第10話「ミカン大好き丸」
天日子の配信を長らく見てるとコメントがよく拾われる職人がいることに気付く。「ミカン大好き丸」という野郎だ。あらゆるマイナーゲームに精通していて、困ってる天日子にいつも的確なアドバイスを飛ばして信頼を勝ち取っている。どうせ普段からゲームばかりしてる太ったオタクくんなのだろう。しかし今日は違うぞ。今回は俺もやり込んだゲーム『ブラッド』だ。知識量では負けない。
「ねえねえ!どのキャラ選べばいいの?有識者おしえて」
定石は平均ステータスが高い騎士だが武器を両手持ちできる兵士という選択肢もある。ミカン野郎はどう出る?
ミカン「これって職業で能力違うの?」
おっと。もしかして未プレイですか?このゲーム結構売れましたよね?ミカン先生はマイナー専門でメジャーなゲームはやらないタイプですか?
「天日子のプレイスタイルなら兵士かな」
さり気なく天日子を誘導してみる。
「兵士?わかった」
よーーーーーし。初手から俺のコメントが刺さった。今日は土曜の昼なので4時間を超える配信になることが多い。その初手で刺さったのはデカい。
「奥に梯子あるよ」
「あ、ホントだ。助かる」
「火属性武器で序盤はゴリ押せるよ」
「そうなの?サンキュー」
どうした?どうした?今日はコメントがビックリするくらい通るぞ。
「そこで死ぬ人初めて見た」
「えー、チョー恥ずいんですけど」
「だから火属性って言ったじゃん」
「ごめんて!ごめんて!」
そんな感じでずっと俺のターンが続いた。平日より視聴者数も多いのに、まるで天日子と一対一で会話してるかのような至福の時が流れた。いつも饒舌だったミカン大好き丸のコメントが今日は少なく感じた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます