月へとカメラを飛ばしてみた

鯨飲

月へとカメラを飛ばしてみた

 『銀河鉄道の夜』を読んで、私は宇宙に行ってみたくなった。まず手始めに私は、一番近い、月に行ってみようと決心した。

 

 さて、どうやって行こうか。宇宙には酸素がないから生身で行くのは不可能だし、どうしよう。

 

 そう思いながら手にある電子機器で宇宙について調べているとき、私はふと思いついた。これで撮影をすればいい。直接行くのは、金銭的にも時間的にも難しいので、私は宇宙、ひいては月を、自らが作成したマシーンで撮影することにした。

 

 マシーンの概要は、以下のようだ。風船にスマホを付ける。以上だ。

 

 カメラで撮影した映像を自宅の機械でライブ中継として見る。成功するかは分からない。まあ、成功するまでやってみようと思う。

 

 風の無い夜に私は、自宅近くの小高い丘に行き、そこから自作のマシーンを夜空に飛ばした。そして、映像を分析すると、様々なことが分かった。

 

 月に向かって飛んで行くと、やがて穴を抜け、今まで月だと思っていたそれは、夜空に空いた穴から見えていた一部であったことが分かる。月は、私たちの認識よりも、はるかに広大だった。

 

 また月を見てみると、クレーターと呼ばれる穴は、中心角百八十度の円弧軌跡上に分布している。よく見ると、金属片がクレーターの回りに散らばっている。クレーターは地球からの攻撃の跡だったのだ。


 私たち、地球の人間が教科書や衛星写真で見る月の写真は、お偉いさんが作り出した、世界に数多くある嘘のうちの1つである。月は練習用の的なのだ。来たるべく宇宙戦争に向けての。


 これまで、月に人間が降り立ったのは一度だけだ。より正確に言うと、それ以上降り立つ必要がないのだ。あの調査は月面上に生命体が存在しないことの確認作業だったのだ。


 しかし、一つ問題があった。それは、月自体を、しっかりと確認していなかったことだ。


 クレーターは数え切れないほどある。今まで幾度となく、宇宙用長距離対応ミサイルを月に向かって放ってきた。プロトタイプから実用型まで、様々な種類のミサイルを。


 そしてミサイルが放つ轟音と衝撃は、月を起こしてしまった。これは比喩ではない。



 月は生きている。月自体が一種の生命体だったのである。

 


 彼は、そこにいるだけで、よく分からない外部からの攻撃を受ける。


 彼は、その外部存在を確認するために約ニ十九・五日かけて真っ黒な目を開く、そして地球を観察する。


 月の満ち欠けは、月のまばたきだ。新月の夜、彼は目を見開いて、こちらを見ているのだ。

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月へとカメラを飛ばしてみた 鯨飲 @yukidaruma8

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