第11話 漆黒の騎士
キリュウは貨物室に入ると夢で見たあのコンテナを探し始めたーーー
ぼんやりと覚えている記憶を整理してその場所を探した。
歩いているとその探していたコンテナを見つけた。
しかし、そこには5人の人影があってその彼らはカーキ色の軍服を着ていて黒い防弾チョッキとヘルメット、目出し帽を被っていた。
コンテナを開けるためにかバーナーのようなものを使い扉を焼いていた。
キリュウは見つかるのがまずいと感じ近くにあったコンテナの影に身を隠した。
その兵士達の会話が耳に入ってきた。
「3分で開ける。その後すぐに対象を回収して撤収するーーー急げ」
キリュウは何がどうなっているのか分からなかったが...またあの少女の声が聞こえてきた。
今度ははっきりとそれが認識することができた。
『彼等は悪い人。私を助けて』
そう聞こえ、
彼女の必死な感情が聞こえて来る。
相手は5人でしかも銃を持ってるどう戦うべきか。
どう思考を巡らせても出せる手が思い浮かばなかった。
恐怖よりもどうするかそれをずっと考えていた。
でも、
兵士のこの言葉を聞いて行動を移すべきだと感じられた。
「扉が開きましたーーー対象のスリープ状態を確認できます」
キリュウはそれを聞いて、時間がない事が一瞬でわかってしまった。
あのコンテナの中には彼女がいる、
回収って言った言葉が本当なら彼女は....
キリュウは近くになったレンチを手に取って、音を鳴らすために遠くに投げた。
船のエンジン音に混じって何か違う金属が落ちる音が聞こえたとき、兵士の全員の注意がそれた瞬間だった。
パンと別の音が聞こえて、兵士たちが咳き込む声が聞こえた。
何か判断がつかなかったが、キリュウがそこで姿を出してコンテナに向かおうと物陰から飛び出したときだった。
咳き込む兵士たちも真ん中に立って、
黒いマントに身を包み、黒い髪で目の当たりを黒いマスクで隠している体格のいい男性が立っていた。
その黒いマントの下のは黒色の全身を包むプロテクターのような物を身につけておるようだった。
彼に気がついた兵士たちが彼に襲い掛かろうとしていたがそれを軽く身をかわし肘で打撃を加えて鎮めていた。
他の兵士たちも同じく彼の攻撃で沈められていた。
一人遠くにいた兵士が銃を構えて彼に向けた瞬間だった.....
敵か味方かは分からなかったが、咄嗟にその兵士に向かってキリュウは走り始めた。
するとあのミレーヌを助けた時のように、世界の音が急に止まって周りの速度が遅くなったのに気がついた。
引き金を引こうとする兵士にの顔面に拳を入れた瞬間にその無音時間は終了して兵士は少しばかり吹き飛んでいきコンテナに叩きつけられた。
驚いたが、次の瞬間にマスクの男は手に持っていた銃をのような物をキリュウに向けて撃ってきた。
驚いたが次の瞬間に身体中の電撃が走り...
痛みのあまり叫びながら地面倒れ込んだ。
倒れ込んで気がついたが、
全身がグッタリと重くなったような感じになって動けなくなっていたのに気がついた。
どうやら、あのマスクの男はキリュウに対してスタンガンのような物を撃ってきたのだろうか。
「お前は誰だ?答えろ」
そう変声で声を変えているのだろうか、物凄く恐怖を感じるような低い声が近寄ってきたマスクの男から聞こえてきた。
「俺は、その中にいる人を助けようとしただけ...」
激痛が全身に走りながらもキリュウはそう力を振り絞ってそう答えた。
するとマスクの男はキリュウの手足を何かのワイヤーのようなものでぐるぐると巻かれた。
「大丈夫だ。少年、私は悪い奴らではない....」
一瞬そう、さっきの恐怖を感じる声とは違う優しくも男らしい声が聞こえたあとキリュウは気を失った。
『彼は大丈夫...またどこかできっと会えるから...その時まで』
どのくらい気を失ってたのか分からなかったが、目を覚ますと自室のベッドの上にいる事が周りを見渡してわかった。
ぼんやりとする意識の中で、キリュウはゆっくりと起き上がるとベッドの横のは何か心配そうな顔をしているミレーヌが椅子に座って見つめていたのに気がついた。
「ごめんなさいね、また巻き込んじゃって。
とりあえず、あなたは食事をして酔っ払って倒れた...って事にしておいて」
ミレーヌはそう言うとホッと息をついてどこか安心したような表情を見せた。
キリュウは気絶する前の光景を思い出しあの黒いマスクの男について教えて貰いたくて聞いてみることにした。
「あの...ミレーヌさん。俺一体何に襲われたんですか?」
何か隠したいことが多いミレーヌなのでもしかすると今回も隠すべきものなのかなと思って、答えは期待していなかったが...
ミレーヌは口を開いてこう言った。
「世間だと、漆黒の騎士って呼んでるわ。
アキラに言葉を借りるならダークヒーローって括りになるみたいわね。
私はダークナイトって呼んでるわ」
思いの外な答えが返ってきて、キリュウは思わずぽかんとしたが、まだミレーヌの話は終わっていなかった。
何か思考を目ずらせるようにうーんと言った後にこう言った。
「手荒なことされたみたいだけど、彼は私たちの協力者よ」
あのスタンガンをぶっ放して拘束された上に気絶させられた彼が協力者だって!
キリュウはそう心の中で叫んだが、それは実際には口から出ることはなかった。
ただ驚いたのと同時にほっとため息をついて落ち着くことができた。
そして、落ち着いたところであの少女についてミレーヌが何か知っている気が何か確信に変わっていた。
彼女から彼が協力者である事を聞いて、
絶対ミレーヌならあの少女について知っているだろうと思えたからだ。
「ミレーヌさん。あのコンテナなの中にいた青髪の少女は....?」
ミレーヌはニコッと笑顔を見せたがどこか心の底からは本心ではないような感じに思えた。
そして彼女はこう言った。
「知ってるなら仕方がないわね。
彼女は大丈夫よ、きっとどこかで会えるから心配しなくてもいいわよ。
ダークナイトのそばにいれば安全だから」
えって顔を思わずしてしまったがミレーヌはツンと話を突いてこう言った。
「どうやって知ったかは知らないけど、
坊やがあの娘のことを気にしてるのはお姉さんにはお見通しよ」
ミレーヌはどうどこか意地悪そうな顔をしながらニコッと微笑んだ。
そして、一息ついてこう言った。
「キリュウ君と同じ、保護の対象よ。
だけど、あの娘は少しだけ事情があるのよ。
だから、今は一緒に入れないそれだけは理解いておいて」
「その事情って....」
キリュウはその事情が気になったので聞こうと思ったが、ミレーヌは人差し指を唇に置いてウィンクをしてこう言った。
「今は秘密よ」
やっぱりかと思ったが、ミレーヌは何か考える素振りをしながらこう言った。
「でも、一つ今後のことについて話しておくわ」
ミレーヌはそう言って、ベッドの横に置いてあってトランクケースから書類を取り出して、
ついでにカメラのような物を組み立て始めた。
「ニューアムステルでは新生活を送ってもらうから、まずは身分証明書を作るわ」
カメラの準備ができ、ミレーヌはキリュウを取ろうとしたが....
キリュウふと今の身嗜みが気になりミレーヌにこう言った。
「ちょっと、待ってください!お風呂は入って身なりを整えてきますっ!」
多分、この世界で何年かは使うであろう身分証明書の顔写真が流石に寝起きの顔ってのも嫌に感じたキリュウはベッドから起きて、部屋にあるシャワールームに飛んでいった。
「あら、思ったよりも体は大丈夫そうなのね。安心したわ
待ってるから、きちんとしてきなさい」
ミレーヌはそうどこか、母親や姉のように年上の女性が優しく何かを言うように言う言葉が聞こえてキリュウははいと答えた。
ほっとため息をついて、ドア越しにミレーヌに気になったことを聞いてみた。
「ミレーヌさんって一体何者なんですか?」
ミレーヌはそれを聞いて軽く笑う声が聞こえたあとこう返事が返ってきた。
「ヒ・ミ・ツよ。
強いて言うなら、さっきアンから内定をもらったから、大富豪ブライアント家の専属秘書かしら」
なんだよそれと思ったが、身分証明書を作ると言ったのでそれが本当に大丈夫なのかと心配になった....
新しい生活そうそう、犯罪者とかってなると恐ろしいなと思って服を脱ぎ始めた時にまたミレーヌの声が聞こえてきた。
「キリュウ君が気にしてるだろう身分証明書はれっきとしたものだからね」
その言葉を信用できるかは微妙なところだったが、謎が多い人だなと思いつつキリュウはシャワーの蛇口を捻った。
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