第1話

@mizuhana0825

「まだ蕾の花達よ」

・黒江 つづら(くろえ つづら)♂︎

14歳。頬にある絆創膏が特徴。

明るく、男女共に好かれがちなクラスの盛り上げ役。

察しがよく、ユリと話が合う。



・白夜 ノアル(びゃくや のある)♂︎

14歳。異国人とのハーフ。

女性に耐性がなく、雰囲気とは合わない天然。

戦闘ではクールで冷静に物事を対処出来る。



・花宮 ユリ(はなみや ゆり)♀︎

14歳。お嬢様。

しっかり者で礼儀正しい性格。

幼い頃から習っていた格闘技で前衛として戦う。



・サクラ(さくら)♀︎

14歳。戦闘能力はない一般人。

優しく健気な少女。趣味は読書。

放課後は図書館で過ごすことが多い。



・龍宮 ダイキ(セリフ少なめ)♂︎

2-Aのクラスメイト。

明るくヤンチャなタイプ。



・先生♀︎

2-Aの担任の先生。

担任であって、授業を受け持っている訳では無い。



・N

ナレーション。





━━━━━━━━━━━━━━━



つづら♂:

ノアル♂:

ユリ♀︎:

サクラ♀︎:

ダイキ♂︎:

先生♀︎:

N(不問):



━━━━━━━━━━━━━━━


「第1話」




N:ここは、人間が生み出してしまった暴走植物兵器「ウィード」と人類が戦争をしている世界。

舞台は日本。政府は増えすぎてしまったウィードに対抗するため、中高生向けの戦闘育成用の学校を建設した。

これは戦闘育成学校中等部の、2年A組で起こってしまったお話___



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



(廿楽が教室の扉を開ける)



つづら:おはよ〜


ダイキ:お!つづらじゃん!

お前やっと来たなー!


つづら:なんだ?ニヤニヤしやがって

クラスの皆も騒がしいな…なんかあったのか?


ダイキ:そーれーがーさあ!この戦育学校に転校生だって!

こんなこと今まで1度も無かっただろ!?


つづら:へぇー!

それはすげぇな、一体どんなエリート様だ?


ダイキ:おいおい…

お前、油断してると順位抜かされるぞ?


つづら:そうだな〜抜かされないよう神様にお願いでもしとかねぇとな〜


ダイキ:結局神頼みかよ!

もう抜かされちまえ!!




(背後からユリがこっそり近づく)



つづら:それで、その転校生は…


ユリ:…わっ!(つづらを驚かす)


つづら:うおあああ!?!??

なんっだよもう!びっくりした…!


ユリ:まぁ、そんな驚かれるとは…

つづらさん、ダイキさん、おはようございます


つづら:おま、ユリ、心臓に悪いだろ…


ダイキ:ユリちゃんおはよ〜!!

今日も美しくて麗しい姫君だね!


ユリ:それはどうも


つづら:はいはい、おめーらよくそれ飽きねーな

あとユリ、クラスメイトなんだから敬語はやめてくれよ


ユリ:そう言われましても…

敬語以外の話し方には慣れていないもので


つづら:これから少しずつ慣れていけばいいだろ?

卒業までにはタメ口で話せるようにしてやるよ


ユリ:あら、できますかね?

昔からなので、結構難しいと思いますよ


つづら:へぇ…

俺に勝負をもちかけたな、ユリ?


ダイキ:いやなんでそうなるんだよ!

なぁ〜俺にも優しくしてよユリちゃ〜ん!!


ユリ:はいはい、皆さん朝から元気ですね〜



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



(場面変わって職員室前廊下)



ノアル:(小声でボソボソと)

はじめまして、僕は白夜ノアルと申します。どうぞよろしくお願い致します。

いや、硬い…?もっと楽な感じの方がいいかな…

え、えーと…僕の名前は白夜(びゃくや)ノアル!よろしくねっ!

いや…うーん、これも…


先生:………

緊張するとは思ってたけど、ここまでとは思わなかったわ。


ノアル:そ、そりゃ緊張しますよ…!

先生言ってたじゃないですか、戦育に転入生なんて前代未聞だって!

はぁ…あんまり目立ちたくないのにな…


先生:でも、私のクラスなら馴染めるはずよ

白夜(びゃくや)くんは成績優秀だし、きっと大丈夫!


ノアル:うぅ…ですかね……


先生:あ、もうすぐ朝のホームルームの時間ね。

教室まで一緒に行きましょう


ノアル:うぁ…!は、はいっ!(元気よく)




┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈




N:先生が教室の前に立つ。

教室は中学校の教室とは思えないくらい静かだった。

この静けさが他の中学校とは違う、統率のとれた軍隊学校の一部であることを物語っている。

先生は教室の中に入り、生徒に話しかけた。




先生:…皆、席についてるわね。

もう知っているとは思うけど、今日は転校生を紹介するわ。

おいで、白夜くん



(扉を開けて入るノアル)



つづら・ダイキ:っ…!?(驚く)


ユリ:?



ノアル:(以下緊張して)

ご、ごほん!は…はじめまして!

ぼぼ僕は!びびび白夜ノアルといいますっ!

き、今日からひょろしくお願いしゅましゅ…………しゅっ…………!!



廿楽:…え


大黄:…噛んだな


ユリ:盛大に噛みましたね


ノアル:うぁっ、よ、よよよろしくお願いしまぁす!!



(以下重なってもいいので全員笑ってください)



大黄:ふっ……あはははは!!(爆笑)


廿楽:(盛大に吹き出す)

あっはは!ひぃ…!!腹いてぇっ


ユリ:っ…ふふっ………ご、ごめんなさ……


ノアル:あ、ああ、あああっ…




先生:こ…こら!静かに!



(いきなり静かになる)



先生:っ…さすが、切り替え早いわね…

白夜くん、大丈夫?


ノアル:は、はは、ははは…

全然……平気です………

(落ち込んだ声)


先生:もう…皆、笑いすぎ!

白夜くんはこれから2年A組の生徒になります。

みんな仲良くするように!


ノアル:はは……よ、よろしくねぇ〜…

(か細い声で)


先生:…えーと、今空いている席は黒江くんの隣ね。

白夜くん、黒江くんの隣の席に行きなさい。


ノアル:はい、わかりました…



(席に座るノアル)



ノアル:黒江くん、よろしくね


廿楽:…いや、同級生なんだから

呼び捨てにしてくれよ。

俺は廿楽っつーんだ。よろしくな、ノアル!


ノアル:あ、うん…!よろしく、廿楽(つづら)!



(間をあけて)



ユリ:白夜…どこかで聞いたことがあるような…

廿楽さんと何か関係が…?


大黄:いくら何でも、これは酷すぎるぜ神様…



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



N:その日行った授業では、ノアルの成績優秀さにクラスの皆が驚いていた。

接近戦では上級生にも余裕で勝てるほどであり、勉強においても学校トップクラス。

正に優等生であり、1週間もあればクラスに馴染んでいた。

転校生が来てから10日ほど経ったある日、帰りのホームルームでのこと。



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈




先生:はい、今日も皆お疲れ様。

最後に今後の連絡事項を伝えます。

…来月の第一金曜日に実習訓練を行うことを予定しています。




N:その一言で、静かな教室がざわめいた。

中学校らしい教室へと変わる。




廿楽:なっ…!?

そんな、早すぎるだろ!


大黄:おいおいおい!

いくらなんでも時期を考えろよ…!


ユリ:な、なに!?

クラスの雰囲気が…!?


ノアル:き、きた…!!

先生、参加メンバーは!?



先生:静粛にッ!



N:この一言で、また静かな教室へ戻る。



先生:わかってるように、半年前の事故以来になるわ。

前回より慎重に行うため、今回は全校生徒トップ10位以内のみ、実習訓練に参加します。

今からこのクラスの中で、参加対象者になった子の名前をあげるわ。



先生:「花宮 ユリ」


ユリ:…! はい!



先生:「黒江 廿楽」


廿楽:…はい。(不服そうに)



先生:そして「白夜 ノアル」…ね。


ノアル:あ…!!

は、はいっ!!



先生:白夜くんは転校してきたばかりだけど、これはこの学校のルールよ。

今後もしっかり訓練に励むように!

3人は明日の放課後、職員室に来なさい。

以上!




N:その一言が言い終わると一気に雰囲気が変わり、年相応の騒がしさが戻る。

廿楽とノアルの近くにユリと大黄が移動し、4人は話し始めた。



廿楽:…あ~あ、俺もかよ。

11位くらいに落とせばよかった


大黄:おいおい、ハブられた俺の前でそれ言うなよ!

俺もユリちゃんと一緒に行きたかったぜ〜

なんなら今からでも代わってやろうか?


ユリ:そんなに嫌がるなんて…

前の実習訓練で何かあったんですか?


廿楽:っあー…

いや、えーと…うーん……


ノアル:何モゴモゴ言ってるんだよ廿楽〜

選ばれることは光栄だろ?


廿楽:いやそうなんだけどさ~…


大黄:…廿楽。


廿楽:やっぱなんでもねぇ、お互い頑張ろうぜ。


ユリ:…そうですね、頑張りましょう。


ノアル:うん!頑張ろ〜!




大黄:(小声)廿楽、大丈夫か?


廿楽:(小声)心配すんなよ

こうなる気はしてたさ




ユリ:…そういえば、廿楽さん

放課後に予定はおありで?


廿楽:ん?

いや、ノアルに今までの授業を教えようかと思ってるけど…


ユリ:あら…

でも、ノアルさんの方が成績優秀なのでは?


廿楽:い、痛いところをつくな…


ユリ:ふふ!

お時間よろしければ、この後二人でデートしませんか?


廿楽:………はい?


大黄:……………はぇ?


ノアル:…えぇ!?(嬉しそうに)


廿楽:いやなんでお前が嬉しそうなんだよ!

デート?なんで急に…


ユリ:………


廿楽:…あー、わかった。

わりぃノアル、大黄、えーと…


ノアル:(以下わざとらしく早口で)

あ、あぁー!!!

そういえばこの後図書館で勉強するようにお母様から言われてるんだった!

僕ってばうっかりしてたなー!

大黄くんも一緒に来る?勉強大変そうだよね!僕に任せて!

ごめん廿楽!あとは2人でごゆっくり!

じゃあね〜!!


大黄:まて!俺はまだ行くって言ってな…

ユリちゃん!早まるな!絶対俺の方がいいって!

ねぇユリちゃ〜〜ん!!



(2人が遠ざかっていく)



廿楽:え、ちょ…ノアル!?

いやアイツ足はっや…!大黄死ぬぞ…


ユリ:ふふ、ノアルさんって面白い人ですね。

なにやら誤解されていらっしゃるようなのですが、面白そうなので放っておきましょうか。

(雰囲気が変わる)

…行きましょう。


廿楽:…あぁ。



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



N:その後、ショックで項垂れる大黄を公園のベンチで休ませて、ノアルは1人で図書館に向かった。

勉強をするためではない。

彼は1人になりたかったのだ。



ノアル:…転校初日で実習訓練の参加メンバーに入れるなんてね。

これも運命…なんていうのかな。

僕は、ウィードを倒し続けなければならない。

…クレア。



N:その後図書館に着いたノアルは、受付係の女性に学生証を提示する。

すると鍵が手渡され、ノアルは奥の書庫へと向かう。

しかし、大量の本を抱えている人にぶつかってしまった。



ノアル:おっと、ごめんなさ…うわああああ!?


(本がドサドサとノアルの上に落ちていく)


サクラ:わああ!?ごめんなさい!!

だ、大丈夫ですか!?


ノアル:痛ったぁ……い、一応…大丈夫です…


サクラ:本当にごめんなさい!!

やっぱり少しずつ持っていけばよかった…!

あの!立てますか…!?




N:目の前には手を差し伸べる、同じ中学生くらいの女の子がいた。




ノアル:え、あっ、大丈夫です!お気遣いなく……!


サクラ:…怪我は無さそうですね、よかったぁ…

どこかぶつけたりしていませんか?


ノアル:は、はい!

僕は大丈夫です、あなたこそ怪我をしていませんか?


サクラ:あ、私も大丈夫です!

ぶつけたのは私の方からなのに、心配してくれるなんて…

優しい方ですね、ありがとうございます!

(笑顔をノアルに向ける)


ノアル:うぁ……


サクラ:では私はこれで、失礼しますね。


ノアル:あ…!ま、まって!あの!


サクラ:え、はい…?


ノアル:…はっ!?




N:ノアルは女の子を引き止める。

しかし、引き止めたものの用などない。

咄嗟に口に出てしまっただけなのである。




サクラ:?


ノアル:え、え、えーと…


サクラ:どうしたんですか…?

やっぱり怪我してたとか…!?


ノアル:い、いや!違います!

す、すごーく元気です!僕、結構頑丈なので!


サクラ:よかった…!

えーと…?私になにか御用ですか?



ノアル:あ、え、えーっと…

よく、ここに来たりするんですか…?


サクラ:…?

私、学校終わりはいつもここに来ているんですよ


ノアル:そ、そうですか!

あ、いやえっと、変なことを聞いてしまってすみません…


サクラ:い、いえ…?


ノアル:(深呼吸)

…あ、あ、あの、僕、明日も図書館に来ます!

よかったらその…僕、の…

は、話し相手になってくれませんか…!?


サクラ:えっ…!

わぁ…!私でよければぜひ!

実は最近引っ越してきたばかりで、お友達が少なかったんです。

嬉しいです!お名前はなんて言うんですか?


ノアル:あ…!(嬉しそうな雰囲気)

僕はノアルっていいます、君の名前は…?


サクラ:私はサクラっていいます!

ふふ、ノアルくんって言うんですね…!

これからよろしくお願いしますねっ


ノアル:あ…!うん!よ、よろしく、ね…っ!




┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



N:ノアルは当初の目的をすっかり忘れ、しばらくサクラと話していた。

女の人と喋ることの無い自分が、一目惚れした女の子と話せることをとても喜んでいた。

だが、一方その頃。廿楽とユリは___



┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



廿楽:へぇ〜…最近は屋上でデートするのが流行ってんの?


ユリ:あら、知らないんですか?

ふふふ、廿楽さんったら時代遅れですね


廿楽:ひっでー…

…それで?カップルでもない俺らがこんな屋上で、一体何をするんだ?


ユリ:…単刀直入に、聞きたいことがあります。


廿楽:……いいぜ、答えるよ。


ユリ:私は、突然2年A組の席が空いたため、1番人数が多いクラスだったC組からA組に来ました。

その際、なぜ席が空いたのかを知らないまま来てしまったのです。


廿楽:へぇ、それで?


ユリ:クラスが変わったあと、私は皆さんと難なく打ち解けることが出来ました。

ですが、私がこのクラスへ来ることになった理由を誰も知らないと言うのです。

それに、実習訓練と聞いた時のあのざわめきよう…

…私には知らない何かが、A組にはある。

そうですよね、廿楽さん?



廿楽:………

勘がいいね〜って言いたいけど。

まぁ、ここまできたら怪しいと思うのが普通だよな。


ユリ:どうして誰も教えてくれないのですか…?

私にだけ隠し事なんて、皆さん酷いじゃないですか…


廿楽:…悪かった、何もユリを仲間外れにしようとしたわけじゃない。

このことは、本当は知らないままでよかったはずだったんだ。

ノアルが転校してくるまではな…


ユリ:やはり、ノアルさんにも関係がある話なんですね。


廿楽:ああ。

これから伝えることは、ノアルには話さないでくれ。

俺は…あいつが、怖い。


ユリ:…わかりました。




┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈



N:かつての2年A組で何があったのか。

ユリがクラス転入してきた理由とはなにか。

ノアルが口にした「クレア」とは一体誰なのか。

全ての謎を残したまま、2話へと物語は続く____




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