7話 空母
空母
「ふぁ~。よく寝たぁ~。ってアレ? 地面が揺れている?」
何で? あ、そう言えば、ここ船の中だったね。じゃあ大丈夫ね。さて、もう一寝入りしようかし、
『ごめん、式。ちょっと起きて、甲板に出てくれないかい?』
ん? 頭の上から大きい声が聞こえるわね。皐月の声かしら? なら、返事したほうが良いわよね? でもどうすやって返事すればいいのかしら? でも、周りを見渡しても、電話的なサムシングは無いわよ。あ、そうだ。機工の通話機能を起動。
「ええ、解ったわ。今から向かうわよ」
すると、今度は機工から、
『ごめん、話し方わからないよね。とりあえず、甲板まで来て』
「今から行くわ」
転ばないように、倒れないように、ゆっくりゆっくりと手すりを掴みながら、甲板に続く階段へと向かう。本当、片腕を切られると、ここまでバランスが、とり難くなるなんて。歩き難くて嫌になるわね。
「来たわよーって何あれ?」
「あ、来たかい? 式。あれが多分、病院で聞いた航空母艦だと思うよ。でも、なんで此方に接近してきているんだろう?」
確かに、船が段々大きく見えてきている。やっぱり大きい船ね。まあそれはそうよね。艦載機が大量に乗っているのだから。
『そこの船。病人、またはケガ人がいるだろう。治療は必要かな?』
え、この声は何処から聞こえて……、機工から聞こえているようね。という事は、機工使いかしら?
『うん、お願いできるかな?』
『分かったし。じゃあ迎えを出そう。君たちが機工を持っているのも気になるし』
通信が終わると、空母から、まあまあの大きさのボートが出てきて、
「あ、あなたたちが、き、機工の持ち主?」
おどおどとした、青い和服に燃えるような赤い髪の少女がボートから拡声器で、他の人なら拡声器無しで出せる大声ぐらいの声でこちらに話しかけてくる。
「ええ、そうよ。お世話になるわね」
「よ、宜しく。あ、あたしが案内するよ。け、ケガ人、病人は、あたしが運ぶ。け、健康な方は、じ、自力で何とか来て」
その少女は、機工を構え、何かを唱えると、脅威のジャンプ力で船に乗り、私をお姫様抱っこして飛び降りた。そして、私たち3人を乗せたボートが、空母に横付けされると、担架が下りて来て、私はそこに乗せられ括られた。そして、上に合図を送り、2人も下りてきた梯子で上がる。そして甲板に上がった私たちは、ゲートを通されて、ん? 何やら倒れたような音が、そっと頭を上げ、皐月の方を見ると、
「皐月!」
ゲートを通ったところで倒れていた。
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