※※R大注意※※ 『渦巻き』の続き Ver. full+官能(140字から)
薄暗い廊下の窓から射す赤い陽は、静まりかえった教室の扉を僅かに染めるのみで、僕らの居る場所を照らす事はない。
人の足音ももう遠く。すぐにその夕日すら落ちて宵が迎えに来るのだろう。
侘しいほどの静寂の中で、肌が触れる距離の先生の息遣いだけが細やかに響く。
「誰か来たら…」
怯えたように教卓に後ろ手をつき、眉尻を下げて視線を扉へと彷徨わせている先生の唇を奪うように覆う。
他の誰かへと笑いかける唇なんて、隠してしまおう。他人の存在なんて忘れるくらい、僕の匂いを塗り込めて。
びくりと肩が揺れて、潜めた息が喉元に張り付いた様子が触れる肌から伝わってくる。
触れ合った唇は冷たく震えていて、思わずそれを撫でるように笑息が零れた。
強張った唇を丹念に食んで啄み絆して、硬く緊張が巡った背を撫でる。
宥めるように背筋を愛撫し、指先に耳朶を挟んで扱きあげれば、微かに甘さを伴った吐息と共に先生の唇は綻んだ。
くたりと力が解けた身体が、教卓の天板の上に沈んでいく。
身動ぎするたびに、無垢な白いシャツが乱れて深く皺を刻み、身体の凹凸を露わにしてゆく。深く上下する胸に、その陰影が姿を変えて、生身の艶やかさを匂わせる。
この蠱惑的な乱れた姿に、先生は自分で気づいていないのだろう。
綻んだ唇から、内腔を侵していく。
触れる粘膜の泥濘。滑らかに擦れ合う、敏感な内側と舌。
濡れた音と吐息で暗く静かな教室は満たされていった。
汗ばむほどに体温が上がった肌をほんの少しだけ離して、先生の顔を覗きこむ。
陶然とキスの余韻に酔いしれている先生は、互いの雫で濡れた唇が離れて行くのをぼーっと視線で追う。
喘ぐ呼吸に目元に涙を携えて、僕の顔を見ている先生を、覆うように上から見下ろしたまま。
僕は先生の内を僕に染めて満たしてゆく、嗜虐的な悦びを心の内で高鳴らせたままに微笑みかけた。
「じゃ、止める?」
先生はまた視線を僅かに彷徨わせた。僕の顔から逸れた視線には、もう遠くを見る余裕がない。重なり合ったままの胸元辺りを漂って、隠れるように肩を竦めて擦り寄ってくる。
そっと伸ばされた指が、僕の制服の袖を掴んで。
先生は言葉なく服従し、熱に浮かされた瞳を静かに瞼で覆った。
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