第25話 ミレーヌの仕事

アレクセイは部屋に案内するなり、ソファーにキリュウを座らせて色々と説明をしてくれた。


「私たちは、確かに帝国軍の傘下にある組織ですが...


ニューアムステルに潜伏してあることをしてます。

キリュウ君にはそれを手伝って欲しいのです。

もちろん、ブルースもこれを手伝ってくれてる...」


アレクセイはそう言うと、立ち上がって黒板に向かって立ってチョークを手に取ってこう言った。


「こう言うのは、書いて説明して言った方がが良いからね...


私たち帝国政府は最近、返還されたここニューアムステルでの勢力拡大に向けて色々と動き始めてます。


悪い意味ではないですよ。

現地の元々ある勢力と協力して連合側とのコネクションを作りたいと言う意図もあります。


ミレーヌから聞いたと思いますが、この世界は今仮初の互いにナイフを突きつけあった平和の上に成り立っています。


連合とのコネクションを増やすことで緩やかにそのナイフを互いに下ろせると言う思いがあって私たち帝国陸軍情報局は行動を起こしてます。


第一歩として、街の裏の権力者であるブライアント卿と協定を結び色々とやっています....


そんな時に実は第三者勢力が現れまして」


アレクセイはそう言うとキリュウにこう言った。


「君と同じ異世界からやってきた、とある能力者なんです....


スーパーパワーを持った能力者は世界を救いとかって話しなんですが、

帝国と連合とのバランスを壊し始めてまして....


それ以降両国では異世界人と思わしき人物の抹消が基本方針となりまして」


アレクセイはそう言うと、キリュウの目をみてこう言った。

前にミレーヌが銃を突きつけた時と同じ感覚と似ているような気がしていた。


「その能力者に対抗すべく、スペシャルチームに参加してくれませんか?」


アレクセイはそう協力を求めてきていたが、これは拒否すれば....

抹殺されるということだーーーー


「拒否権はないんですよね?」


キリュウはそう唾を飲んでアレクセイに聞くと彼はニコッとしてこう言った。


「そうですね。断るとなると....援助を切らないといけません。

作ったパスポートは無効化になりますね。そうなると....」


キリュウはそれを聞くなりこう言った。


「今後、何をしたらいいかもわからないので...協力します。

きっと、これもいわゆる運命なのかもしれないと感じます。


誰かのために何かになるなら、頑張ってみたいです」


嘘ではなかった...

この世界でどうせ生きていくので有れば、誰かにためにというのを元々やってみたいという心があったからだった


兄や父のようにすごいと思える自分になれる自信はなかった...


「こんな俺でも、必要とされるんですね...」


今目の前で、

話を出してくれたアレクセイは少し脅し気味だったのはちょっと違うかもしれないけど、必要とされて

ハルカたちを助けて喜ばれたことや讃えられたことはどこかキリュウの心に残って少しながら自分を高めてくれたような気がしていた。


アレクセイはニコッとしながらこう言った。


「では、よろしくお願いします。この世界平和を保つためには必要なので快諾してくれて嬉しいです」


アレクセイは握手を求めてきたのでキリュウはその手を握った。


「では今後ともよろしく、キリュウ君。ミレーヌとブルースの指示に従ってもらえれば問題ないので。


そろそろ、時間ですね。

ブライアント卿の運転手をこれ以上引き止めるにもまずいでしょうし、さぁ行きましょうか」


アレクセイはそう言うと部屋の扉を開けてた。

顔はにこやかだったがどこか、取ってつけたような感じなのは感じ取れた。


外ではミレーヌは待っていて、手には何かの資料があってそれをキリュウに渡してきた。


「長かったわね。彼は本国とのパイプなのよ...ちょっと手荒な真似してごめんなさいね」


「うーん...でも、俺にしかできないことなら協力したいです」


ミレーヌはその言葉を聞いて、キリュウの眉間をつんと突いてこう言った。


「あら、少しは前向きになれるじゃない。頑張っていきましょ!


多分、今からの予定だとキリュウ君は暇だろうからこの資料でも読んでおいて」


「これは...?」


キリュウは受け取った資料を見て何なのかは分からなかったが、ミレーヌはウィンクをしてこう言った。


「アキラにも渡したのと同じものよ。この世界で生きていくうちで知っておいた方がいいことが書いてるわ...読んでおいてね


じゃあ、ブルースが待ってるわ。行きましょう、行きましょ」


ミレーヌはそう言うなり、歩きはじめたのでキリュウもそれを追いかけていった。


車には既にブルースが座っていて、何かの資料のようなものを手に取ってみているのが目に入った。

キリュウは気になり聞いてみることにした。


「ブルースさん。それ何の資料?なんですか?」


ブルースはそれを聞いて、資料を閉じてこう言った。


「今回の学会の発表で使う資料だ。今回の発見は考古学の範囲だが、魔導工学にも色々と影響が出るだろうなーと思ってさ。


キリュウは教育は受けているんだっけ?

アキラは一応大卒で、向こうの世界で法学の学士を持ってたからな。

異世界人は頭のいいイメージが多くてな。


講義を聞いてみるか?」


キリュウはそれを聞いて車のシートに座りベルトをしてこう答えた。


「あ、はい。俺...高校生なんですよね....」


ブルースはそれを聞いて、助手席に座ったミレーヌに資料を渡してこう言った。


「じゃあ、席を用意しておこう。スクール行ってるなら問題ないよ


ミレーヌは、次のミーティングの資料を頼む。

帝国のお偉いさんとの会合だから、きちんと用意はしておきたい....」


ミレーヌはそれを聞いて、どこから持ってきたのか分からなかったが手に持っていたカバンから資料を取り出してブルースに渡した。


ブルースはそれを受け取りパパッと目を通してミレーヌに手渡した。


キリュウ気になってブルースに聞いてみた。念入りに準備をしたいと言ってた割には資料を流し読みのような感じで終わってしまっていたからだったーーー


明らかにさっき言った言葉とは相反していたかららだった...


「え、もういいんですか?」


ブルースはそれを聞いてこう話を進めた。


「大丈夫なんだ。

今日は、新任の駐在員とのランチらしくて商談も既に契約書を交わし終えたものだったからな...

とにかく、車を走らせてくれ。場所が遠いからそろそろ出た方がありがたい」


「は、はい。わかりました」


キリュウはそう答えて、車を発進させた。


「キリュウ。この日をずっとまっすぐ進んでくれ、10個目の信号を左折したところに目的地のレストランがある。


ミレーヌ。新任の駐在員の情報はないのか?」


ブルースはそう指示を出して、腕組みをして目を閉じた。ミレーヌはため息をついてこう彼に返事した。


「私の知ってる人じゃなかったわ」


「そうか....行き当たりばったりで行くしかないか。とりあえず、ミレーヌのサポートを期待してるよ」


「あら、ありがとう。ブルース。今日はいいところ見せてないから挽回させてもらうわ」


ミレーヌはそう言ってどこか自身ありげな笑みを見せていた。


「ミレーヌさんのサポートって何をするんですか?」


キリュウがそう聞くとブルースがこう答えた。


「ミレーヌのお得意の、

ネットワークの構築とご機嫌取りの種を見つけるところさーーー


相手の特徴を見て、どんな人かをみるのはミレーヌの方が得意だからな。

あとは向こうの秘書とのコネクション作りさ。


運転と料理は壊滅的だけどな」


「最後のは余計じゃないの?」


どこか、笑いかけていたがミレーヌはそう食い気味にブルースにいうと彼はこう答えた。


「いいじゃないか。誰にだって得意不得意はあるし」


「まぁ、それもそうね」


ミレーヌがそう呟くように言ってこう言い返した。


「ブルースも。音痴だし、繊細な扱って苦手でしょ」


ミレーヌのどこか嫌味な感じで言ったそれを聞いたブルースは笑いながらこう言った。


「それもそうだな」


「いつもの、ブルースでよかったわ」


ミレーヌはそう聞こえるか聞こえないかの声で言ったのをキリュウは耳にしていた。


ミレーヌとブルースの付き合いはどうやら、キリュウ自身が思う以上に深くて長いようだなというのを感じられたーーー

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る