第29話 信楽焼

心頭滅却すれば火もまた涼し


その声は徳利を持った信楽焼の大狸から聞こえてきた。


それを聴いた職人はかまどの前で鉢巻きをキリリと〆直した。


焼け過ぎてはいけないと燃え盛る釜の中に飛び込もうとした。


それを見る狸達は ニヤリと笑った。

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