第14話 ダイエット作戦
「で、何から始める?」俺は服部の方を見てダイエットの作戦を確認する。
「そうでござるな、やはり運動と食事制限が王道ではないかと」服部は人差し指を唇に当てて腕を組んだ。ショートカットに少し日に焼けた健康的な肌。制服のスカートが短め、しかし決してパンチラは許さない。それが服部凛子であった。
「私、運動は苦手なので・・・・・・、出来れば食事制限で・・・・・・」細川は、小さな声で呟く。自分に自信が無いのであろう。大きな体を小さく見せるように身を狭めている。
「食事制限ねぇ・・・・・・・、そう言えば腹が減ったな」服部との運動で体力を消耗していたところであった。幸い、この学園では放課後も、学食が営業している。生徒や教師の数が尋常でないので、十分採算がとれるのであろう。俺と服部、そして細川の三人は学食へ向かう。
「しかし、こんな時間に食べては、ダイエットにならないのではないでござるか?」服部は首を傾げる。
「いや、いきなり食事を減らすのも大変だから、少しずつ調整していけばいいだろう。たしかテレビでもそんな事を言ってたぜ」たまたま先日見たテレビでダイエットの特集をやっていた。無s理をすると続かないといっていたと思う。ふと、細川を見ると嬉しそうな顔をしてスキップでもしそうな雰囲気であった。
「あっ!細川ちゃんいらっしゃい!!」食堂に入ると厨房の学生が笑顔で彼女の名前を呼ぶ。「いつものでいいよね」その言葉を聞いて細川はコクリと頷いた。
「ちょっと待てよ。あっ、すいません!いつもの八割位で、お願いします!」細川が結構な量を食べると予測して、ひとまず腹八分に減らすように依頼する。
「えっ・・・・・・、いきなり八割・・・・・・・、ですか・・・・・・」と細川は悲しそうな顔をした。俺達は、ひとまず椅子に腰かける。俺と服部は横並び、目の前に細川が座っている。俺達二人が座っている幅と、彼女一人の幅が丁度同じ位であった。
「えーと、俺は狐うどんにするかな・・・・・・・、服部さんは?」
「私は狸そばにするでござる」
「はいお待ち!」細川の目の前に、山のように盛られたご飯とうどん、そしてとんかつが置かれた。正直その量を見て唖然とする。
「えーと、いつもの八割って言った筈だけど・・・・・・・」俺は給仕してきた生徒に聞く。
「えっ、これでいつもの半分くらいですけど・・・・・・・」俺と服部はシンクロしたように目を合わす。
「いただきます!」その声がまるでスタートのように聞こえる。細川は流し込むような勢いでご飯を平らげていく。
「・・・・・・・ちょ、ちょっと待てい!俺は思わず立ち上がっって机を叩いた。
「へっ?」細川は口にとんかつを銜えながら恍けた顔をして手を止めた。
「あんた、ダイエットする気無いだろう!根本的に量が多いし、滅茶苦茶早食いすぎだ!」正直、あまりの量に気分が悪くなって、こちらの食欲が少し失せるほどであった。
「そ、そんな・・・・・・・」細川は悲しそうな目で俺の顔を見上げる。
「その量を消化するには相当な運動が必要でござるな」服部は両手の肘を机に置いて手を組み、その上に頭を乗せた。明らかに呆れている。俺達のやり取りをよそに、細川の目の前には唐揚げの山盛りが運ばれてくる。細川はゆっくり手を伸ばすと、それを摘まもうとする。
「食うな!」俺の声でビクッとした彼女が、唐揚げから手を離した。
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