17話 対悪魔戦闘

対悪魔戦闘




「何? あのあからさまな罠。又は取ってくださいって感じなのかな?」


奈波が言いたいことも確かに分かるわ。あの箱、誘っている気がする。


「あれを今から開ける。が、その前に結界を張る」


「結界?」


「そうだ。外に何も出さない結界だ」


「え、なんでそんなものを?」


「そうしてないと、悪魔が外に逃げ出してしまうからな」


そう言いつつ、飯野さんが何やらぶつぶつと唱え歩き出した。それを見つつ、その場に立ち止まっている私たち、


「まだ開けちゃダメなんだよね」


「え、ええそのはずよ」


「そういえば、君たちの目的は何なんだい?」


「私たちは、紀光 文に、太陽神を集めてくるように言われて、探しに来たのよ」


「あ、文さんの知り合いなんだね。僕たちはその文さんに、エルピスを集めるよう言われたんだ」


「そうなのね、でもそんなに強い人たちを集めて、どうするつもりなのかしら?」


「僕たちは、ある人を助けるためなんだけど……っと、完成したみたいだよ」


お、飯野さんがこちらに来たわ。


「忘れていた。そういえば、この箱窪みがあるだろう?」


「ええ、そうね。確かにあるわ」


「そこに、セクーンと呼ばれるアイテムをはめ込むと開くのだが、その方法以外だと、皐文の助けがいるんだったな。悪い、夜まで待ってもらって……」


「なんで、開かないのかしら」


「それが、魔力による施錠がされてあるんだ」


「それなら」


私は魔吸を取り出す。そして、それを箱に当てて、


「開いたわよ」


「な! 魔力を消すものを持っているのか?」


「私の苦無は魔吸って物のレプリカらしいのよ」


「なるほど、皐文の武器のレプリカか、それなら納得だ。っとくるぞ」


 大量の良くなさそうなものがあふれ出る。しかし、この部屋より外に出ることもなく、地面に落ちてくる。かなりの量ね。


「……この量を相手にするのかい?」


 皐月の言う通りよ。この量どう相手すればいいのかしら? ざっと50人はいるかな。まだ増え続けている。この量、どうすればいいのよ!


「大丈夫だ、隊群戦なら、此方に理がある、奈波! 召喚だ!」


「え、あ、うん行くよ! 光」


「う、うん。分かったよ~」


あれ二人ともどうしたんだろう? 何かに気を取られていたみたいだけど……。二人は卵のような物を放り投げつつ魔術で風や雷を起こす。まるで嵐ね。卵の各5個が、形を変えて? いや、割れて? ペガサスと、雷の鳥? サンダーバードかしら? が飛び出し、残った各1個が、レールガンのような物と、ブーメランに変化したみたい。


「いっくっよー!」


「お~!」


サンダーバードが、敵を食らい、ペガサスが敵を吹き飛ばす。レールガンで固そうな敵を貫き、ブーメランで、空の敵を叩き落していく。その弱ってる敵を私たちが叩いていく。だけど、一人の敵がおかしい動きをしだした。


「腹減ったな。よし、お前ら食べるわ」


「な、お頭! や、やめてくれぇ」


黒い影みたいな奴が、共食いを始める。いや共食いじゃない、一方的にリーダーが、部下を食っている! 一方的な捕食だ! そのリーダーを潰そうと、戦車を出庫して、砲撃を試みるが、


「なんで、砲が通らないのよ!」


「なんか、食べた分だけ強くなってないかい?」


「そんな気が……」


「当たりっぽいよ。アレ、かなり強い!」


「戦闘狂の雛が言うなら間違いなさそうね」


戦車を収納する。それにしても、色々ときついわね。血の匂い、見た目、そして、あの武器、柄が骨の大剣、かなり不気味ね。


「グッハッハ、お前ら、俺の飯になりに来たのか? 殊勝なこった、今から食べてやるから安心しなぁ!」


その言葉とともに大剣を横薙ぎにしてくる。私と皐月はしゃがみ、他の人たちは上に飛んだ。というか、かなり広いわね、あの大剣の攻撃範囲。


「束になっても勝てるのかしら?」


「とりあえず、あの箱を再度開けるところからか」


さっき開けたはずの、箱が閉まっているわね。で、その前に、敵が立っている。


「確かに閉まっているわね。あいつが閉めたのかしら?」


「ああ、そうだろうな。あの中には最後に希望が残るって相場が決まっているんだ。だから、その希望を起こせばいいんだ」


皐月と顔を見合い、頷く。


「じゃ、私たちで、箱を開けるわ」


「任せたよ。皐月! 式!」


「ええ。その間、相手を任せたわよ」


雛をじっと見る。すると気が付いてくれたみたいで、雛は頷いた。


「じゃあ、行くわよ!」


「丸聞こえなんだよなぁ!」


私たち狙われている? 私に対して、大剣を振り下ろしてきた。とりあえず、右に回避して、出来るだけ近づこうと、前に走るけど、虎型の炎が飛んできて、回避せざる得ない。ちらりと、皐月を見ると、あちらもあちらで、火の巨大蠅にたかられている。奈波と光は、大剣に向かって攻撃しているみたい。


「まだまだ!」


 私は、まだ前に踏み出そうと。いう意思を見せる。それによって、悪魔は、こちらに火の巨大蠅を飛ばしてくる。けど、うまくいった!


「開いたよ!」


雛が開けてくれた。そして箱の中から、甲冑に身を包んだ侍みたいのが出てきたわ。


「拙者を起こしたでござるな。ぐふぉ!」


いや、一薙ぎにされるなんて聞いてないわよ。壁に叩きつけられているし……。それにしても弱くない?


「まだまだ!」


あ、立ち上がった。そのまま刀も抜かずに、突撃しているわね。お、今度は、大剣を回避して、火の蠅の阻まれて、燃えたわ。


「これぐらいで許しといてやる」


え、この人、


「あきらめる気!?」


「ガッハッハッハ。お前ごときが俺様にかなうはずないだろうが!」


「ん? いや、これぐらいで」


侍が抜いた刀と、大剣がぶつかる。ああ、またこのまま飛ばされ……ない! どういう事? さっきまでは、吹き飛ばされてたのに?


「対等以上に戦える」


大剣と刀が2度3度ぶつかる。そのたびに、悪魔が後ろ後ろに押されている。そして4撃目にて、


「うわ、こっちに当たるところじゃないの!」


「ああ申し訳ござらぬ。だがこれで」


大剣が横に引き落とされ、刀に真っ二つにされたわ。破片がすごくこっちに飛んでくるわ。す、すごく強くなってない?


「なかなかやるな! ガッハッハッハ! ならば、これはどうだ!」


「ねえ、あの悪魔なんで優位だと思っているの? 絶対不利じゃん。あの大剣破壊したのよ」


炎の虎が24頭巨大蝿が大量に現れた。って、ええ! これは優位だと思うわね。けど、


「行くわよ!機工展開」


「分かったよ、僕も戦うよ! 機工一部展開」


「あたしも行くよ! 機工装着!」


蠅が落ちてきて、それらを私と、雛で掃討して、


「僕たちも行くよ。光!」


「そうだね~。行こうよ。奈波ちゃん」


「「サモン!」」


今度は、人魚が現れて、波を起こしているわ。けど、9匹の虎が残っているわね。


「あとは任せるでござる。現れろ尼子十勇士!」


何処からともなく、9人現れた。全員顔が見えないけど、体格は侍さんと同じね。


「戦闘開始でござる!」


虎を一対一で、戦いが始まっている。そして、


「とったでござる」


いつの間にか、悪魔を切り伏せていた。


「なぜだ! なぜ俺様が負ける……」


「ふんっ、2度の苦難を乗り越えた拙者にお主など敵ではないでござる」


ふう、これで、戦闘は終わりね。私は蠅を倒すために出していた、苦無を義手の中に閉まっていると、


「まだでござる。そこの柱の裏に潜むもの、今すぐ出てこい!」

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