『脳内ガチャ』で彼女(マドンナ)をドロップ!

最早無白

プロローグ

チュートリアル 1.2倍と138と合格

「やった~!」「高校でも同じだね!!」


 数字の書かれた壁の前で、色とりどりの制服が黄色い声で揺れている。三月中旬で肌寒いはずの空気が心なしか暖かく感じる。


 県立亀屋かめや高校、定員二百人。倍率は約1.2倍。この中に138という三桁の数字があれば、俺は晴れて高校生になれるわけだ。ナンバリングされた人込みの隙間からなんとか顔を出し、壁の概要を確認する。


 132、133、135、137、138


「あった……!」


 単純に嬉しかった。ここでやりたいことなんて無いし、まだ十五年ちょっとしか生きてないけど、今が人生で一番嬉しいと思える瞬間だ。高校には俺一人で来たので、この場で親と喜びを分かち合えないのが誠に残念である。

 友達……? そんな問題は今年の入試には出てなかったなぁ……。


 会場の雰囲気に馴染めず、俺は全速力で自転車を家へ飛ばした。

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