第2話 転校初日
転校初日。
少し緊張の朝を迎える。一斉に登校してくる沢山の生徒達。俺も彼ら彼女達の中に紛れて校門を潜り抜ける。目の前に大きな建築物が広がる。この学校は日本でも有数なマンモス高等学校だそうだ。一学年のクラス数が二十組、一クラスの人数が百人程度、生徒数が約六千人だそうだ・・・・・・・、正直いって同級生の半分も覚えるのは無理であろうと予測する。
「これは・・・・・・・、職員室の場所もよく解らん・・・・・・」母親に絶対迷うと言われてはいたが、学校で迷う奴なんていないだろうとタカを括っていたが、彼女の思惑通りになった事が少しだけ腹立たしい。「ごめん・・・・・・・、職員室の場所を・・・・・・・」近くにいた女子生徒に職員室の場所を尋ねる。しかし、その顔を見て口角を少し引きつらせてしまう。
「えっ、職員室は・・・・・・・・、あっ!あなたわ!?」見覚えのある顔、それは先日、大阪駅のエスカレーターで盗撮されそうになっていた、あの女の子であった。
「お、お前は・・・・・・・」俺が少し小刻みに震えながら、女の子を指さそううとすると、別の女子が駆け寄ってくる。
「詩織!どうしたの・・・・・・・、あっ!?」案の定、あの時一緒にいた奴であった。
「二人とも、この学校だったのか・・・・・・・」
「あなたこそ・・・・・・・、まさか、ストーカー!?」言いながら後から来た女子は自分の両肩を抱くようにして胸の辺りを隠した。
「お前はアホなのか!制服着てるだろうが、制服!!」
「まさか・・・・・・・、うちの学校の制服まで購入したの!!」頭が痛くなってきた。
「あの・・・・・・・、もういいから職員室の場所を教えてくれ・・・・・・・」付き合ってられなくなって本題を聞くことにした。この調子では初日から遅刻になってしまいそうな感じである。
「あっちよ・・・・・・・・」小さな声でそう言うと、詩織と呼ばれた少女が校舎の入り口を指さした。
「サンキュ、ありがとな!」意味が同じことを二回言ってしまった。その馬鹿っぽさに少し背を向けてから恥ずかしくなって赤くなってしまう。なぜか、2人がクスクス笑っているような気がした。
「にいちゃん、朝からなんか用か?」作業着を着た爺さんがお茶を飲んでいる。彼女に言われた通りに向かったその先は用務員室であった。
「いいえ・・・・・・・、あのアマ!!」用務員のおじさんに、職員室の場所を聞いてから俺は丁寧にお辞儀をしてお礼を言った。
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