第16話役割分担

「決まりましたが、勝手にテイムしてしまっても……?」

「問題ないよ」

「わかりました……では」


 母さんとシャナルがそれぞれ意識を集中していく。

 二人の周囲に魔力波が放たれ周囲の空気を揺らしている。

 そして……


「「【テイム】」」


 二人が唱えた瞬間、集まっていた魔物たちの空気が変わった。


「なるほど」


 シャナルは数の負担を取ってくれたようだ。

 知能のない魔獣と呼ばれるほとんど動物のような存在や、コボルトやゴブリンといった小型種を引き受けてくれたようだ。


「はぁ……はぁ……たった数百でこんなに魔力を……兄さんはこの倍の数を涼しい顔でテイムしていたというのに……」

「ヴィートの分だろ?」

「それだけではありません……」


 倒れそうになるシャナルを支えてポーションを飲ませていると、母さんの周りにはテイムに応じたと思われる魔物たちが集まってきていた。

 が……これは……?


「植物系の魔物と虫系の魔物を優先的にいただきました」

「ああ……でも……」


 それで良いのだろうか?

 どちらかといえばテイマー側への貢献が少ない魔物たちだ。こいつらをテイムするなら同じ数のゴブリンをテイムしたほうがいいくらいの……。


「ふふ。私もまだ貴方の世話になりっぱなしで過ごすつもりはありませんからね。少しは役に立ちますよ」

「考えがあるなら任せるよ」


 母さんなりに考えがあるなら素直に頼りにしよう。

 さて……。


「じゃあやるか」

「兄さん……これ、私達じゃ足しにならないくらい多いですよね……?」

「んー……」


 見渡す限りの魔物たち。

 その数はざっくり1万程度だろう。


「大丈夫だよ」

「まあ、兄さんならそうでしょうけど……でも一応少しずつやるとかその……」

「【テイム】」


 あれ? なんかシャナルが言いかけてたけど……。


「大丈夫だったよ」

「そんなあっさり……」


 無事終わったなら良いだろう。

 シャナルはなぜかため息をついてるけど……。

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