20話 空へ上がる危険物

空へ上がる危険物




戦闘を開始して、少し経った時、


『こちら、ムーン・エルピス。結界張り終わったでござる』


「どういう感じの結界だ?」


『拙者は円柱型の結界しか使えないのでござる』


「分かった。という事だ、自分が空中を見張る。もしもの時は、声をかけるがいいか?」


「ええ」


「うん」


「りょうか~い」


「というか、どっから沸いたのよ。飯野」


「いや、お前が自分のいたところに降ってきたんだぞ」


「そんな事どうでもいいよ、あそこまで蹴散らしながら行くよ!」


皐月の指さす方には、雛と奈波が苦戦している。


「ええ」


「分かった~」


あれ? この石、攻撃を当てただけで、消えるわね?


「やっぱり、この石、真井のコピーと一緒の能力だね。つまり、真井は吸収されたとみてよさそうだね……」


「そうね。そうだ、この数、そしてすぐ消えるなら」


「何をするんだい?」


「機工装着!」


戦車一両を装備、左手に主砲、足は膝当たりまで、キャタピラがあり、それを下すと、高速移動できるようになっている。砲撃を開始! 撃ちまくるわよ!


「へー、式も装着できるようになったんだね」


「ええ、なんとなくやったらできたわ。これで、押しつぶすわ」


「じゃあ~、あたしは~これで~」


アレはレールガン? それも二丁? それを石の多いところに砲撃を行っている。私も負けてられないわ! できるだけ、先頭に立ち、


「あそこに、二人の頭が見えるわ」


と先導して進んだ。だけど、


「式! 危ない!」


「えっ」


いつの間にか後ろに、人の形の石がさっき戦った悪魔が持っていた大剣を構え、肉薄していた!


「なんで、こんなところに!」


「おせぇんのよ!」


あ、死んだ。これは避けようがないわね。そう思っていると、上から、何か落ちてきたかのように、その石は地面に叩きつけられる。


「な、何事? って、そうか、飯野さんね。助かったわ」


 しかし、帰ってきた答えは、


『すまない、一体逃した。奴は、上空にある、人工衛星に向かってしまった』


「えっ」


『あたしが行くよ! 大丈夫、高度限界までに接近できるはず』


と言って、雛が飛んでいくのが見えた。そしてこの忙しい時に、通信が入った。


「はい、こちら式よ」


『式! あなたは今どこに居るのですか? 敵が攻めてきました。このままでは……』


「ごめん、誰?」


『モニカ・ウエアです! 急いでこちらに」


「ウエア御免。今、紀光全体の敵と戦っているのよ」


『なんですかそれ?』


「機工使いを全員洗脳しようとしているやつがいるのよ。だから今は行けないわ」


『……分かりました。では私だけで何とか乗り切りましょう』


通信切られたわね。悪いけど、本当に危機なのよね。だから、許して。

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