第5話「拾われるコメント」
「今なんか光ってなかった?」
「え?ウソ?あ、ホントだ。ありがとう。」
天日子にコメントを拾われ、とりあえずビールの缶をプシュっと開ける。大量に流れては消えるコメント中で、天日子がどんなコメントを拾うのか何となく分かってきた。ゲームは好きだけど基本ポンコツプレイの天日子は、優しく導いてあげるコメントを拾いがちだ。変にウケを狙ったり上手いこと言おうとしても基本スルーされる。逆に「今の右だろ、何やってんの」みたいな指示厨コメを書くとブチ切れる。いくらコメントを拾われると言っても天日子に嫌われては意味がない。一度もオフラインで会った事がないコメントだけの関係だが、それでもある程度の信頼関係を築く事は可能だ。その証拠に天日子はメールアドレスを開放している。この配信の為に作った捨てアドだけど、俺たちの意見を積極的に受け入れようとしている。次にやってほしいゲーム教えてとか、新しい扇風機を買おうと思うんだけどオススメある?とか。正直最初の数ヶ月は全くコメントを拾われなかった俺だが、天日子がメールを募集すれば必ず返信したし、ツイッターにも積極的にリプを飛ばすようになったら、コメントを拾われる率が格段に上がった。確証は持てないがおそらく俺のハンドルネームも認知してるはずだ。てか俺のツイッターとかも内緒のリストでこっそりチェックしてるに違いない。でもそんな事は絶対に公言しない。天日子はあくまで俺たちを平等に扱う。だからこそ金の力で一足飛びに距離を縮めるスーパーチャットを俺は許せないのだ。俺は金を掛けずに距離を縮める。絶対にスパチャはしない。
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