第22話 首脳会談①
ロビンさんの案内で現地に向かうとホブゴブリンたちが木や岩をつかって器用に机と椅子を作り出した空間が用意されていた。
というか何体かのホブゴブリンとオークがロビンさんの指示でまるで使用人のようにテキパキ動き出していたのに驚く。俺のテイムの影響下にあるとはいえ魔物の扱いがうまいな……。
俺とシャナル、そして母さんと、向こうはレイリックの他に一人、フードで顔を隠した小柄なエルフが並んでいた。その後ろにそれぞれ使用人たちが立ち並ぶ。
うちの後ろはロビンさんと何故か誇らしげなホブゴブリンたちが並ぶという異様な光景だったが。
「さて……改めて、先程はすまなかった」
頭を下げるレイリック。
「いや、お互い怪我もなかったんだ。頭をあげてくれ。それに俺たちも自覚なく領域を荒らしたんだろうし……」
事情が見えてこない部分はあるがここがエルフの森に該当するであろうことはなんとなく想像できる話だった。
「我が国は幾度も侵入者を拒んできた……理由は人間に数で攻められた時、まるで太刀打ちできないからだ」
「エルフはやっぱり数が少ないのか……?」
「いや……まあ良い。ユキアはリーレンが信頼した人間だ。話そう。エルフは森を焼かれればその力をほとんど発揮できない。その事実だけで、人間は勝機を見出すだろう」
「そうなのか……」
確かにさっきもあれだけの魔力を見せておきながらこちらに繰り出したのは木々を歪める魔法……いやあれもとんでもない技ではあるが……。
「我々は森とともにある。森がなくなればエルフは死ぬと言っても良い」
「そうだったのか……」
だとすれば人間を警戒するのは決して間違いではないだろう。
人間にとって森は切り拓く場所だ。決してともに生きようなどとは考えない。
俺のような特殊な事情のものを除けば……。
と、そこで隣に控えていた小柄なエルフがフードを取った。
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