第15話隠れ引きこもり

とある男、普通のサラリーマンをしている

しかし、休日になると、バリバリの引きこもりになる

金曜の夜に食材を買い込み、土日に備える

金曜の夜から日曜の夜。それが彼の本性を発揮するところである

金曜の夜はネット上を徘徊し、世の中の動向を調べる

時にコメントを発し、自己顕示欲を満足させる

土曜は創作の日だ。彼の趣味は詩を書くことである

誰にも知られないように専用ノートに詩を書き込む

日常から得る情報を知恵へと昇華させ、詩に表す

彼の詩は謎解きのような難解なものだ

しかし、残念ながら彼にしかその答えは分からない

彼もそれを知っているからあえて世に出さないのである

日曜は情報を吸収する日だ

新聞や雑誌、ネット上の情報などあらゆるものを漁る

彼は好奇心の塊なので、情報を得ること自体が快楽になっている

このように週末に引きこもることで、彼の創造性はいかんなく発揮される

その創造の発露はネット上であろう

彼のネット上での発言は深淵なる知恵の泉から発せられる

しかし、彼が有名になることはない。本人が望んでいないからだ

だから、こうして今も彼はサラリーマンを装うのである

現代を語るうえで、彼のような隠れ引きこもりが

なくてはならない存在となるだろう

世の中のバランスを陰で支える者。それが彼である

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