【プリパラ×ソードワールド2.5】ラクシア世界でプリパラチェンジ!?
クロア
第1話 プリパラへようこそ!
「プリパラ……凄そうな遺跡だねぇ……ほぇぇ……」
普段冒険者として活躍しているわたしたちは、とある魔動機文明時代の遺跡の情報を手に入れた。
それは、かつて各主要都市に存在し、女の子の夢を満たしたという「プリパラ」という娯楽施設。それがどういった方法で行われていたかまではわからないが、わたしはプリパラに興味を感じていたのだ!
あっ! ごめん! 自己紹介がまだだった! きゅわっち! わたしはミディ・ライアップ! みんながキラキラ輝ける世界を目指して吟遊詩人や冒険者として活動してるよ! よろしくね!!
ここはハーヴェスの冒険者ギルド。今は冒険者仲間のみんなでプリパラについて相談してるんだ! プリパラ……私は凄い行ってみたいんだけど、みんなはどう思ってるんだろう……女の子を夢を叶えるキラキラと輝く娯楽施設! わたしは凄い行ってみたーい!!
「やれやれ……レナトゥス。あんたも一人の冒険者なら堂々と胸ぇ張っていいんだよ?」
私はプリパラに行きたいって考えてると、仲間の一人であるポプバトス・テテック――ポプちんが、煙草の煙をゆっくりと吐き出しながら声をかける。彼女は37歳の冒険者なんだけど、昔は『転新おとし』っていう名前でアルフレイムではすごーい有名な歌姫さんだったの! 私の憧れなんだ!
「乙女ってのはね、可愛らしさを前面に押し出してなんぼなんだよ。せっかく可愛い容姿してるんだから隠しちゃ勿体無いとアタイは思うね?」
「……うるさい」
そして、フードを深めにかぶってポプちんに返答する女の子がレナトゥス――レナちゃん! 過去に色々あったのか、すごい恥ずかしがりやさんなんだけど、すっごい可愛いんだよ!! 私のお友達なんだ! えへん!
「……まぁ、魔動機文明遺跡だっていうなら……遺物は手に入るだろう」
「というわけで――レナトゥスちゃんを乙女らしくさせるプロジェクトとして、この噂のプリパラに行ってみるってのはどうだい?」
ほんと!? わたしたちはポプちんの提案に対して、机から大きく身を乗り出した。
「えっ!? 行くの!? プリパラ行くの!?」
「どっ、どういうことだ!」
「女の子の夢……それはただ一つに決まってるさね」
興奮してるわたし達を見て、ポプちんは煙草の煙をぷはぁと吐き出す。
「――可愛くなること。ただ一つだよッ!!!!」
こうして、わたしたちは魔動機文明の遺跡。「プリパラ」に向かう事になったのです!
「きゅわっち! 私行ってみたい!!」
「……興味ないね。まぁ、ミディが行くっていうなら……」
◇◆◇
「ここかい、噂のプリパラってのは……」
「きゅわっち! 凄そうな建物だー!!」
色々準備をした後、わたし達は遺跡の前と思わしき場所にたどり着いた。目の前には門のような建物が堂々と存在している。冒険者ギルドによると、この周辺で地殻変動が起きた事で現れたらしいんだけど、一体この建物はどこに眠っていたんだろう……?
「……ありがと」
「がうがうーっ!」
そして、わたし達をここまで連れてきてくれたのが、わたしの騎獣であるディノス――がうくんだ。まだディノスの中でも大人になったばかりの可愛い男の子。
彼はレナちゃんに感謝の言葉と共に撫でてもらい、気持ちよさそうな表情をを浮かべていた。えへへ、よかったね。がうくん!
さて、わたしのお仕事は門に書かれている魔動機文明語を読んで皆に伝えること! 決して楽しみだから急いでるわけではないのだ! そうなのだ!
「私読めるよー!!」
「よろしく」
「どれどれ」
えーっと? プリパラ プルライト支部。プリパラは、種族、信仰、その他出自に関わらず、すべての女の子を尊重します。
「ほぇー……なんか凄そう!!」
「どうやらここで間違いないみたいだねぇ。ちゃんとプリパラって書いてあるよ」
同じく魔動機文明語にを読むことが出来るポプちんが説明すると、レナちゃんは少し驚いた表情を浮かべた。
「噂は本当だったのか……」
本来のこの場所の地名ブルライト。でも、これはプルライトって書かれている。それがちょっと気になるけど――あっ、まだ続きがある!
「んーっと……全ての女の子は、プリパラに入場する資格があります! お手持ちのプリチケをスキャンしてください――うぇー!? プリチケが必要なの!?」
「……ぷりちけ?」
「プリチケをスキャン……かい。アタイは持っていないが……」
そ、そんなー!! わたし達プリパラに入れないの!? 女の子の夢が叶う場所って聞いてたからすっごい期待してたのにー!
「あそこ」
「がうがうー?」
わたしが落ち込んでると、レナちゃんが門の前にある地面の一点を指で示した。同時にがうくんも何かに気付いたのか、地面を後ろ足で軽く掘り起こすと、そこには普段見慣れている物よりも細長いマテリアルカードが沢山埋もれていた。
「がう!」
「……これは、マテリアルカード……?」
「にしては形がアタイらが使ってるもんとは違うようだね……」
「こんなの見たことないよー!?」
わたし達はマテリアルカードを拾い、何かおかしいところがないか確認しようとする。基本的にマテリアルカードは属性によって色が違ったり、制作した人の癖によってある程度の特徴があるんだけど、このカードは何も書かれていない。
うーん……マテリアルカードとはまた違うアイテムなのかな? わたしはレナちゃんみたいに賢者の知恵は持ってないし、よくわかんないなぁ。
そう思ってレナちゃんの方を見ると、マテリアルカードを太陽に照らしてぴろぴろと注意深く見ていた……ってあれ!? なんかカードが光ってない!?
「うおっ、眩しっ! なんだいなんだい。カードがいきなり光ったと思ったらすぐ消えちまったよ。なんか変わりあるかい?」
再度自分が拾ったカードを見てみると、先ほどとは違う絵柄が描かれていた。私が拾ったカードは全部で四枚。これらそれぞれにトップス、ボトムス、シューズ、ヘアアクセと書かれた服の図柄が浮かび上がり、上部にはそれを身にまとった私の姿が映し出されていた。そして、「みでぃ」と魔動機文明語で自分の名前が書かれている。
「ほぇー! すっごい!! すっごいよぉ!!」
「これは、私……? な、なにこれ」
「ほぉーーー」
「がう」
どうやら、みんなが拾ったカードもそれぞれ絵柄が変わったようで、興味深そうにカードを眺めていた。あっ! すごーい! レナちゃんの衣装すっごい可愛い!!
「これ、なんなんだろう」
「レナって書いてあるよ!! レナちゃんのカードなのかな?」
「お? ならこのミディが映ってるのはミディの分で、残ったこれはアタイのだね」
「……? どうなってるんだろう」
すごいすごーい!! これがプリチケなのかな!? 本来なら罠がないかとか気を付けなきゃいけないんだろうけど、どことなくこの遺跡はキラキラして優しい感じがする。本当に女の子の夢が叶うの!?
「二人とも、ここをご覧。ちょうど入れられそうな隙間があるよ」
「ほぇ?」
ポプちんが指さした門扉をよく見ると。丁度マテリアルカードの幅と同じくらいのスリットがあるのがわかった。それを見て、レナちゃんが自分の持っているカードを一枚差し込んでいくと――
「……!? な、なにこれっ……!」
「わぁ!!」
まるで浮き上がるかのように、レナちゃんが差し込んだカードと同じ服が出現した。凄いフリフリな服だー!!
それに驚いたのか、レナちゃんが慌てたように門から離れると服が消えてしまう。
「あ、消えた……」
「ど、どうなってるのー!?」
「ほう……」
そして、魔動機文明語で『ぜんぶのコーデをスキャンしてね!』と続けるように声が聞こえてくる。
「どうやら、この遺跡の中だけで使える装備品。といったところじゃないかい?」
「わ、私やってみたーい!!」
面白そう! 凄そう!! 楽しそうー!!! なによりこういうのは、わたしが先陣を切らないとダメだよね! だって楽しそうだもん!!
「ふっ、先は譲ってあげるよ……可愛い後輩たちが喜ぶならね」
「…………」
腕を組んで見守っているポプちんと、隅っこの方で見ているレナちゃんを確認して、わたしは穴に向けてカードを取り出した!
「きゅわっち!! いっくよー! きゅるりんパワーでチャレンジだ!!」
ヘアアクセ! トップス! ボトムス! シューズ! と勢いよくカードをスキャンしていくと、急にわたしの体が光り輝いていく。それと同時に、何故かこの掛け声を言わないといけない気がしたのだ。
「プリパラ! チェーーーーンジ!!」
この掛け声と同時に、急に体全体が浮遊感をかんじる。まるで、どこかに飛ばされるような……って大丈夫なのこれー!?
「あーーーーーーれーーーーーー!?」
こうして、私の視界はキラキラで埋め尽くされてしまったのだ。
◇◆◇
ミディの体がキラキラに包まれたまま消えてしまう。残るレナトゥスとポプバトスは取り残されてしまった。周囲を見渡すとディノスの姿もいつの間にか消えてしまっている。どうやらミディに付いていったようだ。
「! ミディが……消えた……!?」
「消えた……? なるほど。さしづめ、この遺跡に入るには……今ミディがしたことと同じように、アタイ達もこのチケットを全て通す必要があるみたいだね」
レナトゥスはおそるおそる。それでもどこか真剣な表情でカードを構える。
「……やってみる」
「よし! 後はアタイに任せときな。入るのを邪魔するような魔物がいたら一撃で追い払ったらぁよ」
「私はミディが心配なだけ……ありがとう」
ぴろりろりん!
ぴろりろりん!
ぴろりろりん!
ぴろりろりん!
「プリパラ……チェンジ……」
軽快なカードの読み込み音と共に、消えていったレナトゥスを確認したポプバトスもカードを構える。彼女のカードに描かれていた姿は、今の姿ではない。あの、伝説のアイドルと呼ばれていた20年前の姿であった。
「……無事入れたようだねぇ。よし、次はアタイの番だね」
どしどしと門に近づいて、堂々とカードを読み込んでいく。
ぴろりろりん!
ぴろりろりん!
ぴろりろりん!
ぴろりろりん!
「いくよッ!! プリパラチェンジッ!!」
ポプの全身を……光り輝くコーデが包むッ!!
「目にもの見せたらぁよ! 伝説の歌姫の実力ってやつを!!」
こうして、彼ら冒険者の「プリパラ」探索が始まる。
全員の姿が消えた後に、門に追加の一文が浮かび上がった。
☆
プリパラ プルライト支部。
プリパラは、種族、信仰、その他出自に関わらず、すべての女の子を尊重します。
すべての女の子は、プリパラに入場する資格があります! お手持ちのプリチケをスキャンしてください。
『み~んなトモダチ、み~んなアイドル』
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