第1話

私の名前は、黒縁魔夢くろぶちまゆ、黒髪ロングに、スレンダーな体に、かっこいい美人と言われれるタイプの顔つき、ここまでは、まだ人としてあり得る容姿だ。

だが、左肩あたりから腰の辺りまである一見模様のように見える黒いアザに、左眼の色が赤色だったりと、普通ではない容姿である。

しかも、これが生まれつきでないのが問題なのである、実際両親からは呪いだのなんだの言われ蔑まれ、町では祟りだのなんだのと、さらに医者は、奇病だの未発見の事例だの、まぁこんな容姿のせいで生まれ育った町とことん苦労することになったのだが。

今は、忌々しい故郷を離れ東京で暮らしている。

 

「むにゃ、もうたべれなぁい」

 

この、幼馴染こと、白音虹色しろねいろはと、一緒にである。

陶器のような白い肌に白い髪、容姿端麗、才色兼備、さらには性格も良しときた。なんなんだろうか?この幼馴染…

神は人に二物を与えずというけれどこいつは、ニ物どころか、三物四物くらいはもらっているような気がするのだが?

 

こいつとは、幼少期からの付き合いで、いつものように遊んでいた、でも、アザが現れてから急に、両親から町の人すべてに至るまでまるで汚物を見るかのような目で見てくるようになってから私は、人を信じられなくなってしまっていて、白音も同じような目で見てくる、そう思っていた。

だけど、いつもとわらず白音は毎日毎日同じように話しかけてくる。

初めは、同情されているだけだと、裏では何か言っているものだと、そう思って無視を決め込んだ。

でも、白音は諦めなかった、次もまた同じように、その次も、その次も、もう私が数えるのをやめた頃。

私は気になってこの幼馴染に「なんで私に構うの?」とたずねた。

白音は、私と会話できたことが嬉しかったのか、涙目になりながら

 

「だって、私は黒ちゃんと一緒にいたい、話したい、遊びたい!」

 

そんなこと言われても、と私は思う。

 

「こんな呪われたようなアザに赤い目があっても?」

 

なんて返ってくるか不安になりながら私は、そう尋ねた。

 

「なんで?そんなこと言うの?かっこいいじゃん!体にあるアザに赤い瞳のオッドアイ、私は好きだよ!」

 

「なっ!」

 

白音は私に抱きついてそう言葉を口に出した。

 

「それに、私は容姿なんかで人を図ったりしない!」

 

「もう、ひっつくな!」

 

まぁ、こんなことがあって、私たちは会話をするようになる。それから1ヶ月もするうちに、いつでも一緒に行動するような、仲になった。

初めは、白音のことを信じたくてでも、信じられなくて本当なのか確かめたくて、一緒にいた。

でも、だんだんそれだけじゃなくて、本心から白音虹色と一緒にいたい、そう思えるようになった。

そんな感じで、高校になってから逃げるようにその街から出てからもこいつがついて来ようとするので、いっそシェアハウスにしよう、そういうことになったのである。

 

そんな経緯もあって、今美少女も裸足で逃げ出す幼馴染を、私は現在膝枕しているのだが。

 

「そろそろ降りて白音、ちょっと足が痺れてきた。」

 

「もうちょっと…むにゃ」

 

「今日の買い物一人で行ってきてもらうけど?それでもいいならいいけど?」

そう言うと、即座にその場から立ち上がり

 

「すいませんでしたぁー」

 

そう言って自分の部屋に戻って買い物の準備を始める白音。

 

「お待たせ〜」

 

少し待ったら、白音が部屋から出てきた。

 

「さぁ、黒ちゃんデートを楽しもうぜ!」

 

「いやデートじゃないって!もうこのやりとり何回目?」

私が否定すると、白音は、こう返す。

 

「デートっていうのはね?愛し合う二人が、楽しく買い物や食事、遊園地などにでかけることのことです!」

 

そう言いながら白音は、さらに畳み掛ける。

 

「そう、そして私、白音虹色は、黒ちゃんのことを誰よりも愛しています。つまりこれはデート、異論は認めない!」

 

ふむ、確かにでも、

 

「私が白音のこと好きかどうかによるんじゃない?」

 

「え!?」

 

そう私が話すと、白音は泣きそうな顔で私に

「白音、私、嫌い?」

 

片言で喋りだす白音に流石にまずいと思い。

 

「べ、別に嫌いじゃないし、」

 

「じゃあ、好き?」

 

上目遣いで私に聞いてくる。

うっ、やめて私は、私は、

「あ、え、その、うん、あっ?」

 

そうだこう返せば!

 

「幼馴染として、友人として、白音のこと…好きだよ」

 

そう口にすると今度は、幸せそうな顔で

 

「えへぇへぇ、好きだなんて…ぐへへ」

 

だんだん溶けていくかのように錯覚するほど頬をゆるませていく白音に

 

「戻ってこーい、見せられない顔になってる!」

 

そんな会話をしながら私たちは、予定の時間をちょっとすぎたあたりで家から買い物に行くのだった。

そう私はこの時までなんの変哲もない普通の休日での買い物で終わると思っていた。

 

帰り道の途中で空が割れるまでは。

 

 

 

 

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