夜
@szrn
第3話
頭が痛い
何も考えたくないのに、目を瞑ると朝が来てからのことを想像してしまう。
音を流しても、全く違うことを考えようとしても、ずっと、頭の片隅で考えてしまう。
苦しい。
胸の締めつけを誤魔化すように、腕の中にあるぬいぐるみを強く抱きしめる。
心臓が脈打つ。
当たり前だ、生きているんだ。
それでも、音がうるさい。
あぁ、今日も寝れずに朝が来る。
目を閉じて、目を開いて、頭痛を感じて、息苦しさを感じて、心臓の音を聞いて、逃げるようにまた目を瞑る。
何度繰り返しただろう。何時間経ったんだろう。部屋に光が指す。影ができる。光から逃れるように、布団を被る。
また今日が始まる。
また今日が、なにもできないまま終わりそうだ。
弱い自分が嫌になる。
いいわけを探して逃げようとする自分が嫌になる。
それでも、この頭の痛さを抱えて、あの場所に行こうとは思えない。
今日こそは、そう思って目を閉じて朝に備えるのに、季節が巡ってまた同じ季節が来たのに、今日も、ここから、出られない。
夜 @szrn
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