(三)‐4

 翌日、葬儀を手伝ってくれた親戚にお礼の電話を架けた後、携帯電話のメッセージアプリに、恵美から連絡がきていた。再び入院するとのことだった。

郁雄は慌てて病院に行った。病室で会うと、今度もまた、「年に一度の検査入院だから一週間だけだよ」と恵美は笑顔を見せてくれた。郁雄は安堵した。


 その二日後、木野から連絡があった。土地建物は昨今の少子高齢化の影響で、地価が下がっていることと、築年数が古いため、売却益は合計で一〇〇万円にもならないということだった。相続税の支払いや土地建物の売却契約の印紙代と事務代行手数料などで一〇〇万円の手数料を請求するという。そして両親の預貯金などの額などから差し引いて、木野の手から渡され郁雄の手元に残ったのは、わずか二万五九〇〇円だった。


(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る