第4話 摩天楼、ここどこ?
キリュウゆっくりと目を開けた、燃え盛る家の中で倒れてきっと、そのあと死んだのか...
見知らぬ天井が見えて、自分がベッドの上にいる事が気がついた。
そう、きっと救助されて病院に来たのだろう。窓の外には...
聳え立つ摩天楼が目に入ったーーー
ぼうっと眺めていたが、それが見覚えのない街であることに気がつくものは時間がかかった。
向こう岸にある島か中洲には軒並みに詰まるように立ち並んだ、どこかニューヨークを思わせるような少しクラシカルなビル群が目に入ったのだ。
朝日か夕日が差し込んでいて病室は明るかったが釣りらがる電灯はどこか古めかしいデザインをしつつも新品であることがわかった。
「目が覚めたのね。どうもこんにちは」
そう窓とは反対の方から大人な女性の声が聞こえて振り返ると、そこにはブロンドのショートヘアだがものすごく大人な女性の雰囲気を出すモデルのようなスタイルの美人が微笑んでいた。
服装は白色のワンピースのような綺麗な脹脛が見える程度のスリットの入ったドレスを身に纏っていて手には何かはわからないが、大きなファイルを持っていた。
「あなたの身元がわからなかったから、ここに連れて来たわ。
境界地域の川岸で倒れたのを地元の警官が見つけたそうなのよ」
女性はキリュウのベッドの横にある椅子に座りファイルをめくり見てこう言った。
「裸で発見されたのね...めぼしい身分証明書もないのね。とりあえず、名前聞いてもいからしら?」
「川で、裸で!?」
キリュウはその言葉を聞いて驚いた。
頭中で整理がつかず、首を傾げて腕を組み今あった状況を推測しようとしたが
見慣れない街に火の中にいたはずなのに川岸で見つかる...
目の前には明らかに見かけないような人がいることを思うと余計に混乱してきたが。
それと対象的に目の前に女性は落ち着いていた。そして、目の前にいる女性うんうんと頷いてこう言った。
「ゆっくり息を吸って、多分混乱してるから。私の質問にだけ答えてちょうだい」
キリュウは深呼吸をして女性の言葉通りに深呼吸をして言われたことに応えることにした。
「タチバナ・キリュウです...」
女性はそれを聞いて、手に持ったファイルを閉じてこういった。
「問題なさそうね。私はミレーヌよ。よろしく……」
ミレーヌと名乗った女性は右手を差し伸べようとした瞬間、突然部屋の電気が消え周りが赤い色のライトに照らされた。
キリュウはふと窓の外を見たが、窓の外は無機質なコンクリートの壁に変わったのだった。
「キリュウ君。急いで頂戴ね、とにかく逃げるから」
「え!?」
キリュウはミレーヌのその言葉を聞いて、頭の中で状況が把握できないでいた。
何が何だか、訳が分からないでいた……
「もぉーなんなんだよ!」
キリュウはそう言うと、ベッドから起きて地面に足をつけてとにかく目の前にいるミレーヌの言葉に従うことにした。
きっと、そうするほかないとキリュウ自身にも判断ができたからだ。
ミレーヌはファイルを投げ捨て、スカートのスリットを破いた。
キリュウは思わず、目のやりどころに困ったが、ミレーヌはそれに気が付きウィンクをして笑みを浮かべた。
そして、真剣な顔つきになって、
太ももにある黒いバンドがあることに気が付き、そこにさしてある小型の黒い物体を手に取ってガチャンと金属音を鳴らしてこういった。
「本当はこの服お気に入りだったんだけどね……キリュウ君、いいついてきて」
ミレーヌが手にしたものは、小型の拳銃のようなものなのを見て、キリュウは余計に混乱をした。
さっきまで見るのに迷っていた太ももよりもそっちに目が行ってしまった。
「心配しなくていいわよ。守ってあげるわ」
ミレーヌはそう言って、手をさし伸ばしてきたのでキリュウはその手を見るなり手をつかんだ。ミレーヌはキリュウが握ったのを確認するなり、引っ張るようにして部屋を飛び出した。
キリュウは自分の服装が、病院で着るような服装になっていることや裸足であることに気が付いた。手を引っ張られて部屋を出ると無機質で長いコンクリートの廊下が続いてそのうえ上を走った。
アラート音がその廊下中に響き響いていた。
ミレーヌに連れられるまま走っていた。
頭の中でいろいろと整理をしようとした……
俺は……燃えてる家に子供を助けるために入ったのになぁ
気が付いたら、ミレーヌと名乗る美女に手を引かれてよくわからないことになっている。
これは夢なのか?
それにしては、あまりにもリアルすぎる。
大きく息を吸ってみれば、無機質な中にどこか薬品や油のにおいがした。
「ここって、工場か何かなんですか?」
キリュウはそう聞くと、ミレーヌは足を止めて、人差し指を唇に当てて静かにするようにジェスチャーをしてきた。
そして、小声でこういった。
「少し静かにしてもらえるかしら?」
すると、ドドドとコンクリートの地面をける複数人が通っていく音が聞こえてきた。
キリュウは口を閉じて頷いて答えた。
足音が消えてミレーヌは何かが通り過ぎてくのを確認すると同じような小声で言ってきた。
「ええ、そんなところよ。私も詳しくは聞いてないのよ……」
その瞬間、ドーンと爆発音のような音が聞こえた後――
ものすごい衝撃が壁から感じられ。ミレーヌと一緒に吹き飛ばされた。
飛ばされてたたきつけられるはずの壁も粉みじんになっており、そのままもう一つ別の空間に飛ばされ、
体が草むらの上に乗り、夜の冷たい風が薄着だったので寒いと感じ外に飛び出したことを感じて飛ばされたことを認知することができた。
ゆっくりと立ち上がると、
背中側には金属のフェンスがあって、どうやら飛ばされた大きな煙突のある工場のようなコンクリートの建物が目に入った。真っ暗な夜ではあったが、建物には無数の電灯が付いていて、肉眼でも足元が分かるぐらいに明るかった。
飛ばされた穴を見ると大きなハンマーを持ったSF映画に出てきそうな銀色の鉄板を見につけるサイボーグのような大男が両手持ちの巨大なハンマーを持っていて同じく吹き飛ばされて、ミレーヌに向かってゆっくりと歩いていた。
ミレーヌは気絶しているようで、起き上がる気配がなかった。
サイボーグ男は不気味に目を赤く光らせてこう無機質な声でこういっていた。
「侵入者ハイジョ……」
サイボーグ男はハンマーを大きく振り上げて、ミレーヌを殺そうとしているのが分かった。ミレーヌは動く気配がない、キリュウは目をつぶったが……
――ダメだ!行かなきゃ――
サイボーグ男を止めるか、ミレーヌを庇うのかは考えられなかった。
とにかく彼女のもとにいち早く行くことしか考えられなかった。
目を見開きミレーヌがいるところに目を向けた。
距離はたぶん遠い、走っても間に合わないかもしれない。
でも、行くしかない。
キリュウはそう思う、立ち上がり走り始めた。
その瞬間、
全ての音が急に止まり自分の鼓動だけが世界を包み込んだ。
不思議な感覚を感じたが、キリュウは気にすることなく切り裂く風を感じ走り始める。
どこか、サイボーグ男の動きが急に鈍くなったかのように感じた。
どこか全てが遅くなっているように感じられた。
そんなことよりも全速力で彼女のが倒れているところへ突っ走った。
サイボーグ男のハンマーは地面に食い込んだ。
キリュウは起こった事を理解するのに少しの間思考が追いつかないでいたが、
ミレーヌを抱き抱えて、サイボーグ男のハンマーが振り落とされた場から5mは離れた位置にいることを認知する事ができた。
とにかくミレーヌは助けることができた。
しかし、それができた理由がキリュウには分からなかった。
気がついたのかなふとミレーヌの声が聞こえた。
「やっぱり、狙い通りだったわ」
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