(二)‐16

 いずみは自分の服装を確認した。服のようだが、服ではなかった。ワンピースの水着みたいだった。しかし腰回りにはミニスカートのようなフリルが付いていた。谷間を強調するような胸の部分が空いていたが、その下には大きめの赤いリボンが付いていた。水着本体の色は白で、フリルは青だった。

 いずみは思わず「何よこれ!」と叫んだ。

「あなたは今日から魔法少女になるの。そして悪と戦うのよ」

 いずみは何を言われているのかわからなかった。しかし、右手にはステッキが握られていた。この形は、いずみが小さい頃によく見ていたテレビアニメで見た気がした。そう、太陽系の惑星の名を冠した美少女ヒロインたちが悪と戦うときに手にしていたステッキだ。それとよく似ていた。ちなみにそれは美少女戦士ではあったが、魔法少女という設定ではなかった。

「どこが魔法少女なのよ! すぐに戻して!」

「この星の法執行官はこういう格好をしているのでしょう。映像で見たことあるわ。私だってきちんと研究しているんだから」

 そう言うと、生徒会長の田辺紀子は椿と歌子とクロエの方をにらみつけた。


(続く)

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