第20話 意外とどうにでもなったり

飛んできた拳を怖がって目を瞑ったキリュウだったが....


あの急に音が静かになり周りがゆっくりなることはなかった。

腕でガードしたがサイボーグ男の怪力によってキリュウは吹き飛ばされた。


吹き飛ばされて壁にぶつかり、キリュウ思わず声を上げてた。

でも、思ったよりも痛みがなく

骨が折れている感覚はないようだった。


壁を見るとひび割れていて威力はあるものの、キリュウ自身のダメージはそうでもなかった。


身体を動かそうとしたが、サイボーグ男はキリュウを壁に押さえつけていて動くことができなかった。


ブルースはそれには気を取られないようにシュナイダーを蹴り飛ばして壁に押し付けてていた。そして手錠のようなもので拘束していた。


「お前の主人は捕まえた。交換としよう」


サイボーグ男はそのブルースの言葉を聞いてキリュウから手を離した。

キリュウはゆっくりとサイボーグ男から距離をとってこう言った。


「大丈夫....」


それは自分の身体を確かめて驚いたからだった。サイボーグ男は口を開いてこう言った。


「コウサン....ハカセ、キズツケナイ」


「どうやら、話は通じるみたいだな...」


ブルースはサイボーグ男が言葉を発したのに気がつき、ゆっくりと頷いてこう言った。


博士の方はもろに電撃が効いているようで目を半開きにして、何かを喋ろうとはしていたが呂律が回ってなく何を言っているのかわからなかった。


「く、くしょ...ダークネート覚えておきぇよ」


「ハカセ、ツレテカエル。テダシシナイ...」


サイボーグ男はそう言って痺れている上に拘束されているシュナイダー博士を片手で持ち上げて建物の外に逃げていった。


キリュウは別れ際、サイボーグ男の小さな声は聞こえてきた。


『彼女を頼むよ』


そうはっきりとした声だったのはサイボーグ男が逃げていってからの話だった。


建物の外では何か騒がしい声が聞こえて銃声らしい音がパンパンと聞こえてきた。

そして、パトカーであろうサイレンの音も聞こえてきた。


「まずいな、キリュウ。タイムオーバーのようだ...急いで彼女を回収して戻ろう。

ニューアムステル市警じゃなくて帝国軍だともっと厄介だからな」


「あ、はい。ブルースさん、でもどうして帝国軍は彼女を狙ってるんですか?」


キリュウがそれを聞くとブルースは首を傾げてこう言ってきた。


「ミレーヌから聞いてないのか?

帝国軍は異能者や能力者の類の存在を大まかにはしたくないんだよ、もちろんそれは連合でも同じだがな。


特に帝国は以前、能力者に攻撃を受けてな。コントロール下にない能力者に関しては捕獲や抹殺を試みてる節があるんだ。


ここまで言えばわかるよな」


「ええ。俺も狙われてるし...

彼女も能力者ってことなんですか?」


「ああ、テレパシーや超人的な視力と聴力を持っているって聞いてる。詳しくは知らないが...


とにかく、急いでことを済ませよう」


ブルースはそういうと扉を開けて奥の部屋へと入って行った。キリュウはそれに続いて行った。


部屋の中には色々な装置や計器などがゴロゴロとしていて部屋の中央のは人が一人入りそうなカプセルのようなものが横になっていた。


『やっと会えたね』


そうあの青髪の少女の声が聞こえてきたのだった。


ブルースは何かを機械を操作し始めた。

するとカプセルが開いたのでキリュウはそのカプセルを覗き込んだ。


するとそこにはあの夢で見た青髪の少女のがすやすやと静かに眠っていたのだった。


初めて会うはずなのにどこか、久々に会えて再開を喜ぶような感情が込み上げてきたのをキリュウは感じていた。


ブルースは彼女ゆっくりと抱きかかえた。

どこかその時ブルースは何かを心の中に感じているような表情をマスクをしていたがしているようにキリュウは見えた。

その感情は、どこか安心と懐かしさと言ったところだろう。


「似てるな...」


ブルースはそういうとキリュウの方を向いてこう言った。


「彼女を乗せて先に戻ってくれ。俺はお邪魔虫と一緒に街を散策してから帰る。

彼女を連れて帰ってくれ」


ブルースはそういうと、抱きかかえた彼女をキリュウに渡そうとしていた。


キリュウは彼女を抱き抱えると、彼女はピクっと動いてゆっくりと目を開けた。


「ここは?」


今まで聞いていたあの青髪少女の声が直接耳に入ってきたことでキリュウはハッとした。


「君の姉さんがいた街さ...安全なところへ彼が送ってくれる」


ブルースはそう少女に話しかけると少女は虚な表情をしながらもうんと頷いてこう聞いてきた。


「ブライアント様?」


すると建物の入ってくる人の足音が聞こえてきてブルースとキリュウは入ってきた道とは違う扉に向かい走り出した。


背中の方から部屋の中に何かが投げ込まれる音がした。

地面のコンクリートに何か金属の重たいモノが転がる音のようだった。


バンと大きな音と共にカメラのフラッシュのような光が発せられたのだった。

それと同時に爆発音も聞こえた。


壁に光が反射して目に入って思わず驚いたがきっと正面で見ていたら目が眩んでいたように感じられた。

そして音は耳に残りキーンと耳鳴りを起こしてしまうほど大きなものだった。


それにドキッと驚いたが、


「急ぐぞ!」


ブルースの声が遠くの方から聞こえた気がしたのでふと我に戻り扉の外に出た。


階段を上がり、

エントランスを抜けると入ったところは違う通りに出たことに出たことに気がついた。


車がゆっくりと走ってきて、目の前に止まると勝手に扉が空いた。


ブルースはそれを見て、どこか誇らしげな顔をしてどこか自慢げにこう言ってきた。


「自動で来るんだよ。すごいだろう」


どうやら驚いた表情を見たいのだろうが、キリュウはそこまで驚くこともなかった。


冷静になってみれば、以前こういう完全自動運転の車を見たことはあったからだった。


「ジンボウ警部補は驚いたんだがな...まぁ、キリュウの世界ではこれは普通ってことか...」


ブルースはどこか悲しそうな顔をしながらも、鋭い眼光で周りを見渡してこう言った。


「明日君のいた世界について聞かせてくれ。先に家に戻っておいてくれ。

俺はさっきも言ったがちょっとばかり夜遊びに行ってくる」


自動で開いた車の助手席に抱えた彼女を座らせて、キリュウも運転席に乗った。


「わかりました。ブルースさん」


キリュウはそう言って運転席から答えるとブルースは頷いて親指を立ててこう言った。


「頼んだ。じゃあ、後で」


彼はそういうなり、キリュウとは逆の方向に走って行ってしまった。


「キリュウ君乗った?道案内は僕がするから安心してね」


そう車に備え付けられてるスピーカーからロビンの声が聞こえてキリュウはアクセルを踏んだ。


「はい。一安心です...ブルースさん大丈夫なんですか?」


「彼は大丈夫だよ。なんせ神出鬼没の怪盗ダークナイトなんて言われてるぐらいだし...

僕が作ったガジェットもあるから大丈夫さ」


ロビンの落ち着いた声を聞いてホッとしたが、まだ街を出ていないので安心はできないでいた。


ふと横に座ってぼんやりとしている彼女にキリュウは声をかけた。

さっき見た時よりは意識ははっきりしているようだったが、まだ何処か遠くを見つめてぼおっとしている感じは強いことを見てとれた。


「大丈夫?」


それを聞いた彼女は小さな声でこう言った。


「うん。大丈夫....ありがとう」


返事があったことにホッと息を吐きながらも、キリュウは集中して猛スピードで走る車を運転していた。


ロビンが道を示してくれるのでそれに従って運転をしていた。

街はとても静かで自分が乗る車のエンジン音だけが耳に聞こえていた。

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