(二)‐5

 コンクールの結果は、郁雄を含め一〇人いる部員のほとんどが残念に終わった。ただ、部長の絵が奨励賞に、恵美のが佳作に選ばれた。

 その記念に奨励賞の作品が美術館に展示されると言うことで、部員全員で見に行った。その帰り道、郁雄は恵美と話をした。彼女は他人と話すことが苦手だったり、人付き合いが嫌いというわけでもなく、絵を描くことに対する情熱が強いということを知った。将来は絵で食べていきたいという。もちろんファインアートでは難しいかもしれないので、イラストレーターやキュレーターになるなどという形にはなるかもしれないけれども、美大へ進学してアートの仕事をしたいということだった。


(続く)

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