(二)‐10

「あいつ、明らかに俺たちに目を付けてきている。何か聞いてないか」

 歌子がそう尋ねてきたものの、彼女の口から語られることで、この三人組に関することは特になかった、と思う。あってもあまり興味がないので、心にも留めていない。

「特に何も聞いていないけど……」

 椿の目線が少しずつ強くなってきているような気がした。少しうつむき加減で缶に口を付けながら目を細め上目遣いでいずみの方をにらみつけていた。

「あなたたちの格好が悪いんじゃない?」


(続く)

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