02 彼女
夢の中。逢ったときの、からだの感覚。思い出せたり。思い出せなかったり。
実際にふれ合ったわけでもないのに。疼く。
「うん。うん」
電話先。どうでもいい会話。
「彼氏さんも、そう思ってるんじゃないかな」
どうでもいい友達の、どうでもいい恋の悩み。
「うん。そうだね」
悩みの解決を求めているのではない。恋の悩みをわずらっている自分に酔っている、だけ。なんとも煩わしい。
「きっと大丈夫だよ」
大丈夫ではないのは、わたしのほうかもしれない。
この年になって。現実世界の恋人なんて、作ったこともないし、いらない。ぼうっと、生きている。
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