あるスキルを使うとステータスが最弱になるけど組み合わせ次第では最強?

y@siron

第1話 始まりの時・神様からの恩恵


「たぁ!たぁ!」


「まだだ!切り込みが遅いぞ!」


「はい!父上!」


ここは王都から遠く離れた場所にあるフローレス領

領の周辺には山、川、森に囲まれ自然溢れる場所

王都から遠い為、王都からの交易は月に一度だけ

世間からは田舎で何も無い場所と言われている

この領で三番目に生まれた男の子【ノア=フローレス】の物語である


☆★☆★


この領は父親セタス=フローレスが治める領である


その昔、ある王国貴族の派閥が裏切り、帝国が王国に攻め込み王国が持つ帝国との国境にある都市を制圧した

その都市は国境にあるが故、王国軍の重要拠点となっており王国の最新技術が詰め込まれていた

王はすぐに奪還作戦を考え王国兵の他に王国中の冒険者を募った

その当時まだ19歳であるセタスは知り合いと共に4人パーティを組み王国で冒険者をしていた

セタス達は王の声を聞き作戦に参加し都市に潜入する部隊に配属された

セタス達潜入部隊は内部から帝国軍を掻き乱しその間に正面から王自ら率いる親衛隊が突撃する

その結果セタスの属するパーティが帝国指揮官の将軍首を2つ、更にはセタスが単独で大将首1つと大手柄を立てた

その後セタスの率いるパーティは誰もが認める戦の功労者となり色々な褒賞を与え、王はセタスに男爵位とこのフローレス領地を与えられた


「今日の訓練はこれくらいでいいだろう。ノアは顔を洗ってきなさい」


「ありがとうございました父上!」


トットっと早足で家に戻るノア


「早いものでノアももうすぐ8歳か…あいつは神からどんな恩恵を受けるのか」


セタスは我が子の後ろ姿を見ながらそう呟く

セタスはおもむろにステータスを開く


セタス=フローレス

年齢 45歳

性別 男

種族 人族


体力 36000

魔力 4000


称号

フローレス男爵家当主 オックス王国の英雄 Sランク冒険者 狂戦士 超愛妻家


魔法

生活魔法Ⅶ 火魔法Ⅴ 土魔法Ⅲ 無魔法Ⅶ


スキル

剣術Ⅷ 斧術Ⅲ 槍術Ⅲ 体術Ⅵ 物理耐性Ⅵ 魔法耐性Ⅲ アイテムボックスⅤ


ユニークスキル

狂暴Ⅳ


加護

武神の加護Ⅵ 生命神の加護Ⅲ 魔法神の加護Ⅱ




「長男は武に、次男は魔法に長ける…あいつはどっちになるか」


セタスはステータスを閉じ家に戻っていく




☆★☆★



ノアが8歳になった朝

朝から屋敷のメイド達がバタバタと仕事をしている

今日の夜にはノアの誕生パーティが開かれるからだ

王都に住む貴族等は色々な貴族に招待状を送り盛大に祝うがここは辺境の地

更には父親セタスは貴族の繋がりが薄い

その為招待されているのは領地の者とセタスの元パーティメンバーのみである

貴族にしては少ないがノアはそれでも嬉しかった

祝ってくれる人達がいるだけで嬉しかった


ノアはふぁ〜と軽く欠伸をし服を着替えてペタペタ歩き食堂に辿り着く


「おはようノア」


「おはよう私の可愛いノア♪」


食堂には父親セタスと母親ノエリアが席座ってノアに挨拶をした


「おはようございます父上、母上!」


ノアは挨拶をすると席に座る

席に座るとすぐに料理が並ぶ

フローレス領は自然が多い為野菜、果物は特に新鮮な食材が揃う

ただ、領で飼っている牛や羊等は少なくあまり肉料理は並ばない

今日の朝食は野菜のスープと野菜サラダに黒パン、飲み物は果汁100%ミックスジュース



☆★☆★



ガラガラ


ガラガラ


領主の屋敷から一台の馬車が領地内の村にある教会に向かう

馬車にはノア、セタス、ノエリアが乗っている

これから教会でノアは神からのお言葉を聞き神から祝福を受ける

祝福を受けると神から様々なスキルの恩恵を受ける

基本的なスキルからユニークスキルまでピンからキリまである

基本的なスキルは努力をすれば覚えられなくはないがかなりの努力が必要だ

ユニークスキルはその名の通り特異なスキルのため、神からの祝福でのみ発現するスキル

ユニークを持つ者は希少でありスキルによっては万分の一、億万分の一のスキルもある



☆★☆★



ノア達を乗せた馬車が村の教会に着いた

教会に入ると村唯一の神父が挨拶をする


「お待ちしておりましたセタス様、ノエリア様

そしてこの度神の祝福を受けるノア様」


神父はニコッと微笑みながらしゃがみノアと同じ高さの目線で話す


「俺とお前の仲じゃないか。前みたく話してくれ」


「そうよ〜私達昔からの仲じゃない!」


セタスとノエリアが神父に話す


「はぁ〜わかったよ。一応神父なんだからそういう話し方になるだろ?それにそっちは領主なんだし」


神父がいつも通りの話し方に戻ると二人は揃って笑い始める

実はこの神父、元々セタス、ノエリアと一緒にパーティを組んでいた6人の一人で名前はマイロン

スキルで光魔法を持っており回復やバフで味方を援護をする他、ユニークスキル【剛壁】で前線の盾役もこなす盾ヒーラーでもある


「とりあえずさっさと始めよう。子供によってはかなり時間がかかる場合があるからな」


そう言って神像の前まで案内する

両親は席に座りノアは神像の前で膝をつきお祈りのポーズをする


「それでは神への祈りを始めます。この世界を創りし神よ!この世界を護りし神よ!この生命を授けし神よ!新たな子へ祝福を!」


マイロンが祝詞を唱えると同時にノアの意識が遠のく



☆★☆★



ここは…どこ?


ノアは白い靄に囲まれた場所にいる

ノアはキョロキョロしながら少しずつ前に進む



☆★☆★


ノアの体感で数分歩いた

すると前の白い靄の一部が裂かれており、その隙間から光が見える

ノアはそこに向かい走った


白い靄を抜け光の先にあったのは緑が生い茂り太陽の陽射しが降り注ぐ場所

その中央には大きくそびえ立つ樹、そしてその下には円形のテーブルといくつかの椅子があった

ノアはどこの場所なんだろう?と思いながらもその大きな樹の前まで歩く

樹の下まで辿り着くと樹が急に光出し、辺りを包み込む

ノアは目を閉じ光が弱まるのを待った




「ふふっ。いつまで目を閉じてるの?」



優しい声が聞こえる

ノアはビクビクしながらもゆっくりと目を開けてみる

すると先程目の前にあった大樹が消えており

その場所には優しく微笑みながらノアを見つめる女性が立っていた


「あ…あなたはだれ?」


ノアは後退りしながらも声をかける


「そんなに警戒しなくても…私の名前はライシャ。この場所であなた達を見守っている者よ」


ノアはその名前を聞き驚いた

【創造神ライシャ】

ノアのいる世界を創りし始まりの神と言われているからだ


「あっ…あの創造神様のライシャ様ですか?」


恐る恐るノアが尋ねると「あ〜あなたの世界では確かにそう呼ばれているわね」と話しながらいつの間にか置いてあるティーカップに口を付ける


「とりあえず私とお話しない?美味しいお菓子と紅茶を準備しているのよ」


うふふっと微笑みながら何も無い所からお菓子を取り出しテーブルの上に置くと手招きしノアを椅子に座らせた


☆★☆★


ライシャが語った内容はまず初めに神の恩恵について

神の恩恵は8歳になる子供に対して行われる儀式である

しかし8歳になった日でなくてもいいらしい

稀に30過ぎた大人が儀式をし一目惚れして求婚する人もいるそうだ

それを聞いたノアは心の中で(確かにライシャ様は凄く美人で優しそうだからな〜)と思っているとライシャ様になでなでされた


次に儀式が始まると神様に会う人と声だけしか聴こえない人の二種類ある

神様に会えた人は何かしら特殊なスキルを、声だけの人は一般のスキルを得るらしい

さらに、会える神様は人それぞれでライシャ様に会える人は極少数らしい


ノアが一番頭を悩ませたのが最後のスキルについてだ


「ノアくんのスキルなんだけどね…ちょっと…いや、かなり珍しいスキルなの

心の中でステータスオープンって唱えてみて」


ノアは言われた通りにする

(ステータスオープン)

すると目の前に薄いプレートが出現した


ーーーーーーーーーーーー


ノア=フローレス

年齢 8歳

性別 男

種族 人族


体力 1500

魔力 800


称号

フローレス男爵家三男


魔法

生活魔法Ⅰ 火魔法Ⅰ 無魔法Ⅰ


スキル

剣術Ⅰ 体術Ⅰ 物理耐性Ⅰ アイテムボックスⅠ


ユニークスキル

能力視Ⅰ 弱体Ⅰ 強肉弱食Ⅰ


加護

創造神の加護Ⅰ


ーーーーーーーーーーーー


色んなスキルがある!ユニークスキルが3つも!!

ノアがぴょんぴょん跳ねながら喜んでいるとライシャが難しい顔をしながら話しかける


「とりあえずユニークスキルをタッチしてみて」


ノアは一つずつタッチする


ーーーーーーーーーーーー


能力視


対象の能力を細かく見れる

レベルが高い程より詳細になる


弱体


対象の能力を弱体化させる

レベルが高い程能力を弱体化し、弱体時間が長くなる


強肉弱喰(強き者の肉を弱き者が喰らう)


自分が対象より能力が低い場合その能力を交換する

レベルが高い程能力の交換し、交換時間が長くなる


ーーーーーーーーーーーー


???

ノアはスキルの内容が難しかったのか何度も頭を傾ける


「やっぱりそうなるわよね〜一つ目と二つ目は分かるけど最後のはちょっとね…」


ライシャは悩み過ぎてフラフラしているノアを抱き抱え話す


☆★☆★


「ふぅ〜」


ノアは話を聞き終わると紅茶を飲み干し気持ちを落ち着かせる


「少しは落ち着いたかしら?まだまだあるからゆっくり飲みなさい」


ライシャは空になったカップに紅茶を注ぐ


「ありがとうございますライシャ様!

あの…よくわからないスキルは使ってみて考えます」


「そうね…私も他の神達に確認してみるわ

とりあえずノアくん、あのスキルは多分君しか知らないスキルよ

ステータスを知らない人にはぜっっっっっったい見せちゃダメよ?」


ノアは元気良くはい!っと言うと同時に意識が遠のく


「ふふっ。元気でよろしい!また何処かで会いましょうノア……」


ノアの体が粒子になりゆっくりと拡散していった


(何百年前にも私が知らないスキルが確かあったわね…とりあえずあの時のスキルとあの時代の歴史も漁って調べてみましょう)

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