第13話都市伝説

とある男、趣味が都市伝説収集だ

仕事が終わって帰ると、パソコンを立ち上げ

巷の都市伝説の情報を収集する

嘘のような話でもこの男はワクワクする

この男、日常に退屈しきっているので

奇々怪々な現象は大歓迎だ

今日も都市伝説サイトを覗いて興味津々だ

最近話題になっているのは、突然天国に行くという人間の話だ

部屋でくつろいでいると、突然天国の門が目の前に出現し、

扉が開き、その者を天国へと導くというのだ

男はその話を知ると、類似の話題をくまなく探した

出てくるは、出てくるは。

同じような話がネット上で賑わっている

男はワクワクした。自分もいつか天国へと導かれたいと

ただそれだけを願う日々が続いた

都市伝説サイトを覗いていると、神々しい光があたりを包んだ

男は驚いて顔を上げると、自室の空中になんと招き猫が浮かんでいた

この招き猫、生きている感じはしないが、唐突にしゃべり始めた

「おっす、人間。今日も暇してるな。吾輩は天国の使者。招き猫である

お前を天国に招いているから、招き猫。おっと、サインはお断りだ」

この招き猫、よくしゃべる。威厳も何もあったものではない。

男は驚きながらも、うれしくてしょうがない。ついに自分も天国へ

招き猫は満足そうにうなずくと、話を続けた

「お前は天国へと導かれるのをずっと待っておったじゃろう

念願かなってこうやって迎えに来た。どうじゃ、うれしかろう」

「はい、私は現世に退屈しております。どうか私を天国へ」

「それには適性テストを受けなくてはならない。まぁ、恒例でな」

「わかりました。なんなりと」

「では、第一問。人間より偉いものは誰じゃ?」

「それは、猫です。えらそうですから」

「うむ。では、第二問。犬派、それとも猫派?」

「断然、猫派です」

「第三問。猫が困っています。あなたはどうしますか?」

「まず、エサをあげます」

「よし、いいだろう。適性テストの結果は、合格じゃ」

「ありがとうございます。これで私は天国へ行ける」

そういうと男は光に包まれ、招き猫とともに天国へ行った

男が目を開けると、そこは一面の野原。天には青空が広がっている

周りを見回すと、いたるところに猫、猫、猫。猫だらけである

男は招き猫に問いただした。

「どうして、天国には猫しかいないのですか?」

「それは、永遠という時を天国で過ごすのに、猫という姿が一番適しているからだ」

「そうですか。ですが、私は人間のままです。どうしてですか?」

「それはお前はまだ、未熟だからだ。生き物として完成に近づくほど猫の姿に似る」

「なるほど、そうですか」

男は納得すると、すり寄ってくる猫たちとともに生活することにした

猫たちと永遠に生活することが、幸せなのかは疑問であったが、

男は日常の退屈からは遠ざかった

日々猫と戯れ、充実した日々を送った

地上にいる猫たちは、天国への使者なのであった

招き猫が訪れた時は、敬意を表し、煮干しをささげよう

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