなって」
「大丈夫、君の場合は君しか使えない魔力を周囲に散布するタイプだよ。だから、君しか使えない特別製のものだ。ちゃんと持って行って」
文がそう言って、諭す。まああれはあった方がいいと思うけどね。
「分かったよ。じゃあ、危なくなったら使うよ。じゃ!」
機工装着して行ってしまった。後ろはあの4人に任せて、私たちは進むしかないかしら?
「では、私も行くわ。ボロボロになったあの子たちを収容して、なんとかするのも、エルピスの役目、いや、年長者の役目だもの」
あ、マーキュリーさんも行くから、5人だったわね。なら、私たちは突き進むしかないわね。
私式は、戦車を大量に操って、攻撃しているけど、昨日とは強さが違う! めちゃくちゃ強くなっているよ! かなり! キツイ! やっぱり、今日は、戦闘員がそろっているって事ね。にしても、なんで、松平たちは、此処に残っていたんだろう。あんなに強かったから、先頭に駆り出されそうなものなのに。もしかすると、防衛のために残っていたのかしら?
「にしても、回避も攻撃も、ちゃんとしてくるわね! こっちが砲門を向けると、防御せずに、離れるし! 対処がばれているのは本当にやりづらいわ!」
そう、砲撃なら音で相手をひるませられる、または鼓膜にダメージを与えられるはずなんだけど、回避がうまいのなんのって!
「ああ! もう、全然当たらない!」
回避ができないとわかると、連携で振動防御すらしてくるわね。本当にうまく防衛してくるわ。なら、一人ずつ潰す! 苦無を投げて、魔力を吸収、その状態で砲撃をぶつける! 苦無の回収は回収用ワイヤーを巻いて行って、これでやっと一人倒せた。でも敵はその間に、2両の戦車を潰している。ああ、もう、嫌になるわ。まあ向こうの方が頭数は多いからしょうがないような気もするけど、戦車をそんな簡単に破壊されるとは思っていなかったわ。
「大丈夫? 助けるよ!」
頭の上からそんな大きな声が聞こえたのと共に、地響きと大きな足が下りてきた。
「もうそんな時間なのね。ありがとう、アミ」
もう夜。アミが起きてきて、周りの敵を巨大な脚で蹴り飛ばしてくれたわ。今ので20人は吹き飛んだ。これで、少しはましな動きができるわ。なら、撃ちまくって、一部に敵を追い詰める!
「アミ! あっちでいいかしら?」
「うん、大丈夫。追い立てるよ!」
砲撃と、巨大少女の蹴りにより、どんどん追い詰めていく。これなら、一気に潰せるわ!
桟橋に追い詰めて、敵が海に飛び込むか思案しているところに、砂が集まってきた。やっぱりあいつが出てくるわね。
「俺様が来たからもう安心さ。私があいつらを倒すぞ」
そして、何処からともなく、人形っぽいのも飛んできて、賢者の吸石が姿を現した。ホント、こいつ鬱陶しいわね。
「二度はやられないわよ!」
と言っても、あの賢者の砂の対策を思いつかないわ。砲撃を撃ちまくって、周りは何とか片付いて来たけど、あいつは本当、相性悪すぎだわ、闇系の魔術を使えたら、楽なんだろうけど、でも、私の属性は雷属性だし、練習もしてないから、闇属性の魔術は使えないのよね。
「とりあえず、あの砂の本体は一粒なんだけど」
「あの砂の量で一粒探すのは無理だよ?」
「だよね」
「どうにか封印できればね」
「へ? 一粒を封印なんてできないわよ」
「全部まとめて封印しちゃえばいいんじゃないかな」
確かに、アミの言う通りだわ、でも、封印なんて、そんな簡単じゃ……。そうだ、あの時町を襲ったのって確かゴトの軍団だったわね。そして、ゴトの部下が此処にいた。なら、此処に圧縮捕縛のできる、マンマルちゃんがあるはず。あれなら、簡単に封印できるはず。
『アミ、私マンマルちゃんを探しに行くわ。あれならアイツを簡単に封印できるわ』
『え、何そのふざけた名前の何?』
『あ、ごめん圧縮捕縛装置の名前よ』
『あっ、アレか。皐文と一緒に破壊した奴。成程、分かったよ。なら君はそのマンマルちゃんを探してきて、私は、あいつを足止めするよ』
念話を終了して、私はマンマルちゃんを探しに向かう。でもどこを探したものかしら? ……とりあえず、工場を探そうかしら? それとも倉庫? 考えている時間がもったいない! 近場にある、造船所の装備に無いか確認よ!
「みーつーけーたーぞー!」
三つ目の倉庫を探索して、外に出ると大きい腕が空から落ちてきた。
「な、何事よ!」
「俺だよ俺! ライアン様だぜ!」
「ライアン?」
雲が動き、月が顔をのぞかせるその月光りで見えた顔は、確かあの時戦った、
「ああ、マグネットハンドの男ね。ライアンって名前だったのね」
「あれ? 名乗らなかったか?」
「名乗る必要はないみたいなこと言ってなかったっけ?」
「まあいい。俺はお前たちにやられてから、特訓したんだ。その成果を試させてもらうぞ!」
マグネットハンドを此方に伸ばして、ビームを射出してきた。左に飛び退いて回避、あれ? あのビームもしかすると!
「あんた、そのビームもしかして、マンマルちゃんの収容ビームかしら?」
「おう、よく解ったな! これで攻撃されると、そのままこの機械の中でスリープだぜ」
という事は、チャンスじゃないかしら? あいつを倒して、あの右手を奪い取れば、それでミッション完了ではないかしら。なら、倒すしかないわね。
「どうした? 俺の攻撃が怖くなったか? ならそのままおとなしくしていればいい。そしたら、苦しまずに封印してやるぞ!」
「そんな、わけないでしょ!」
苦無を投げつけてみるけど、やっぱりマグネットハンドが防御する。なら、まだあの作戦が使えるわね。戦車を機工から出庫させる。それを私から見て左に展開。私自身は右側から攻めるわ。
「ふん、俺の右手に向かって、機工を出すのは阿呆だろ! そのまま吸収してやる!」
あ、こいつ反省してないわね。筋肉を鍛えただけっぽいわ。
「アホはあなたよ!」
魔吸のレプリカをぶつけて、右手の魔力を失わせつつ、ライアンに向かって、砲撃を撃ちこむように指示を出した。
「グガァ!」
いや、なんでまだ立っているのよ! あり得ないわ。
「くそっ、まさか、また撃ち込まれるとは! だが、理由はわからないが、その手から射出された苦無が、関係しているのが分かった。なら、その苦無に近づかなければいい!」
「……! いえ、それが簡単にできるならやって見せなさい!」
本当にびっくりするわ。なんで、意識まであるのよ! とりあえず、苦無を! って、この苦無を飛ばしたら、あいつは苦無を回収するまで、簡単にこっちを攻撃できるわ。もう、私ってばかなり動揺しているわね。とりあえず、合間を取って深呼吸! すぅー、はぁー。よし少し落ち着いた。冷静に考えると、あいつをそのまま倒しても、マンマルちゃんを私が使えるとは限らない。なら、誘導して、マンマルちゃんを使わせた方が楽じゃ?
「よし、こっちよ!」
「なんだ? この場所だと不都合なのか? まあ俺は負ける気がしないがな!」
あ、付いて来た。攻撃はしてきているけど、なんとか躱して、アミのいる場所に着いた。
「何事! 何で敵を連れてきているんだい!?」
『念話で話すわよ。簡単に言うと、あいつがマンマルちゃんを持っているのよ。だから、あいつに封印させて、その後で倒すわよ!』
『なるほど、なら、簡単ではないけど、やってみるかな』
『ええ、そうね。じゃあ』
「倒すわよ!」
「うん!」
私の相手は、ライアンね。けど、なんで、あの砲撃が効かなかったのかしら? もう一発撃ちこんでみようかしら? そう考えて、私は、とりあえず、一撃を撃ち込んだ。
「そんな攻撃効かんぞ!」
そう言いながら、右腕の機械ではなく、体で受けた、ように見せて、何か下から出てきたのが分かった。
「影?」
私は印象のままに口に出す。影にしか見えなかったけど、あの防御はきっと、影を使っているわね? って事は、能力かしら? 又は、もう一人いるのかしら? そう考えておいた方がいろんなことに対応できるから、そう思っておいた方が良さそうね。十字砲火しようにもあの鉄の腕があると、吸収されかねないし、後ろには、賢者の砂もいる。どうしたものかしら? 影に魔吸を当てれれば、影はどうにかできそうだけど、でも、
「攻撃の隙が無い!」
いや、実際にはあるんだけど、影に魔吸を当てる隙がない! どうしようかしら……。ん? そういえば、影なら、光を照らせば攻撃を防ぎにくくなるはず、または正体がわかるはずよね? それなら!
私が唯一使える魔術雷の魔術を、頭の上でバチバチと発動させる。そして、もう一度砲撃、魔吸も射出。さっきのように防御されるが、影の正体が見えた!
「効かねえよ!」
「成程、砂鉄ね」
けどそれだけじゃ防げない筈。普通なら鼓膜も破けると思うんだけど、ってそういう事かしら、耳栓をしているわね。つまり右手であの砂鉄を操り、防衛時には耳に当たらない部分が鉄でできた耳栓を使って耳をふさいでいるってところかしら? 鉄なら操れるって事よね? なら! 電撃を流してあげれば一撃なのでは?
『アミ! そっちはどう?』
『こっちは闇の中に閉じ込めたよ』
『あら、凄いわね。なら、それを移動させられる?』
『うん、可能だよ』
『なら今って言ったら、私の後ろに闇ごと賢者の砂を移動させて』
『うん分かった』
さて、少し挑発すれば、多分乗ってくるでしょう。
「あんたの攻撃はもうすべて見切ったわ、マンマルちゃんのビームなんてもう通用しないわよ! そんなビームなんて捨てて、かかってきなさい!」
「ん、さては気様あのビームが苦手だな?」
「ギクッ」
「ならお望み通り、ビームで戦ってやる!」
此方に腕を向けて、ビームを照射しようとしてきたわね。なら!
「今よ!」
「うん!」
賢者の砂が後ろに来る前に私は逃げる。そして、
「しまった!」
賢者の砂をマンマルちゃんビームが捉え砂はすべて消え去った。
「くそ! これが狙いだったか! 今すぐ開放しないと!」
「そうはさせないわ! いでよ雷!」
弱い雷だけど、機械を呼称させるには十分そして、砂鉄をまとい、鉄を装備している敵にはかなりのダメージを与え、気絶させた。
「よし!」
「やったね!」
「どうしようかしら、まず腕からマンマルちゃんを取り外そうかしら?」
「そうだね。それがいいよ」
真柄の太郎太刀を武工から取り出して、装備。にマンマルちゃんを切り落とした。そしてそれを、
「私が、このマンマルちゃんを海に落とすよ」
「ええ、頼んだわ」
アミが、思いっきり投げた。それは海に落ちる……。
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