04 彼女
心が、ちょっとずつ。
本当に、少しずつ、ゆっくりと。壊れはじめた。
最初は、講義に行けなくなるところから。だんだん外に出ることもできなくなり、部屋に、とじこもるようになった。
大学の最高学位はとった。通信でなんとかなったし、おかねのほうも心配はない。
最初から、ひとりだった。だから、ひとりでいることに何の疑いも持たず。学生生活に必要なぶんだけの適度な友達を持った。幸いなことに顔が中の下くらいの弱さだったので、友達を作るのは簡単だった。
顔が良い人間には、同情してしまう。平等だの差別だのが叫ばれる、このご時世。顔が良い人間ほど、くるしむようにできていた。中の下くらいの自分には、生きやすい。
それでも。
ひとりでいると。
心が。音をたてて崩れていくのが。わかる。
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