(二)‐11

 椿たち三人はお互いを見合った。椿は校則にあるスカート丈の規定を二〇センチはオーバーするほど長かった。歌子もクロエと同じくブレザーのボタンは全開でシャツのボタンも三つ目まで開けていた。それは椿も同じであった。服装だけではない。三人は、日頃の行いからして校則違反を繰り返していたから、目を付けられるのは当然ではあった。

 クロエが「でもこれって今流行っている格好なんだよね」と言うと、「映像で見た。大都市ではこういう格好しているのが普通らしいぞ」と歌子が、「この格好のどこがおかしいんだ。俺たちはきちんと適応しているだろう」と椿が続けた。

 いずみはため息が出そうになった。いくらなんでも校則があることを知らないわけはないはずだ。

この三人は制服がない自由な校風の中学校から来たのだろうか。帰国子女のクロエはともかく、椿と歌子までそう言うのは、不可解だった。


(続く)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る