第12話魔王への一歩?
「ギー!」
「グオォオオオ」
「キュウウウウウン」
「ギッ!ギッ!」
あれ……これは……。
「思ったより種類が多いな……」
集まったのはゴブリンの他、コボルト、オークや魔狼、魔兎、魔鳥や虫型の魔物まで様々だった。
「狙い通りではないんですか?」
「ここまでは想定していなかった……」
「まあでも、兄さんなら問題ないんでしょうけど」
「まあやるだけやるさ」
そこからも続々集まってくる魔物たちに向け、延々と「【テイム】」を唱え続けた。
「兄さんが魔王と呼ばれる日はそう遠くないでしょうね」
シャナルの言葉が冗談に聞こえなくなっていた。
◇
「ありがとうございました! まさか馬までいただけるなんて……」
集まった魔物たちをすべてテイムした俺は、当初の予定通りバラバラに未開拓地を目指すように指示をして解散させた。
できれば未開拓地の整地も行っておくようにとは言ってみたがどうだろうな……。
そして道中ゴブリンの助けもあって馬を何頭か手に入れたのでそれも村長に渡しにきたのだ。
「もともと馬なしじゃ困っただろうし用意するつもりだったんだけど」
「良かったですね。兄さんなら馬の代わりにゴブリンを百体置いていくとか言いかねませんでしたよ?」
「それは……」
村長の顔が引きつっていた。
いや、流石に俺もそれは……わからないな……自分に自信が持てなかった。
「ともかく、このお礼は必ず……!」
「ありがとう。このまま北を目指して森を開拓するつもりだから、街道が整備できたら遊びに来てくれ」
「わかりました。その際は村の特産品を山盛り持ってまいりましょう」
「ありがとう」
行きには姿を見せていなかった村人たちもちらほらと顔を見せに来て頭を下げていた。
「お気をつけて……!」
村長に見送られながら村を出る。
もはや街道とは名ばかりの、ギリギリ馬車が通れるような獣道を進んでいくことになった。
「これを行く先々でやるおつもりですか……?」
「いや……多分もう先に行かせたやつらが集めてると思うから……」
あいつらが道中どの程度仲間を集めてくるか次第だろう。
「そうですね……いえ、ということは着いた頃には数万の大軍勢に迎えられるのでは……?」
「そこまでいくか……?」
「不安になってきました……森の魔物がどの程度いるのかヴィートに探らせておきます」
「ありがとう」
シャナルは呆れた様子だったが母さんはニコニコしてくれていた。
「テイムの力を人助けに……きっと初代様もユキアのような存在だったかもしれませんね」
「そうなれると良いなと思ってるよ」
村人たちに送り出され、旅は順調に進んでいった。
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