第10話ゴブリンのテイム
「なるほど……ゴブリンの巣は五箇所か。ありがとう」
翌日、村の外れで飛んでいた鳥に情報を聞き出す。
「本当にやるんですか……?」
シャナルは相変わらず信じられないものを見る顔でこちらを見てくる。
「心配しなくても使い魔がいない俺でもゴブリンくらいはさばけるって」
「いえ、それを心配しているのではなくて……一つの巣に百前後いると言われるゴブリンを全てテイムするのですか……?」
「うん」
数は多くても千くらいだろう。
俺はテイムしたゴブリンたちを連れて行くことに決めている。
「未開拓領域での労働力としても期待できるし、それにこの森はもともとゴブリンがいなければ村で防げる程度の獣害だったようだし大丈夫だと思うんだ」
ゴブリンは雑食。周囲の動物も狩りで減らすためもともと被害のあった動物たちによる農作物の被害は出るかもしれないが、それは村でなんとかするとのことだった。
「はぁ……まあいいです。兄さんは昔からそうでした……」
よくわからないことを言いながらも心配して着いてきてくれるようだった。
「で、何をしてるんですか?」
「ん? ゴブリンのテイムに役立つかと思って」
森を歩きながら成っている実を集める。ゴブリンの好きな果物はいい手土産になるだろう。
「兄さんならそんなことをしなくても……」
「基本が大切だよ」
森の歩き方やゴブリンや動物などのテイムのやり方を教えてくれたのは父さんだった。
昔を思い出しながら木の実を集めてゴブリンの巣を目指す。
そして……。
「これは……?」
しばらく進んだところで目当てのゴブリンを発見した。
だが少し、予想と違う形で。
「戦っているん……ですかね?」
何故かゴブリンが同士討ちをしていた。
「止めてくるか」
「えっ⁉ ちょっと兄さん! 危ないですし集めた実全然意味な……ほんとに人の話を聞きませんね! もうっ!」
シャナルに危害が及ぶ前に片を付けよう。
戦いに集中していてこちらに意識が向いていないゴブリンたちに手をかざして唱える。
「【テイム】」
「「「……⁉」」」
石の投げあいや打撃武器での殴り合いで騒がしかった森に、時間が止まったかのような静寂が訪れた。
「すごい……これが兄さんの、テイム……って何匹いっぺんにやったんですかっ⁉ 大丈夫ですか? どこか体調に問題は……」
「ん? 大丈夫だよ」
「そうですか……相変わらず化け物じみてますね……」
何故かジト目で睨まれる。
まあ今はこっちか。
「さて、【テイム】に応じてくれてありがとう。争っていたわけを聞きたいんだけど……」
「ギー!」
「ギーギー!」
「ギー! ギギー!」
「一度に言われてもわからないよ!」
テイマーはテイムした魔物の言うことをなんとなく感じ取る力があるが、流石にこうも一度に騒ぎ立てられてはよくわからなくなる。
だがそれでも断片的に情報は得られたので情報をまとめていった。
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